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「涼宮ハルヒの喪失(後編)」(2022/04/28 (木) 23:41:34) の最新版変更点
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*涼宮ハルヒの喪失(後編) ◆7jHdbD/oU2
◆◆
「シェルブリットォォォォォォォォォォッ!!」
太陽を背景に、カズマが吼える。
右肩のプロペラが高速回転し、空気を切り裂きながら生むのは、爆発的な推進力だ。
大気が悲鳴を上げているような唸りを置き去りにして、カズマの拳がセイバーへと肉薄する。
小細工も何もない、暴力的な逆風を連想させる突撃を回避するため、セイバーは跳躍した。
直後、見境のない破砕音が二つ、重なって轟いた。
一つはカズマによって地面が砕かれた音。
もう一つは、神人が大地を蹴り上げた音だった。
巨大な足が、それ自身よりも太い木を、土砂もろとも吹き飛ばす。
セイバーの体躯を遥かに上回る巨木が、宙を舞い、影を投げ落とす。
彼女の真上で一瞬静止した後、それはすぐに落下を開始した。
圧倒的な質量を持つそれは、重力に従って、セイバーの頭を砕き潰そうと落ちていく。
セイバーと巨木の距離は、限りなく近い。
――着地の直後、距離を取る間もなく押し潰される。
そう予測したセイバーは、不可視の刀を力任せに振り上げた。
風が、巨木に触れる。
軋みが耳に届き、刀を握る手に重みが乗ってくる。
その重量と抵抗が、腕に痛みを与えてきた。
だがセイバーはそれらに屈しないよう、両腕と奥歯に込める力を強くする。
そして、振り抜く。
軋みが、裂音に飲み込まれた。
見えざる刃を視点として巨木が両断され、無数の木片を降らせながら落ちていく。
裂けた巨木の半分を足がかりにして、セイバーは再度重力に逆らって跳んだ。
そうやって宙へと躍り出た瞬間、木が接地する轟音に交じって銃声が数発響いてくる。
音を捉えても、銃弾を見切るには時間が足りない。
回避が、間に合わない。
そう判じたとほぼ同時に、セイバーは右腿に熱を感じた。
異物が皮膚と肉を抉り取っていく痛みに、セイバーは表情を歪める。
だが、勢いは削がれない。
致命傷には至らない一撃だ。取るに足らない。
セイバーはそう思考し、刀を振りかぶる。
宙を駆けるセイバーの正面に存在する、青い巨人に向けて。
敵戦力の中、最も切り崩しやすいのは巨人だとセイバーは判断していた。
愚鈍な巨人に攻撃を回避される可能性など万に一つもありえない。更に両手を失った状態では防御することも不可能。
風王結界を纏わない刀で、腕を容易く斬り飛ばせたのだ。
風の加護を受けた今の状態なら、先の巨木のように両断するのは容易だと、そう推測する。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
気迫を解き放つかのような叫び声を上げ、刀を全力で振り下ろす。
見えざる切っ先が正確に、巨人の肩口へと迫っていく。
直撃まで、時間はかからない。
確かな手応えが刃から柄へ、柄から小手を通じて伝わってくる。
そのまま、斬り裂く。
手応えを撥ね退け、正面から斬り裂こうと、セイバーは更なる力を込める。
刃が、食い込む。
目に見えぬ刀がその存在を誇示するように、巨人に亀裂が刻まれていく。
クレバスのような亀裂が横腹にまで到達しようとしたとき、巨人が動きを見せた。
巨人は腰を捻り、暴れるように上半身を揺り動かす。
亀裂が広がることもお構いなしに、巨人は身を捩る。
巨体が暴れるたび、周囲の木がへし折られ、なぎ倒される。
敵を振り落とそうとするその動きに、セイバーは逆らわなかった。
否、逆らえなかった。
くず折れる木を突き破り、広がった枝の群れをぶち破り、激音を放ちながら、輝く拳が突貫してきていたからだ。
セイバーは、揺れ動く巨人を蹴って跳躍する。
巨人が生み出す振動を利用して、セイバーは飛距離を稼ぐ。
迫撃するカズマの拳が、勢いをそのままにセイバーの前を通過した。
空気が破られる音が遠ざかり、カズマの体が空へと昇っていく。
――その背中から、何かが落下した。
「やっちまいな! レヴィ!」
落下ではなく、降下だと気が付いたのは、頭上からそんな声が聞こえてからだった。
「言われるまでもねェ!」
二挺の銃を構えたレヴィが、黒髪をはためかせて降下してくる。
その鋭い目でセイバーを捕捉したレヴィは、唇の端を吊り上げて、嗤った。
「ソード・カトラスの銃撃、しっかりと味わいやがれッ!!」
銃声が、連続する。
体を反らしても、降り注ぐ弾を回避するのはほぼ不可能だ。
故に、セイバーは自らを庇うようにして刀を引き寄せた。
連射された銃弾が、風に捕われ、飲み込まれ、散りゆく。
それでも全てを捌き切れず、ソード・カトラスから吐き出された銃弾の数発は、セイバーの右腕を薙ぎ払った。
右腕が、鮮血で染まる。それとほぼ同時に、セイバーの足が地に着いた。
腿以上の痛みに歯噛みしながらも、刀を握る手に力を入れなおす。
そのとき、左前方にレヴィが、右前方にカズマが着地した。
真正面には、右肩から横腹までを裂かれながらも佇む巨人の姿があり、
その向こうには涼宮ハルヒと、彼女を支えるキョンがいる。
荒い呼吸を繰り返しながら、注意深く彼らを観察し、セイバーは思う。
このまま戦い続ければ、敗北は必至だ、と。
消耗した状態でこれだけの数を相手にするのは、流石に無理がある。
だが、やられるわけにはいかない。
まだ責務を果たしてはいないのだ。命を散らせるには、早過ぎる。
セイバーは素早く敵の様子を窺い、撤退するために最適な手段をシミュレートする。
拳を向けてくるシェルブリットのカズマに、銃口を向けてくるトゥーハンドのレヴィ。
単に彼らに背を向けるだけでは、とても逃げ切れるとは思えない。
何らかの形で隙を作り、包囲網を突破する必要がある。
敵陣で孤立した際に取るべき行動を、セイバーは思考する。
考え付くのは、セオリー通りの戦術。即ち、戦力の最も低い箇所の一点突破だ。
だが、それでも逃げ切れるかどうかは微妙だと思わざるを得ない。
レヴィの銃撃によって退路を狭められれば、カズマが凄まじい突進力、加速力を以って追撃をかけてくるだろう。
巨人がその体を壁として使うなら、それを越える瞬間に狙い撃ちにされることも考えられる。
何らかの形で、足止めをしなければならない。
そのための策を、瞬時に練り上げて。
セイバーは、胸中で自嘲した。
閃いた策は余りに卑劣で、騎士道に背くようなものだったからだ。
しかし、それ以外の手段を思いつけなかった。考えている時間も、ない。
もはや堕ちるところまで堕ちた身だ。
もはやこの手は血塗られ、この身は返り血を浴び過ぎている。
あらゆる汚名を、恥辱を被ってでも、責務を果たすために。
そのために、セイバーは、迷わない。
決して、迷わない。
全ては民のため、国のため。
外道の名を、甘んじて受けよう。
策は決まった。気構えもできた。
あとはそれに従い、動くだけだ。
迷いさえなければ、道さえ分かれば。
体は、動く。
そう決意した瞬間、不意に、巨人の姿がぐらりと揺らぐ。
巨体を構成する青の色が、急激に薄れ始めた。
それに伴い、巨人が放つ無機質な存在感が急速に霧消していく。
「おいハルヒ! しっかりしろ!」
巨人のマスターを支える少年の、不安げな叫びがセイバーの耳へと届いた。
そして、巨人の姿が空気に溶けて、消失する。
見逃せない、チャンスだった。
セイバーの足が強く地を蹴り、小柄な体が跳ぶ。
後ろではなく正面へと、セイバーが駆ける。
それに合わせて動く、二つの人影。
さながら野獣のようなカズマとレヴィを捕捉しつつ、セイバーはデイバックからスコップを取り出し、左手に握り締めた。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
空を背にしたカズマが、宙で一転する。
その身がセイバーへと向いた、その直後、空気が爆ぜるような爆音が響き渡る。
カズマが滑空し、激走とも呼べる速度で大気の壁をぶち抜きながら、突っ込んでくる。
「そいつは何のジョークだ? お砂遊びでもするつもりかァ!?」
レヴィが、セイバーと併走する。
近接武器のアウトレンジで、二挺の銃を構えたまま、疾走する。
レヴィの手にある銃が、セイバーの命を削り取ろうと銃弾をばら撒いてくる。
左右からの、挟撃。
それに足を取られることなく、止められることなく、セイバーはただ前へと駆け続ける。
そうしながら、彼女は両手を振りかざす。あたかも、奏者たちを導く指揮者が、タクトを振り上げるかのような優雅さで。
セイバーの頭上で一瞬、風を纏いし刀とスコップが交差する。
そして。
「風王――結界ッ!!」
凛とした叫びと共に、セイバーは両手を左右へと振り下ろした。
瞬間、セイバーの両側の空気がたわみ、曲がり、急激な動きを見せる。
風が甲高い鳴き声を上げながら、指揮通りの協奏曲を奏でた。
右の風は、刀を覆っていた刃の開放だ。
風の刃は荒れ狂う激風となり、カズマの拳へと正面からぶつかっていく。
左の風は、スコップの推進力とするものだ。
セイバーの手から放たれたスコップが風の後押しを受け、レヴィの銃弾を弾き飛ばして進んでいく。
それらを見送ることすらせず、セイバーはひたすらに猛進する。
「こんなもんじゃ! 俺を止めらねぇッ!!」
「Shit! なんつー曲芸しやがンだッ!!」
双方で声が聞こえるが、セイバーは振り返らない。
まだだ。
この程度で足止めができるような相手なら、既に仕留め終えている。
セイバーは、編み上げたばかりの鎧を再度魔力に転換する。
転換した魔力を用い、もう一度風を生み出した。
セイバーの背後に、突風が生まれる。それに後押しされて、セイバーは急加速した。
その身で空を切り、地を滑り、セイバーは刀を振り上げた。
涼宮ハルヒを庇うように立つ、キョンに向けて。
◆◆
女騎士、セイバーはとんでもなく強かった。
漫画の中でしか見たことのないような能力を使って暴れまわるカズマさんと、
映画のようなガンアクションを繰り広げるレヴィさん。
更にハルヒが呼び出した、これまた常識外れな神人。
それだけを一度に相手にしているというのに、的確な立ち回りで戦い抜いている。
トウカさんと戦って、かなりの疲労があるはずなのに、だ。
そのとんでもない力に不安を覚えたのか、ハルヒは傷を受けた神人を修復しようと念じ続けていたんだが……。
結果として、その行動は失敗に終わった。
神人の修復どころか、ハルヒ自身の意識は途絶え、神人は消えてしまった。
古泉の話では、ハルヒが眠っていようがあいつは平気で暴れまわれるはずなんだが、とにかく消えてしまったことは事実だ。
そして、そんなことすら俺には些事でしかない。
重要なのは、ハルヒが意識を失したということだ。
だから俺は、気を失ったハルヒの額に触れる。
相変わらずハルヒの体温は高く、滅茶苦茶汗をかいてるが、まだ絶望する時間じゃない。
胸は小さく上下しているし、口からは吐息を零している。
ハルヒはまだ、生きているんだ。
俺は急いでハルヒを背負おうとする。そのとき、俺は風を感じた。
こちらへと向かってくる、突風を。
セイバーが滑るようにして、俺たちの方へと突っ込んできていた。
鋭い眼光でこちらを捉え、剣気を撒き散らし、威圧感を放ち、真っ直ぐに向かってくる。
土煙を上げながらのスピードは、自動車よりもずっと速い。
当然、ハルヒを背負って逃げるなんて器用な真似は、できそうになかった。
ならば。
ハルヒを救って逃げることができないのなら。
やるべきことは、動くべき行動は、決まっている。
俺は、咄嗟に前へ出ていた。
迷わずに、ハルヒの前へと。
恐れずに、セイバーの前へと。
足を、踏み出した。
そんな俺に構うことなく、セイバーは刀を振りかざす。その刀身に、太陽光が反射して、やけに眩しく映った。
その眩さに目を閉ざしそうになるが、俺は瞼に力を入れてその動きを止める。
迫ってくる女騎士を見据えながら、俺は思う。
全力疾走をすれば、逃げられるのかもしれない。
思い切り横へ転がっていけば、助かるのかもしれない。
だけどな。
そんなこと、できるわけがないだろ?
俺の後ろには、我らがSOS団の団長が。
――涼宮ハルヒが、いるんだからな。
刀身が、翻る。
それを受け止めようと、バールのようなものを翳すが、それはあっさりと両断されて。
そして。
剣閃が、走った。
左上から、右下へ。
冷たく硬い、金属特有の質感が肌を破っていく。
それに数秒遅れて、激痛が駆け抜けた。
痛む箇所を、見下ろす。
カッターシャツが、大量の血液を吸って染色されていた。
血が、抜ける。全身に力が、入らない。
仰向けに倒れこみながら、俺は後ろに目を向けた。
見えたのは、木々の向こうに遠ざかっていくセイバーの姿だった。
そのまま、俺は寝そべることになる。
気が遠くなりそうな痛みは、俺から力を奪っていく。
やけに寒く、空が狭い。
口の中が異常に粘つき、息が苦しい。
震えそうなほど寒いのに、やたらと喉が渇いている。
もう、立ち上がれそうになかった。
死ぬんだろうなと、漠然と理解する。
一般的な生活を送っていた俺が、まさかこんな死に方をするなんて想像もできなかった。
もっと平凡に年を重ね、老衰で死ぬんだろうなと、そう思っていた。
本当に、世の中は理不尽だ。
それでも、俺は。
後悔なんて、してないぜ。
◆◆
「あの女ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
キョンを斬り、離れていくセイバーに向けて、カズマが咆哮する。
風の壁をシェルブリットでぶち抜き、着地する暇も惜しんでセイバーへと迫撃をかけたが、間に合わなかった。
カズマの足元には、鮮血に染まった少年が一人、仰向けに横たわっている。
その姿を一瞥し、セイバーが消えた方向へと跳ぼうとした、その直前に。
「く、は……ッ」
カズマの耳が、キョンの口から漏れる微かな呻き声を捉えた。
「おい! まだ、生きてるのか!?」
尋ねたカズマの声に、キョンは薄く瞳を開ける。
「ハルヒ、は……?」
弱々しい掠れた声に応えるよう、カズマはキョンの側で気を失ったままのハルヒを見る。
苦しげな表情だが、確かに呼吸をする少女には、傷一つ見受けられなかった。
「気絶してるだけだ。唇以外に怪我はねェ」
「そう、ですか」
キョンが、心からの安堵を浮かべる。
耐え難いほどの激痛に苦しんでいるはずなのに、そんな素振りを欠片も見せはしない。
ハルヒが無事だったならば、他の苦痛など何でもないと、そう告げるように。
「ハルヒに、伝えて……もらえますか?」
キョンの口が、言葉を紡ぐ。
小さく、それでも確かな声が、流れる。
「俺の平穏な日常は、お前のせいで滅茶苦茶になっちまった。
訳の分からん出来事に巻き込まれて、お前の我侭に振り回されてばかりで、付き合ってられんと、何度も思った」
そこで言葉を切って、キョンは深く、大きく息を吸った。
「だけど、そんな毎日が、悪くはなかった。楽しかった。
――そう、伝えてください」
「ふざけんな! 言いたいことがあんなら、テメェの口で言いやがれ!」
身を乗り出して恫喝するカズマに、キョンは、困ったように笑むだけだった。
カズマにも、分かっていた。
キョンがハルヒと話をすることは、もう不可能だということくらい。
そして不可能だということを、キョン自身が察しているということくらい。
分かっていた。
だから、それ以上の言葉が続かない。続けられない。
やり場のない感情が、カズマの中で荒れ狂う。
それに突き動かされるように、カズマは拳を、手近な木へと叩きつけた。
木が折れ、吹き飛んでも、カズマの気分が晴れはしない。
「……おい、カズマ」
「あぁ? あんだよ!?」
そんな状態だというのに声をかけてきたレヴィに、カズマは八つ当たり気味に返事をして振り返る。
そうやってレヴィの姿を認めた瞬間、カズマは目を見開いた。
レヴィの左上腕から、血液が滴り落ちていたからだ。
「お前、その傷……」
レヴィの左腕の皮膚は裂かれ、肉が削られ、上腕の筋肉が露出し、空気に触れている。
右腕のタトゥーとは違った無造作な模様が、血液で描かれていた。
「あたしとしたことが掠っちまった。痛ェよ。糞ッタレ」
右手の親指で、レヴィは背後を指す。
その先には、先端が赤黒く染まったスコップが転がっていた。
「それよりも、だ。おかしいと思わねェか?」
「あぁ? 何がだよ?」
レヴィは、大きく溜息を吐いた。
頭を横に振って、哀れむような視線をカズマに向ける。
「少しは頭使えよカズマ。いいか? さっきあの女は、とんでもねぇスピードでこいつ――キョンへ突っ込んで行ったんだ。
お前がナントカブリットで突っ込むみてぇにな。そんなスピードが乗った剣で斬られたってのに。
なんで、こいつはまだ喋れるんだ? あいつくらいの腕があれば、一発で首を撥ねることくらいできるだろ」
カズマは、押し黙る。
たまたま急所を外した。スピードに翻弄されて剣筋がずれた。
そう考えることもできなくはないが、それでは腑に落ちなかった。
「推測だけどな」
カズマが答えを出そうとする前に、レヴィがそう前置きをして、続ける。
「わざと一撃で殺さなかったんだ。
そうすりゃ、今、こうやってるみたいに、あたしらの意識はキョンに向くと踏んだんだろうな。
その間に逃げりゃ、あたしらと距離を取ることや、追われる前に身を隠すことだってできる。
要するに、あの女はこいつを使って、あたしらを足止めしようとしていやがるンだ」
まくし立てると、レヴィは小さく鼻を鳴らした。
「全く、気に入らねェ」
レヴィが、そう吐き捨てる。
「……ああ、そうだな。マジで気に入らねェよ」
答え、カズマは、右の拳を左手に打ちつけた。
随分コケにしやがってと、カズマは思う。
もともと腹の立つ相手だった。
その想いが、薪をくべられた炎のように逆巻いていく。
下らない小細工を弄して、足を止められると判断したセイバーを、燃やし尽くそうというように。
カズマの激情が、熱量を増していく。
「最ッ高にムカつくぜあの女。もう次はねェ。次なんて、与えねェ。
ボコってやる。徹底的に、ボコボコにしてやる……ッ!」
カズマの奥歯が、鈍い音を立てる。
怒りに震える表情で、カズマは木々の向こう、セイバーの消えた方角を睨み付けた。
「追うんだな、カズマ?」
「たりめェだ。追いついて、見つけて、分からせてやる。こんな小細工で俺から逃げ切ることなんざ、できねェってな」
宣言して、カズマはキョンを見下ろす。
キョンの虚ろな視線と、戦意に満ちたカズマの視線が、交差した。
「悪ぃな、キョン。お前を病院には連れて行けそうにはねェ。だがな、お前のことは確かに刻んだ!」
握った拳を、キョンの頭上へと翳す。
するとキョンは、首を縦に振ってみせた。
続いて、カズマはレヴィへと視線を移す。
彼女は口の片端だけを持ち上げ、不敵な笑みを浮かべていた。
「行ってこい、行ってこいよカズマ。思いっきり、あの女をぶっ飛ばして来い」
意外なその言葉に、カズマは眉を上げる。
「あ? お前は来ねぇのか?」
「正直暴れ足りないがな。あたしは運び屋だ。予定通り、涼宮ハルヒを病院まで運んで行く。
今回ばかりは、てめぇに任せてやるよ。
それとも何だ? レヴェッカ姐さんにも来て欲しいってか?」
レヴィの返答を、カズマは鼻で笑って一蹴した。
「下らねぇ冗談だ。来ねぇんなら遠慮なく、行かせてもらうぜ」
言いながら、カズマが、左手をレヴィに掲げる。
応えるように、レヴィが、右手をカズマへと掲げる。
「俺が戻るまでにくたばってんじゃねぇぞ!」
「ハッ、みっともなく負けて帰って来ンなよ!」
互いに軽口を叩き合い、掲げた腕を打ち合わせる。
そのことに、カズマは奇妙な快さを感じた。
こいつになら背中を預けてもいいか、などと思い、そして。
広大な夕空へと、カズマは跳躍した。
目指す場所は、敵のいる場所。
大気を割り、地を砕き、カズマは跳ぶ。
刻んだ多くの名を、その肩に背負いながら。
カズマは突き進む。
自らの意地を拳に乗せて、叩きつけるために。
荒ぶる魂をそのままに、カズマは駆け続ける。
どこまでも、真っ直ぐに。
◆◆
「本当、クレイジーな野郎だぜ」
嫌いじゃねェけどな、と小声で付け加え、レヴィは、散々な顔色で眠る涼宮ハルヒに手を伸ばした。
左腕を動かすと、傷口が痛みを訴えてくる。
そっとしてくれと言われているようだが、構わずレヴィはハルヒを背負うため、手を動かした。
やれやれ、このあたしがガキのお守りかよ。
そう思いながらも、レヴィは自分が行かなかったことを後悔してはいなかった。
セイバーの目的が撤退、あるいは回復のための時間稼ぎなら、カズマ単身で向かわせたほうがいい。
認めたくはないが、レヴィを乗せたままだと移動速度が落ちるのは事実だった。
だがカズマを行かせた理由は、それだけではない。
レヴィは、セイバーを発見したときのカズマを思い出す。
『――ボコる相手が、出来た』
そう言うや否や、絶叫を上げてぶっ飛んで行ったカズマ。
あのときは独断先行の理由が分からなかったが、セイバーと戦っていたカズマを見ていて、大体の察しはついた。
あの女は、カズマの敵なのだ。
詳しくは知らないし、知るつもりもない。
因縁を尋ねる気もないし、知りたいとも思わない。
だが、分かる。
明確で剥き出しな敵意を、カズマはばら撒きながら戦っていたのだから。
カズマの言う通り、気に入らない女だったとレヴィは思う。
だから先ほどはカズマに加勢したし、もし今、目の前にセイバーが現れたら、レヴィは迷わず銃を構えただろう。
とはいえ、レヴィにはセイバーとの因縁などほとんどない。
それならば、セイバーとやり合うのはカズマの方が相応しい。
いくらバトルマニアのレヴィとはいえ、仇敵との決着に乱入し、水を差そうととするほどレヴィは無粋ではなかった。
それに、だ。
――まぁ、あいつなら大丈夫だろ。
などと考えてしまう程度には、レヴィはカズマのことを買っていた。
そんなことを考えながら、レヴィはハルヒを背に乗せる。
そして、もはやほとんど動かないキョンを、見やった。
「ハルヒを……よろしく、お願いします……」
囁くような小声を、レヴィは確かに聞いた。
だから、右手を上げて、答えてやることにする。
「オーライ、オーライだ。だがな、連れて行けるのはこいつだけだ。
助からねェ奴を引っ張って行くほど、あたしゃサービス精神旺盛じゃないんでな」
こくりと、キョンの首が動く。そして、その口が何かを言おうと、開閉する。
しかし、それは音にはならなくて。
空気を揺らすことは、できなくて。
そして、その少年は、動かなくなった。
そのことを確認すると、レヴィはそこから目を離す。
彼女にとって、もはやそれは“かつて人であったモノ”でしかない。
特別な感慨も、感傷もなく、ただニューナンブだけを拾い上げると、無造作にデイバックへ投げ込み、歩き出した。
振り返る素振りも、立ち止まる雰囲気もなく。
レヴィは、歩いていく。
背中に、気が滅入りそうな体温を感じながら。
死んだ人間に、物と成り果てた存在に興味などない。
だが、そいつが生きていた頃に告げた言葉くらいは、意思くらいは果たしてやろうとレヴィは感じていた。
「……ヌルくなっちまったな、あたしも」
呟いたとき、ロックの勝ち誇ったような表情が何故か浮かんだ。
次にロックに会ったとき、とりあえず殴っておこうと心に決めて。
レヴィは、歩いていく。
涼宮ハルヒを、病院へと送り届けるために。
涼宮ハルヒへ、キョンの言葉を、伝えてやろうとするために。
【C-4北西/2日目-夕方】
【セイバー@Fate/ Stay night】
[状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、頭部に重症(治療済み)、右腿、右腕に銃創
疲労(大)、魔力消費(極大)、これ以上無く強い決意、やや空腹
[装備]:小夜の刀(前期型)@BLOOD+
[道具]:支給品一式×3(食料は通常支給-1)
[思考・状況]
基本:参加者を殺す
1:カズマたちから逃亡し、休息を取る。
2:エクスカリバーを手に入れる、必要ならば所持者を殺害する
3:絶対に生き残り、願いを叶えて選定の儀式をやり直す。
【C-4森林部東/2日目-夕方】
【カズマ@スクライド】
[状態]:疲労(やや大)、強い決意、全身に中程度の負傷(処置済)、西瓜臭い、全身に少々の痛み
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)、翠星石の首輪、エンジェルモートの制服
[思考]
基本:気にいらねぇモンは叩き潰す、欲しいモンは奪う。もう止まったりはしねぇ、あとは進むだけだ!
1:セイバーを追い、見つけ、徹底的にボコる。
2:セイバーをボコった後、病院へ戻る。
3:首輪を外してギガゾンビをぶっとばす。
4:そのためにはレヴィとも協力する。
[備考]
※いろいろ在ったのでグリフィスのことは覚えていません。
※のび太のデイパックを回収しました。
※レヴィに対する評価が少し上がっています。
【D-4森林部北/2日目/夕方】
【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]:脇腹、及び右腕に銃創(処置済み)、背中に打撲、左腕に裂傷。
頭からバカルディを被ったため少々酒臭い、疲労(やや大)、全身に少々の痛み
[装備]:ソード・カトラス(残弾6/15、予備残弾×26発)、ベレッタM92F(残弾8/15)
[道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2、イングラムM10サブマシンガン(残弾15/30、予備弾倉30発×1)
グルメテーブルかけ(使用回数:残り16品)、ぬけ穴ライト、テキオー灯、ニューナンブ(残弾4)
バカルディ(ラム酒)×1本、割れた酒瓶(凶器として使える)、エクソダスと首輪解除に関して纏めたメモ
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出。物事なんでも速攻解決!! 銃で!!
1:涼宮ハルヒを病院へ送り届け、ハルヒが目を覚ましたらキョンの伝言を伝える。
2:多分いるギガゾンビの手下相手に大暴れする。
3:ゲイナーやゲインのエクソダスとやらに協力する。
4:カズマをぶっ飛ばすのは後でいいか。
5:機会があればゲインともやり合いたい。
6:バリアジャケットは絶対もう着ないし、ロックには秘密。秘密を洩らす者がいたら死の制裁を加える。
7:仕事が終わったらカズマに約束を守ってもらう。
[備考]
※双子の名前は知りません。
※魔法などに対し、ある意味で悟りの境地に達しました。
※ゲイナー、レヴィ共にテキオー灯の効果は知りません。
※空を飛んだり暴れたりで気分は上々です。
※カズマに対する評価が少し上がっています。
【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し) 、気絶、
疲労(極大)、高熱、下唇裂傷。自分の能力に対して知覚 。レヴィに背負われている。
[装備]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回)、
[道具]:デイバック×9、支給品一式×8(食料7食分消費、水1/5消費)、
鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、
RPG-7×2(スモーク弾×1、照明弾×1)、クロスボウ、タヌ機(1回使用可能)
暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)
高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
ダイヤの指輪、のろいウザギ、ハーモニカ、デジヴァイス、真紅のベヘリット
ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、
トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
【薬局で入手した薬や用具】
鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
※種類別に小分けにしてあります。
着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)、コルトSAA(弾数:0/6発-予備弾無し)
コルトM1917(弾数:0/6発-予備弾無し)、スペツナズナイフ×1
簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬、AK-47カラシニコフ(0/30)
[思考]
基本:団長として、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出するために力を尽くす。
1:気絶中
2:セイバーは絶対に許さない
3:病院にいるというトグサと接触し、ドラえもんからディスクを手に入れる
4:書き込みしてきた人物が気になる
5:病院にいるかもしれない凛は最大限に警戒
6:団員の命を危機に陥らせるかもしれない行動は、できるだけ避ける
7:水銀燈がなぜ死んだのか考えるのは保留
[備考]
※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
※キョン、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました
※ジョーカーの情報を信じ始めています
※怒りや憤りなど、ストレスを感じると神人を召還できるようになりました。
他にも参加者などに何らかの影響を及ぼせるかもしれませんがその効果は微弱です。
神人の戦闘力もかなり低くなっています。
&color(red){【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡】}
&color(red){[残り13人]}
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|286:[[涼宮ハルヒの喪失(前編)]]|セイバー|288:[[Reckless fire]]|
|286:[[涼宮ハルヒの喪失(前編)]]|カズマ|288:[[Reckless fire]]|
|286:[[涼宮ハルヒの喪失(前編)]]|レヴィ|289:[[静謐な病院Ⅱ ~それぞれの胸の誓い~ (前編)]]|
|286:[[涼宮ハルヒの喪失(前編)]]|涼宮ハルヒ|289:[[静謐な病院Ⅱ ~それぞれの胸の誓い~ (前編)]]|
|286:[[涼宮ハルヒの喪失(前編)]]|&color(red){キョン}||
*涼宮ハルヒの喪失(後編) ◆7jHdbD/oU2
◆◆
「シェルブリットォォォォォォォォォォッ!!」
太陽を背景に、カズマが吼える。
右肩のプロペラが高速回転し、空気を切り裂きながら生むのは、爆発的な推進力だ。
大気が悲鳴を上げているような唸りを置き去りにして、カズマの拳がセイバーへと肉薄する。
小細工も何もない、暴力的な逆風を連想させる突撃を回避するため、セイバーは跳躍した。
直後、見境のない破砕音が二つ、重なって轟いた。
一つはカズマによって地面が砕かれた音。
もう一つは、神人が大地を蹴り上げた音だった。
巨大な足が、それ自身よりも太い木を、土砂もろとも吹き飛ばす。
セイバーの体躯を遥かに上回る巨木が、宙を舞い、影を投げ落とす。
彼女の真上で一瞬静止した後、それはすぐに落下を開始した。
圧倒的な質量を持つそれは、重力に従って、セイバーの頭を砕き潰そうと落ちていく。
セイバーと巨木の距離は、限りなく近い。
――着地の直後、距離を取る間もなく押し潰される。
そう予測したセイバーは、不可視の刀を力任せに振り上げた。
風が、巨木に触れる。
軋みが耳に届き、刀を握る手に重みが乗ってくる。
その重量と抵抗が、腕に痛みを与えてきた。
だがセイバーはそれらに屈しないよう、両腕と奥歯に込める力を強くする。
そして、振り抜く。
軋みが、裂音に飲み込まれた。
見えざる刃を視点として巨木が両断され、無数の木片を降らせながら落ちていく。
裂けた巨木の半分を足がかりにして、セイバーは再度重力に逆らって跳んだ。
そうやって宙へと躍り出た瞬間、木が接地する轟音に交じって銃声が数発響いてくる。
音を捉えても、銃弾を見切るには時間が足りない。
回避が、間に合わない。
そう判じたとほぼ同時に、セイバーは右腿に熱を感じた。
異物が皮膚と肉を抉り取っていく痛みに、セイバーは表情を歪める。
だが、勢いは削がれない。
致命傷には至らない一撃だ。取るに足らない。
セイバーはそう思考し、刀を振りかぶる。
宙を駆けるセイバーの正面に存在する、青い巨人に向けて。
敵戦力の中、最も切り崩しやすいのは巨人だとセイバーは判断していた。
愚鈍な巨人に攻撃を回避される可能性など万に一つもありえない。更に両手を失った状態では防御することも不可能。
風王結界を纏わない刀で、腕を容易く斬り飛ばせたのだ。
風の加護を受けた今の状態なら、先の巨木のように両断するのは容易だと、そう推測する。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
気迫を解き放つかのような叫び声を上げ、刀を全力で振り下ろす。
見えざる切っ先が正確に、巨人の肩口へと迫っていく。
直撃まで、時間はかからない。
確かな手応えが刃から柄へ、柄から小手を通じて伝わってくる。
そのまま、斬り裂く。
手応えを撥ね退け、正面から斬り裂こうと、セイバーは更なる力を込める。
刃が、食い込む。
目に見えぬ刀がその存在を誇示するように、巨人に亀裂が刻まれていく。
クレバスのような亀裂が横腹にまで到達しようとしたとき、巨人が動きを見せた。
巨人は腰を捻り、暴れるように上半身を揺り動かす。
亀裂が広がることもお構いなしに、巨人は身を捩る。
巨体が暴れるたび、周囲の木がへし折られ、なぎ倒される。
敵を振り落とそうとするその動きに、セイバーは逆らわなかった。
否、逆らえなかった。
くず折れる木を突き破り、広がった枝の群れをぶち破り、激音を放ちながら、輝く拳が突貫してきていたからだ。
セイバーは、揺れ動く巨人を蹴って跳躍する。
巨人が生み出す振動を利用して、セイバーは飛距離を稼ぐ。
迫撃するカズマの拳が、勢いをそのままにセイバーの前を通過した。
空気が破られる音が遠ざかり、カズマの体が空へと昇っていく。
――その背中から、何かが落下した。
「やっちまいな! レヴィ!」
落下ではなく、降下だと気が付いたのは、頭上からそんな声が聞こえてからだった。
「言われるまでもねェ!」
二挺の銃を構えたレヴィが、黒髪をはためかせて降下してくる。
その鋭い目でセイバーを捕捉したレヴィは、唇の端を吊り上げて、嗤った。
「ソード・カトラスの銃撃、しっかりと味わいやがれッ!!」
銃声が、連続する。
体を反らしても、降り注ぐ弾を回避するのはほぼ不可能だ。
故に、セイバーは自らを庇うようにして刀を引き寄せた。
連射された銃弾が、風に捕われ、飲み込まれ、散りゆく。
それでも全てを捌き切れず、ソード・カトラスから吐き出された銃弾の数発は、セイバーの右腕を薙ぎ払った。
右腕が、鮮血で染まる。それとほぼ同時に、セイバーの足が地に着いた。
腿以上の痛みに歯噛みしながらも、刀を握る手に力を入れなおす。
そのとき、左前方にレヴィが、右前方にカズマが着地した。
真正面には、右肩から横腹までを裂かれながらも佇む巨人の姿があり、
その向こうには涼宮ハルヒと、彼女を支えるキョンがいる。
荒い呼吸を繰り返しながら、注意深く彼らを観察し、セイバーは思う。
このまま戦い続ければ、敗北は必至だ、と。
消耗した状態でこれだけの数を相手にするのは、流石に無理がある。
だが、やられるわけにはいかない。
まだ責務を果たしてはいないのだ。命を散らせるには、早過ぎる。
セイバーは素早く敵の様子を窺い、撤退するために最適な手段をシミュレートする。
拳を向けてくるシェルブリットのカズマに、銃口を向けてくるトゥーハンドのレヴィ。
単に彼らに背を向けるだけでは、とても逃げ切れるとは思えない。
何らかの形で隙を作り、包囲網を突破する必要がある。
敵陣で孤立した際に取るべき行動を、セイバーは思考する。
考え付くのは、セオリー通りの戦術。即ち、戦力の最も低い箇所の一点突破だ。
だが、それでも逃げ切れるかどうかは微妙だと思わざるを得ない。
レヴィの銃撃によって退路を狭められれば、カズマが凄まじい突進力、加速力を以って追撃をかけてくるだろう。
巨人がその体を壁として使うなら、それを越える瞬間に狙い撃ちにされることも考えられる。
何らかの形で、足止めをしなければならない。
そのための策を、瞬時に練り上げて。
セイバーは、胸中で自嘲した。
閃いた策は余りに卑劣で、騎士道に背くようなものだったからだ。
しかし、それ以外の手段を思いつけなかった。考えている時間も、ない。
もはや堕ちるところまで堕ちた身だ。
もはやこの手は血塗られ、この身は返り血を浴び過ぎている。
あらゆる汚名を、恥辱を被ってでも、責務を果たすために。
そのために、セイバーは、迷わない。
決して、迷わない。
全ては民のため、国のため。
外道の名を、甘んじて受けよう。
策は決まった。気構えもできた。
あとはそれに従い、動くだけだ。
迷いさえなければ、道さえ分かれば。
体は、動く。
そう決意した瞬間、不意に、巨人の姿がぐらりと揺らぐ。
巨体を構成する青の色が、急激に薄れ始めた。
それに伴い、巨人が放つ無機質な存在感が急速に霧消していく。
「おいハルヒ! しっかりしろ!」
巨人のマスターを支える少年の、不安げな叫びがセイバーの耳へと届いた。
そして、巨人の姿が空気に溶けて、消失する。
見逃せない、チャンスだった。
セイバーの足が強く地を蹴り、小柄な体が跳ぶ。
後ろではなく正面へと、セイバーが駆ける。
それに合わせて動く、二つの人影。
さながら野獣のようなカズマとレヴィを捕捉しつつ、セイバーはデイバックからスコップを取り出し、左手に握り締めた。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
空を背にしたカズマが、宙で一転する。
その身がセイバーへと向いた、その直後、空気が爆ぜるような爆音が響き渡る。
カズマが滑空し、激走とも呼べる速度で大気の壁をぶち抜きながら、突っ込んでくる。
「そいつは何のジョークだ? お砂遊びでもするつもりかァ!?」
レヴィが、セイバーと併走する。
近接武器のアウトレンジで、二挺の銃を構えたまま、疾走する。
レヴィの手にある銃が、セイバーの命を削り取ろうと銃弾をばら撒いてくる。
左右からの、挟撃。
それに足を取られることなく、止められることなく、セイバーはただ前へと駆け続ける。
そうしながら、彼女は両手を振りかざす。あたかも、奏者たちを導く指揮者が、タクトを振り上げるかのような優雅さで。
セイバーの頭上で一瞬、風を纏いし刀とスコップが交差する。
そして。
「風王――結界ッ!!」
凛とした叫びと共に、セイバーは両手を左右へと振り下ろした。
瞬間、セイバーの両側の空気がたわみ、曲がり、急激な動きを見せる。
風が甲高い鳴き声を上げながら、指揮通りの協奏曲を奏でた。
右の風は、刀を覆っていた刃の開放だ。
風の刃は荒れ狂う激風となり、カズマの拳へと正面からぶつかっていく。
左の風は、スコップの推進力とするものだ。
セイバーの手から放たれたスコップが風の後押しを受け、レヴィの銃弾を弾き飛ばして進んでいく。
それらを見送ることすらせず、セイバーはひたすらに猛進する。
「こんなもんじゃ! 俺を止めらねぇッ!!」
「Shit! なんつー曲芸しやがンだッ!!」
双方で声が聞こえるが、セイバーは振り返らない。
まだだ。
この程度で足止めができるような相手なら、既に仕留め終えている。
セイバーは、編み上げたばかりの鎧を再度魔力に転換する。
転換した魔力を用い、もう一度風を生み出した。
セイバーの背後に、突風が生まれる。それに後押しされて、セイバーは急加速した。
その身で空を切り、地を滑り、セイバーは刀を振り上げた。
涼宮ハルヒを庇うように立つ、キョンに向けて。
◆◆
女騎士、セイバーはとんでもなく強かった。
漫画の中でしか見たことのないような能力を使って暴れまわるカズマさんと、
映画のようなガンアクションを繰り広げるレヴィさん。
更にハルヒが呼び出した、これまた常識外れな神人。
それだけを一度に相手にしているというのに、的確な立ち回りで戦い抜いている。
トウカさんと戦って、かなりの疲労があるはずなのに、だ。
そのとんでもない力に不安を覚えたのか、ハルヒは傷を受けた神人を修復しようと念じ続けていたんだが……。
結果として、その行動は失敗に終わった。
神人の修復どころか、ハルヒ自身の意識は途絶え、神人は消えてしまった。
古泉の話では、ハルヒが眠っていようがあいつは平気で暴れまわれるはずなんだが、とにかく消えてしまったことは事実だ。
そして、そんなことすら俺には些事でしかない。
重要なのは、ハルヒが意識を失したということだ。
だから俺は、気を失ったハルヒの額に触れる。
相変わらずハルヒの体温は高く、滅茶苦茶汗をかいてるが、まだ絶望する時間じゃない。
胸は小さく上下しているし、口からは吐息を零している。
ハルヒはまだ、生きているんだ。
俺は急いでハルヒを背負おうとする。そのとき、俺は風を感じた。
こちらへと向かってくる、突風を。
セイバーが滑るようにして、俺たちの方へと突っ込んできていた。
鋭い眼光でこちらを捉え、剣気を撒き散らし、威圧感を放ち、真っ直ぐに向かってくる。
土煙を上げながらのスピードは、自動車よりもずっと速い。
当然、ハルヒを背負って逃げるなんて器用な真似は、できそうになかった。
ならば。
ハルヒを救って逃げることができないのなら。
やるべきことは、動くべき行動は、決まっている。
俺は、咄嗟に前へ出ていた。
迷わずに、ハルヒの前へと。
恐れずに、セイバーの前へと。
足を、踏み出した。
そんな俺に構うことなく、セイバーは刀を振りかざす。その刀身に、太陽光が反射して、やけに眩しく映った。
その眩さに目を閉ざしそうになるが、俺は瞼に力を入れてその動きを止める。
迫ってくる女騎士を見据えながら、俺は思う。
全力疾走をすれば、逃げられるのかもしれない。
思い切り横へ転がっていけば、助かるのかもしれない。
だけどな。
そんなこと、できるわけがないだろ?
俺の後ろには、我らがSOS団の団長が。
――涼宮ハルヒが、いるんだからな。
刀身が、翻る。
それを受け止めようと、バールのようなものを翳すが、それはあっさりと両断されて。
そして。
剣閃が、走った。
左上から、右下へ。
冷たく硬い、金属特有の質感が肌を破っていく。
それに数秒遅れて、激痛が駆け抜けた。
痛む箇所を、見下ろす。
カッターシャツが、大量の血液を吸って染色されていた。
血が、抜ける。全身に力が、入らない。
仰向けに倒れこみながら、俺は後ろに目を向けた。
見えたのは、木々の向こうに遠ざかっていくセイバーの姿だった。
そのまま、俺は寝そべることになる。
気が遠くなりそうな痛みは、俺から力を奪っていく。
やけに寒く、空が狭い。
口の中が異常に粘つき、息が苦しい。
震えそうなほど寒いのに、やたらと喉が渇いている。
もう、立ち上がれそうになかった。
死ぬんだろうなと、漠然と理解する。
一般的な生活を送っていた俺が、まさかこんな死に方をするなんて想像もできなかった。
もっと平凡に年を重ね、老衰で死ぬんだろうなと、そう思っていた。
本当に、世の中は理不尽だ。
それでも、俺は。
後悔なんて、してないぜ。
◆◆
「あの女ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
キョンを斬り、離れていくセイバーに向けて、カズマが咆哮する。
風の壁をシェルブリットでぶち抜き、着地する暇も惜しんでセイバーへと迫撃をかけたが、間に合わなかった。
カズマの足元には、鮮血に染まった少年が一人、仰向けに横たわっている。
その姿を一瞥し、セイバーが消えた方向へと跳ぼうとした、その直前に。
「く、は……ッ」
カズマの耳が、キョンの口から漏れる微かな呻き声を捉えた。
「おい! まだ、生きてるのか!?」
尋ねたカズマの声に、キョンは薄く瞳を開ける。
「ハルヒ、は……?」
弱々しい掠れた声に応えるよう、カズマはキョンの側で気を失ったままのハルヒを見る。
苦しげな表情だが、確かに呼吸をする少女には、傷一つ見受けられなかった。
「気絶してるだけだ。唇以外に怪我はねェ」
「そう、ですか」
キョンが、心からの安堵を浮かべる。
耐え難いほどの激痛に苦しんでいるはずなのに、そんな素振りを欠片も見せはしない。
ハルヒが無事だったならば、他の苦痛など何でもないと、そう告げるように。
「ハルヒに、伝えて……もらえますか?」
キョンの口が、言葉を紡ぐ。
小さく、それでも確かな声が、流れる。
「俺の平穏な日常は、お前のせいで滅茶苦茶になっちまった。
訳の分からん出来事に巻き込まれて、お前の我侭に振り回されてばかりで、付き合ってられんと、何度も思った」
そこで言葉を切って、キョンは深く、大きく息を吸った。
「だけど、そんな毎日が、悪くはなかった。楽しかった。
――そう、伝えてください」
「ふざけんな! 言いたいことがあんなら、テメェの口で言いやがれ!」
身を乗り出して恫喝するカズマに、キョンは、困ったように笑むだけだった。
カズマにも、分かっていた。
キョンがハルヒと話をすることは、もう不可能だということくらい。
そして不可能だということを、キョン自身が察しているということくらい。
分かっていた。
だから、それ以上の言葉が続かない。続けられない。
やり場のない感情が、カズマの中で荒れ狂う。
それに突き動かされるように、カズマは拳を、手近な木へと叩きつけた。
木が折れ、吹き飛んでも、カズマの気分が晴れはしない。
「……おい、カズマ」
「あぁ? あんだよ!?」
そんな状態だというのに声をかけてきたレヴィに、カズマは八つ当たり気味に返事をして振り返る。
そうやってレヴィの姿を認めた瞬間、カズマは目を見開いた。
レヴィの左上腕から、血液が滴り落ちていたからだ。
「お前、その傷……」
レヴィの左腕の皮膚は裂かれ、肉が削られ、上腕の筋肉が露出し、空気に触れている。
右腕のタトゥーとは違った無造作な模様が、血液で描かれていた。
「あたしとしたことが掠っちまった。痛ェよ。糞ッタレ」
右手の親指で、レヴィは背後を指す。
その先には、先端が赤黒く染まったスコップが転がっていた。
「それよりも、だ。おかしいと思わねェか?」
「あぁ? 何がだよ?」
レヴィは、大きく溜息を吐いた。
頭を横に振って、哀れむような視線をカズマに向ける。
「少しは頭使えよカズマ。いいか? さっきあの女は、とんでもねぇスピードでこいつ――キョンへ突っ込んで行ったんだ。
お前がナントカブリットで突っ込むみてぇにな。そんなスピードが乗った剣で斬られたってのに。
なんで、こいつはまだ喋れるんだ? あいつくらいの腕があれば、一発で首を撥ねることくらいできるだろ」
カズマは、押し黙る。
たまたま急所を外した。スピードに翻弄されて剣筋がずれた。
そう考えることもできなくはないが、それでは腑に落ちなかった。
「推測だけどな」
カズマが答えを出そうとする前に、レヴィがそう前置きをして、続ける。
「わざと一撃で殺さなかったんだ。
そうすりゃ、今、こうやってるみたいに、あたしらの意識はキョンに向くと踏んだんだろうな。
その間に逃げりゃ、あたしらと距離を取ることや、追われる前に身を隠すことだってできる。
要するに、あの女はこいつを使って、あたしらを足止めしようとしていやがるンだ」
まくし立てると、レヴィは小さく鼻を鳴らした。
「全く、気に入らねェ」
レヴィが、そう吐き捨てる。
「……ああ、そうだな。マジで気に入らねェよ」
答え、カズマは、右の拳を左手に打ちつけた。
随分コケにしやがってと、カズマは思う。
もともと腹の立つ相手だった。
その想いが、薪をくべられた炎のように逆巻いていく。
下らない小細工を弄して、足を止められると判断したセイバーを、燃やし尽くそうというように。
カズマの激情が、熱量を増していく。
「最ッ高にムカつくぜあの女。もう次はねェ。次なんて、与えねェ。
ボコってやる。徹底的に、ボコボコにしてやる……ッ!」
カズマの奥歯が、鈍い音を立てる。
怒りに震える表情で、カズマは木々の向こう、セイバーの消えた方角を睨み付けた。
「追うんだな、カズマ?」
「たりめェだ。追いついて、見つけて、分からせてやる。こんな小細工で俺から逃げ切ることなんざ、できねェってな」
宣言して、カズマはキョンを見下ろす。
キョンの虚ろな視線と、戦意に満ちたカズマの視線が、交差した。
「悪ぃな、キョン。お前を病院には連れて行けそうにはねェ。だがな、お前のことは確かに刻んだ!」
握った拳を、キョンの頭上へと翳す。
するとキョンは、首を縦に振ってみせた。
続いて、カズマはレヴィへと視線を移す。
彼女は口の片端だけを持ち上げ、不敵な笑みを浮かべていた。
「行ってこい、行ってこいよカズマ。思いっきり、あの女をぶっ飛ばして来い」
意外なその言葉に、カズマは眉を上げる。
「あ? お前は来ねぇのか?」
「正直暴れ足りないがな。あたしは運び屋だ。予定通り、涼宮ハルヒを病院まで運んで行く。
今回ばかりは、てめぇに任せてやるよ。
それとも何だ? レヴェッカ姐さんにも来て欲しいってか?」
レヴィの返答を、カズマは鼻で笑って一蹴した。
「下らねぇ冗談だ。来ねぇんなら遠慮なく、行かせてもらうぜ」
言いながら、カズマが、左手をレヴィに掲げる。
応えるように、レヴィが、右手をカズマへと掲げる。
「俺が戻るまでにくたばってんじゃねぇぞ!」
「ハッ、みっともなく負けて帰って来ンなよ!」
互いに軽口を叩き合い、掲げた腕を打ち合わせる。
そのことに、カズマは奇妙な快さを感じた。
こいつになら背中を預けてもいいか、などと思い、そして。
広大な夕空へと、カズマは跳躍した。
目指す場所は、敵のいる場所。
大気を割り、地を砕き、カズマは跳ぶ。
刻んだ多くの名を、その肩に背負いながら。
カズマは突き進む。
自らの意地を拳に乗せて、叩きつけるために。
荒ぶる魂をそのままに、カズマは駆け続ける。
どこまでも、真っ直ぐに。
◆◆
「本当、クレイジーな野郎だぜ」
嫌いじゃねェけどな、と小声で付け加え、レヴィは、散々な顔色で眠る涼宮ハルヒに手を伸ばした。
左腕を動かすと、傷口が痛みを訴えてくる。
そっとしてくれと言われているようだが、構わずレヴィはハルヒを背負うため、手を動かした。
やれやれ、このあたしがガキのお守りかよ。
そう思いながらも、レヴィは自分が行かなかったことを後悔してはいなかった。
セイバーの目的が撤退、あるいは回復のための時間稼ぎなら、カズマ単身で向かわせたほうがいい。
認めたくはないが、レヴィを乗せたままだと移動速度が落ちるのは事実だった。
だがカズマを行かせた理由は、それだけではない。
レヴィは、セイバーを発見したときのカズマを思い出す。
『――ボコる相手が、出来た』
そう言うや否や、絶叫を上げてぶっ飛んで行ったカズマ。
あのときは独断先行の理由が分からなかったが、セイバーと戦っていたカズマを見ていて、大体の察しはついた。
あの女は、カズマの敵なのだ。
詳しくは知らないし、知るつもりもない。
因縁を尋ねる気もないし、知りたいとも思わない。
だが、分かる。
明確で剥き出しな敵意を、カズマはばら撒きながら戦っていたのだから。
カズマの言う通り、気に入らない女だったとレヴィは思う。
だから先ほどはカズマに加勢したし、もし今、目の前にセイバーが現れたら、レヴィは迷わず銃を構えただろう。
とはいえ、レヴィにはセイバーとの因縁などほとんどない。
それならば、セイバーとやり合うのはカズマの方が相応しい。
いくらバトルマニアのレヴィとはいえ、仇敵との決着に乱入し、水を差そうととするほどレヴィは無粋ではなかった。
それに、だ。
――まぁ、あいつなら大丈夫だろ。
などと考えてしまう程度には、レヴィはカズマのことを買っていた。
そんなことを考えながら、レヴィはハルヒを背に乗せる。
そして、もはやほとんど動かないキョンを、見やった。
「ハルヒを……よろしく、お願いします……」
囁くような小声を、レヴィは確かに聞いた。
だから、右手を上げて、答えてやることにする。
「オーライ、オーライだ。だがな、連れて行けるのはこいつだけだ。
助からねェ奴を引っ張って行くほど、あたしゃサービス精神旺盛じゃないんでな」
こくりと、キョンの首が動く。そして、その口が何かを言おうと、開閉する。
しかし、それは音にはならなくて。
空気を揺らすことは、できなくて。
そして、その少年は、動かなくなった。
そのことを確認すると、レヴィはそこから目を離す。
彼女にとって、もはやそれは“かつて人であったモノ”でしかない。
特別な感慨も、感傷もなく、ただニューナンブだけを拾い上げると、無造作にデイバックへ投げ込み、歩き出した。
振り返る素振りも、立ち止まる雰囲気もなく。
レヴィは、歩いていく。
背中に、気が滅入りそうな体温を感じながら。
死んだ人間に、物と成り果てた存在に興味などない。
だが、そいつが生きていた頃に告げた言葉くらいは、遺志くらいは果たしてやろうとレヴィは感じていた。
「……ヌルくなっちまったな、あたしも」
呟いたとき、ロックの勝ち誇ったような表情が何故か浮かんだ。
次にロックに会ったとき、とりあえず殴っておこうと心に決めて。
レヴィは、歩いていく。
涼宮ハルヒを、病院へと送り届けるために。
涼宮ハルヒへ、キョンの言葉を、伝えてやろうとするために。
【C-4北西/2日目-夕方】
【セイバー@Fate/stay night】
[状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、頭部に重症(治療済み)、右腿、右腕に銃創
疲労(大)、魔力消費(極大)、これ以上無く強い決意、やや空腹
[装備]:小夜の刀(前期型)@BLOOD+
[道具]:支給品一式×3(食料は通常支給-1)
[思考・状況]
基本:参加者を殺す
1:カズマたちから逃亡し、休息を取る。
2:エクスカリバーを手に入れる、必要ならば所持者を殺害する
3:絶対に生き残り、願いを叶えて選定の儀式をやり直す。
【C-4森林部東/2日目-夕方】
【カズマ@スクライド】
[状態]:疲労(やや大)、強い決意、全身に中程度の負傷(処置済)、西瓜臭い、全身に少々の痛み
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料-1)、翠星石の首輪、エンジェルモートの制服
[思考]
基本:気にいらねぇモンは叩き潰す、欲しいモンは奪う。もう止まったりはしねぇ、あとは進むだけだ!
1:セイバーを追い、見つけ、徹底的にボコる。
2:セイバーをボコった後、病院へ戻る。
3:首輪を外してギガゾンビをぶっとばす。
4:そのためにはレヴィとも協力する。
[備考]
※いろいろ在ったのでグリフィスのことは覚えていません。
※のび太のデイパックを回収しました。
※レヴィに対する評価が少し上がっています。
【D-4森林部北/2日目/夕方】
【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]:脇腹、及び右腕に銃創(処置済み)、背中に打撲、左腕に裂傷。
頭からバカルディを被ったため少々酒臭い、疲労(やや大)、全身に少々の痛み
[装備]:ソード・カトラス(残弾6/15、予備残弾×26発)、ベレッタM92F(残弾8/15)
[道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2、イングラムM10サブマシンガン(残弾15/30、予備弾倉30発×1)
グルメテーブルかけ(使用回数:残り16品)、ぬけ穴ライト、テキオー灯、ニューナンブ(残弾4)
バカルディ(ラム酒)×1本、割れた酒瓶(凶器として使える)、エクソダスと首輪解除に関して纏めたメモ
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出。物事なんでも速攻解決!! 銃で!!
1:涼宮ハルヒを病院へ送り届け、ハルヒが目を覚ましたらキョンの伝言を伝える。
2:多分いるギガゾンビの手下相手に大暴れする。
3:ゲイナーやゲインのエクソダスとやらに協力する。
4:カズマをぶっ飛ばすのは後でいいか。
5:機会があればゲインともやり合いたい。
6:バリアジャケットは絶対もう着ないし、ロックには秘密。秘密を洩らす者がいたら死の制裁を加える。
7:仕事が終わったらカズマに約束を守ってもらう。
[備考]
※双子の名前は知りません。
※魔法などに対し、ある意味で悟りの境地に達しました。
※ゲイナー、レヴィ共にテキオー灯の効果は知りません。
※空を飛んだり暴れたりで気分は上々です。
※カズマに対する評価が少し上がっています。
【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し) 、気絶
疲労(極大)、高熱、下唇裂傷。自分の能力に対して知覚 。レヴィに背負われている。
[装備]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回)
[道具]:デイバック×9、支給品一式×8(食料7食分消費、水1/5消費)
鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)
RPG-7×2(スモーク弾×1、照明弾×1)、クロスボウ、タヌ機(1回使用可能)
暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)
高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
ダイヤの指輪、のろいウサギ、ハーモニカ、デジヴァイス、真紅のベヘリット
ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、
トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
【薬局で入手した薬や用具】
鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
※種類別に小分けにしてあります。
着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)、コルトSAA(弾数:0/6発-予備弾無し)
コルトM1917(弾数:0/6発-予備弾無し)、スペツナズナイフ×1
簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬、AK-47カラシニコフ(0/30)
[思考]
基本:団長として、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出するために力を尽くす。
1:気絶中
2:セイバーは絶対に許さない
3:病院にいるというトグサと接触し、ドラえもんからディスクを手に入れる
4:書き込みしてきた人物が気になる
5:病院にいるかもしれない凛は最大限に警戒
6:団員の命を危機に陥らせるかもしれない行動は、できるだけ避ける
7:水銀燈がなぜ死んだのか考えるのは保留
[備考]
※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
※キョン、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました
※ジョーカーの情報を信じ始めています
※怒りや憤りなど、ストレスを感じると神人を召喚できるようになりました。
他にも参加者などに何らかの影響を及ぼせるかもしれませんがその効果は微弱です。
神人の戦闘力もかなり低くなっています。
&color(red){【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡】}
&color(red){[残り13人]}
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|286:[[涼宮ハルヒの喪失(前編)]]|セイバー|288:[[Reckless fire]]|
|286:[[涼宮ハルヒの喪失(前編)]]|カズマ|288:[[Reckless fire]]|
|286:[[涼宮ハルヒの喪失(前編)]]|レヴィ|289:[[静謐な病院Ⅱ ~それぞれの胸の誓い~ (前編)]]|
|286:[[涼宮ハルヒの喪失(前編)]]|涼宮ハルヒ|289:[[静謐な病院Ⅱ ~それぞれの胸の誓い~ (前編)]]|
|286:[[涼宮ハルヒの喪失(前編)]]|&color(red){キョン}||
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