怪傑砂頭巾SS_00

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eritan

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「ある朝の風景 ~中村繪里子 誕生日~」

          怪傑砂頭巾

  今年も誕生日が近づいてきた。
  まだ20代、でも最後の20代の誕生日。何か特別な事があったら嬉しいなぁ。ちょっとモモノキの誕生日会は不安だけど。
「さて、と。今日はオフだし……」
  ベットを出て、ローテーブルにのそのそとにじり寄って「ぽち~っ」と電源を入れる。
  冬の室温を嫌がるように、ちょっとぐずる様なぶぶぶぶ~って音を出しながら、ウチのノートパソコンちゃんが目を覚ます。
  その間に、顔を洗って、パジャマを着替えて、朝ごはん……はいらないかな。コーヒーだけ淹れてこようかな。
  そんなことを考えながら、階下へと階段を降りていく。
「ミルクたっぷり、砂糖もどっさり、これが私のコーヒーよん♪」
  なんか「太るよ!」ってツッコミが聞こえた気がするけど、空耳だよねー。
  とんとんとん、と軽やかに階段を降りていく。
  朝ごはんには遅い時間だから、キッチンからおいしそうな香りが漂ってくることもない。でも、いつもこの時間に起きてくることは知ってるから、きっと向こうには居るんだろうなぁ。
  そんな事を思いながら、ドアの向こうへ声をかける。
「おはよー。コーヒーちょうだい」
  キッチンから、ドア越しに聞こえる声を受けながら、顔を洗いに洗面台へ向かう。
  今日もいつも通りの朝だ。


  マーブル色の渦を綺麗に描いたマグを片手に持って自室に戻る。この渦が綺麗に出来た日は、一日良い事があるって決めてるから、今日は良い日。今決めた。
  ちなみに今日のマグカップは、ビビットカラーでちょっと目に痛い黄色のヒヨコ。
  今までは麻美ちゃんとペアで買ったのと、日笠と強引にペアにしたのを交互で使ってたけど、今はもう一つ仲間入りしている。
  今までのと違って、ペアじゃないけど、なんとなくそれもアノ番組らしくていいかなと思ってる。むつみが番組に慣れたら、クマのマグでもプレゼントしようと心の中で考えてる。
  実現する日は遠そうだけど。

「さてさて、今日は久しぶりに自分をググっちゃおっかな?」
  静かに私を待っていたパソコンちゃんの前に座り、まずは自分のブログを確認。日記宛に頂いたコメントに目を通す。
  勘違いしてる人が居るかも知れないけど、実は小まめに自分のブログを確認してるんだよ?
  更新しないけど。
  別にね、日記を書くのがいやな訳じゃないの。ただ、やっぱり自分は声優だから、仕事を通じて中村繪里子を知って欲しいって思う。
「それに、そこまでブログを期待している人居ないと思うし」
  あうっ、ちょっと心に響いた。
  でも現実的な話、作品にはたくさんのファンがつくけど、声優個人へのファンってそこまで多くないのが実情だし。ブログ書かないのがネタになってるし。芸人呼ばわりされるし。そんなにメジャーな作品には出てないし。胸も出てないし。いや、胸関係ないし。
「んー、いまいち」
  ついどんな内容でも笑いに持っていこうと思考が働く。それはオフの日でも変わらないけど、朝イチだからあまり頭が働いてないみたい。
  糖分増し増しのコーヒーに口付けて、ぼんやりと薄もやのかかったような頭のまま、自分の名前を検索ワードに打ち込む。
  そのまま検索しようとして、ふと思いついた単語を追加してみる。

  中村繪里子 誕生日

  すると、何やら妙なものが一番上に表示されていた。
「中村繪里子お誕生繪2010-トップページ? タイトルをそのまま読めば、私の誕生日を祝う何かというのはわかるけど」
  どことなく面白いことが起こりそうな予感を胸に、ページを開こうとマウスカーソルを動かす。
  とそこで、タイミング良く私のお腹がぐぅとないた。
  私以外誰も居ない部屋を改めて見回して、食べる物が視界に入らない事を確認。
  よーし、今日のネタはこのページにしますか!
  そう決意して、再びキッチンまで戻ることにした。


  おぼんにトーストとサラダを載せて、ついでに減った分を補充したコーヒーも手元に置いて準備万端。
  あとは、このページが予想以上に楽しいところであることを期待するだけ。
  ではでは。
  「クリック♪」

          to be continued ?
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