オカシイ世の中覚え書き

第166回国会・参議院厚生労働委員会議事録 2月15日 下田敦子氏の質問

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○委員長(鶴保庸介君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、南野知惠子君、松村祥史君及び野村哲郎君が委員を辞任され、その補欠として神取忍君、二之湯智君及び秋元司君が選任されました。
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○下田敦子君 厚生労働委員の下田敦子でございます。
 少子化対策についてお伺いいたします。
   〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕
 柳澤大臣におかれましては、このたびの一連の出来事に大変お疲れのことと存じます。御心中拝察して余りあるものがあります。いつもノー原稿でシャープな御答弁をなさっておられる大臣ですので、何とか人口を増やさなければいけないというリーダーとしての思いからあのような思考回路になられたのではないかと、良しあしは別として、個人的には理解できるような気がいたします。
 ただ、御発言のお言葉に対して、年代、現在まで置かれてきた環境、そして男女の性差、これを強く感じました。
 例えば、私どもの身の回りを見ましても、言葉の問題は大変日本が少し遅れがあるように思います。例えば、婦人、主婦、それから夫を呼ぶ場合の主人、欧米ではこれは死語になっています。あるいはまた新聞用語として使ってはいけない言葉もあります。ですが、我が国では普通に日常用語として使われています。
 例えば、婦人という言葉は、男性側からの対語がないので、相対する言葉がないので現在ほとんど使われなくなりました。これは軌道修正されたと思います。しかし、夫を呼ぶ場合の呼称に、主人と呼びまして、何か言葉のグレードが高くなったような錯覚を持っておられるようなきらいがありますけれども、妻は夫に仕えますサーバントではありません。主婦、いわゆるハウスワイフという言葉はもはや新聞用語としては使ってはいけない言葉、これがアメリカでは常識になっています。このような男女平等文化の違いから、このたびの大臣の御発言に対して欧米のマスメディアがアレルギー反応を示しました。
 例えば、アメリカのロサンゼルス・タイムズ、ニューヨーク・タイムズ、シカゴ・トリビューン、それからイギリスのロンドン・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、ガーディアン、それからインディペンデント、フランスのリベラシオン、ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ新聞、それからフランクフルター・ルントシャウ、それから南ドイツ新聞、それからシュピーゲル、ベルリン新聞、それから中国の人民日報。中国の女性は天の半分支えているそうですから理解もできますが、何と少子化が進んでいる朝鮮時報まで一斉に報じました。
 ここで、大変失礼ですが、大臣にお尋ねしたいと思います。
   〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
 「男の家政学」という、十七世紀、オーストリアのホーベルクという男爵が著しました「家政学大全」という本をお読みになったことがありますでしょうか。日本だと、例えば男子厨房に入るを禁ずの考え方がついこの間まで、今もあるかもしれません、ありますので、とんでもない本だと思われるかもしれませんが、この本はいまだによく読まれています。その考え方に、家政、家を治めるというのは本来男のものだったと、それから家を治めるのはその家のあるじの仕事だったと書き著しています。「主婦の家事労働」、それから「産業革命と主婦の変化」、そして最後にこの本は「男と女の家政」というまとめをしています。
 私はここで何を申し上げたいかと申しますと、子供、家庭、そして少子化の現象に対する欧米と日本の根本的な違いがあるということを強く申し上げたいんです。
 韓国も少子化が進んで悪化していると言われています。韓国は伝統的に性的役割分担が強くて、意識がそういう意味では偏ったものがあります。夫は育児に対して参加しない、いわゆる男性の家事労働時間は日本とともに一日平均十五分間だそうであります。そして、欧米の一日二時間という男性の家事労働時間と比較いたしまして大きな違いのある環境の中で、少子化は加速し、八〇年代半ばには合計特殊出生率が二を割りました。二〇〇五年には一・〇八を割って、そして過去最低を更新しているのが現在の韓国の状態であります。
 それからまた、イタリアの出生率の低さ、これも深刻ですが、第二次世界大戦の中のファシストの考え方があります。国による人口政策、家族政策がタブー視されていたことから、少子化の政策は講じられていませんでした。
 先ほどの、先輩の千葉景子委員が国にアレルギーを持っている云々の御発言でありますが、大変びっくりいたしましたけれども、そういうことが日本も第二次世界大戦から以後受け継いだ土壌があるということをやはり、これを理解をしていかなければならないのではないかと、私はそう思います。
 そこで、この「男の家政学」を含めて具体的なお尋ねを申し上げたいと思います。
 今まで、我が国の今日までの少子化対策、たくさんたくさんありました。私事で恐縮ですが、平成三年に県議会議員をさせていただいて以来、毎度毎度この少子化問題を取り上げさせていただきました。そうしましたら、下田議員は口を開けば少子化だと、それを言われましたのが平成三年以後です。御案内のとおり、青森県の若年労働者並びに人口はひどい数で、年間四万人ぐらい減った年もありまして、そういうふうなことを理解できなかった当事の部長が今どういう思いでいるかなと、私はそう思います。ですから、今までの少子化対策の政策とその成果についてお伺いしたいと思います。
○副大臣(武見敬三君) これまで政府においては、御案内のとおり、平成七年度からのエンゼルプラン、それから平成十二年度からの新エンゼルプランに基づきまして、保育関係事業を中心に具体的な目標を掲げて計画的な整備に取り組んでまいりました。また、平成十六年に策定した子ども・子育て応援プランに基づき、若者の自立、働き方の見直し、地域における子育て支援を柱として総合的な施策の推進を図るとともに、次世代育成支援対策推進法に基づき、地方公共団体及び企業においても行動計画を策定し、国、地方公共団体、企業など、社会全体での取組を進めてきたわけであります。またさらに、児童手当の支給対象年齢の拡大、それから育児休業制度の充実にも取り組んでまいりました。
 こうした取組によりまして、子育て支援サービスの整備が各地で進み、また育児休業取得者の増加、そしてまた企業における仕事と子育ての両立支援の取組の普及などが実際には具現化したと、こういうふうに考えております。
 また、子供を産み育てやすい環境づくりに向けて、こうした試みを通じて一定の成果は上げてきたというふうには考えておりますけれども、残念ながらこの少子化の流れというものをしっかりと変えるというところまでは至っていないと、こういう認識におります。
○下田敦子君 効果が、成果が上がらないのはどういう理由であったかをお尋ね申し上げます。
 それから、あわせまして、いろんな少子化政策を掲げて、政策を持っていらっしゃいます担当省、部局は幾つありますか。そういう意味では私は、世界にまれに見る少子化政策の持ち方だと思っておりますが、いかがでしょうか。
○副大臣(武見敬三君) 他の国、例えば欧米諸国との比較という観点で考えて、またその理由等についても考えてみますと、フランスにおきましては国際的に見ても手厚い家族政策を展開をしておりまして、報酬の五・四%に相当する企業からの拠出金などによる相当規模の財源が確保されていることに支えられ、第二子以降、二十歳未満の児童を対象にした家族手当制度の給付、それから集団託児所や認定保育ママなど充実した保育サービスの提供、この認定保育ママというのは在宅でいわゆるベビーシッターのような形で子育て支援をする方々であります。また、育児休業中の所得保障などを実施しております。これらの施策に加えて、国際的にも短い週三十五時間労働制などの社会的な条件というのもフランスにはございまして、こうしたことがかみ合った上で、男性も女性も仕事をしながら子育てにかかわる時間を確保できる環境が整えられているということが指摘されております。
 また、スウェーデンのケースでありますけれども、七〇%に及ぶ高い国民負担率に支えられまして、児童の健全育成、男女雇用機会の均等の観点から、子が一歳六か月になるまでの全日休暇と、八歳までの部分休暇が取得できる両親休暇制度というのがあります。また、子が八歳に到達するまでの間、両親合わせて子一人の出生について最高四百八十日まで受給可能な親保険による両親給付というものがございます。それから、二歳以上の約九割をカバーする保育所やファミリー保育による保育サービスの提供などを柱とした手厚い家族政策の展開によって、男女とも高い労働力率の中で子育てできる環境の整備が図られているというふうに指摘されております。
 こうした点見ながら、我が国としても、やはりこの子育て支援に対する総合的な施策の充実というものが急務であろうというふうに認識しております。
○下田敦子君 それほどにたくさんいろんな情報を得ながら、なぜそれを取り入れられないのか、非常に私は不思議に思います。
 海外から指摘されていることがあります。日本のそのたくさんな様々な諸政策、なぜ成功しないのかということを専門家に言わせますと、一貫性がないこと、それから継続性がないこと、これの二点が海外からも指摘されています。
 例えば、昨年のことでありますが、猪口大臣が、その就任のときから全国の都道府県知事に対して政策対話を行っていらしたようです。予算編成に少子化対策を盛るようにということをやっておられましたが、この事業は、以後どうなりましたか。各地域でそういうことをやっていらしているかどうか、各県でどうであるか、これをお尋ねします。
○政府参考人(大谷泰夫君) 前猪口大臣が中心になっておまとめになりましたプランでありますが、この中身は、例えば乳幼児加算の実現を含めまして、大小様々多岐にわたっておりましたけれども、昨年の予算編成過程の中でほとんどのものが今盛り込まれて今国会に審議をお願いしておりますし、また関連する諸制度に変わってきているものありまして、着実に推進に移されたものというふうに理解しております。
○下田敦子君 先ほども千葉委員の方からお話ありましたが、やはり子ども家庭省という一本化した省庁がないことには、これはやっぱり総合的に総体的に継続性を持って一貫して進めていくということは私は無理だと思います。
 例えば、社会保障給付費の中で児童・家族関係の給付の割合が平成十五年度、ちょっと古いのですが、高齢者関係給付費が五十九兆三千百七十八億円、全体の七〇・四%です。ところが、これに対して児童・家族関係給付費三兆一千六百二十六億円、全体の三・八%です。大変な開きがあります。
 また、OECDの基準には、社会支出のうち家族分野への支出給付割合、これが二〇〇一年では、イギリスが九・九七、フランスが九・八六、スウェーデンが九・八、そして何と我が国は三・四三と、国際比較数値から見て、少子化対策に対しての予算の持ち方、大変な開きがあるということをここで申し上げたいと思います。
 新たなその少子化対策の推進に当たっては、まず第一に家族政策、第二に子育て支援、第三にワーク・ライフ・バランス、先ほども出ましたけど、働き方の改革です。第四に子供、いわゆる子育て支援のための税制の改革もあると思います。
 そこで、我が国がここまで全く取り組んでこなかったと思われる税制についてちょっとお尋ねします。
 お手元の資料に差し上げてありますが、所得税の税率構造の中で「N分N乗方式」というのがありますが、これはいわゆる家族単位で課税方式でやっているわけですので、家族が多いほど納税に優遇され有利になるという方法でありますが、これに対しては、格差が出るんじゃないかと、所得の多い人は受ける恩典がもっともっと多くなるけれども、所得が低い場合にはそれぞれに、幾らN分のN乗であっても恩典が薄いというふうな一つの政策の陰に隠された一つの欠点といいますか特徴があるとは思いますけれども、でも、こういうことに対して全くやってこなかった我が国の一つの社会的な備え。
 それから、これは贈与税の場合も言えます。例えばフランスでは、祖父母から孫へ贈与される、これは十年ごとにできるというんですね。ちょっと日本の贈与税の考え方とは違います。これに対する控除が一万五千ユーロ、これから三万ユーロへと引き上げられて大変贈与に課税される税金が軽減されたと聞いております。
 そういうことを考えたときに、やはりこれは全部の省庁からしてこういう目標を持った考え方をしなければ、フランスのような人口は力なりということまでに、特殊出生率が二・〇〇五まで上がらないのではないかなと、そういう気がいたしてなりません。こういうことをまずここで一区切りをしてお尋ねを申し上げたいと思います。大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 後で何か財務省の担当者も補足をしてくれるのかとも思いますけれども、御指名ございましたので、厚労大臣という立場をちょっと離れまして、私がここへ座る前に務めておった税制調査会でどんな議論をしたかということだけちょっと御報告させていただきます。
 これは今、下田委員の御指摘になられたとおり、こういうことをやりますとお金持ちが大変得するという税制になると、これはもう簡単な見やすい理屈でございます。ただ、我が国の場合に、そのお金持ちが得をしつつも、とにかく世帯の構成員の数を広くするほどのインテンシブが働くような高い累進度を持つ税制を今持っているかというと、そうなってないんですね。ほとんど累進カーブは寝てしまっていますから、これのメリットを享受するのは明らかに高額所得者なんですが、その人たちにも大して効かない。どうも今の我が国の税制には余り効果がないんではないかと。これが議論の大体の結論でございまして、そういう意味で、もちろん一部積極的な議員もおりましたけれども、大勢としては余り積極的になられなかったと、こういうのが状況でございました。
○下田敦子君 相続税に対してはいかがですか。例えば、フランスでやっているような十年ごとの相続課税ということがありますが。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 何かもういい加減にやめなきゃいけないかと思いますけれども、この元税制調査会長の発言は……
○下田敦子君 いや、大いに聞かしていただいて。
○国務大臣(柳澤伯夫君) いや、やめますけれども。
 むしろ、相続税につきましては贈与税と一体化するということを最近やりましたものですから、そういう意味で、その趣旨、今、下田委員の御指摘になられるような趣旨もかなり実現に向けてもう一歩も二歩も進んでおるということでございまして、それを踏まえると、今喫緊の課題としてその問題を我々課題として受け止めるには及ばないんではないかと、こんな感じの御議論でございました。
○下田敦子君 ここで、まだまだちょっと質問申し上げたいことがありますので、いったんこの税金の話は、また別の場でさせていただきますけれども。
 日本の人口がなぜ増えないのかということをいろいろ考えたときには、例えば世の中、私どもの社会保障の内容は医療、介護、年金というのがあるんですけど、これに対してこういう喫緊の課題、しかもその柳澤大臣の御発言にちなんでやっぱり世直しをしていくということを一大テーマにしたならば、お気になさらないで、大変失礼な申し上げ方かもしれませんので申し訳ありませんが、子育て基金というものを私は海外並みにつくるべきだなと。何でもかんでも国に頼るというふうなことは限界があります、こういう状況の中ですから、企業もそれから国も地方自治体も併せて様々な形でこの子育て基金の創設というものは考えていかなければならないんではないかなと思います。
 それから次に、この問題からちなんで、家族手当、出産休暇、育児休暇、大変我が国の政策とフランスの場合とは開きがあるようであります。例えば、先ほど病気のお子さんの場合のお話が出ましたが、病児の取扱いで現在、年間十六日間休めると。それで、身近なそれぞれの医師会の方々も大変殊勝な方がいらっしゃいまして、病児の保育所をつくられました。ですけど、全く公的な、例えば市役所等の補助金が薄くてとても困るという話をされました。ですから、そういうことも、先ほどのお話に大変力強く思いましたけれども、是非やらなければならない分野だと思います。
 それから、御案内と思いますが、大家族カード、これがあれば、フランスの国鉄の七五%の割引、動物園、美術館、プール、これらの公共施設は無料、それからデパート、ホテル、レンタカー会社の割引がある。社会全体が少子化を支援しているということもあります。もっといいなと思ったのは、お手伝いさんを雇う場合に国庫補助があるということです。
 我が国で待機児童が多くて非常に困っている話を聞きましたので、私なりに、昨今のこの東京におけるベビーシッター会社の会社の状況をちょっと調べてみました。例えば、一時間子供を見てもらいますと、大体千六百円から二千八百円、そしてそれに交通費、そしてまた保育園、幼稚園に通うお子さんの場合には送迎費なども差し上げなきゃいけないということで、一日約一万二千五百円以上掛かるというのが分かりました。これであれば、とても子供さん二人目などという場合、あるいは普通のサラリーマン世帯では頼める状態のものではありませんが、大変このベビーシッター会社が今大繁盛であります。随分あちらこちらにありまして、一つの企業化しているということが分かりました。
 そこで伺いますが、待機児童がこの港区で特に多くて八十八人、六人募集するところに二十六人応募している保育所もあります。例えば、去る二月の十二日ですが、厚生労働省が発表されました認可保育所での定員オーバー、これ五年連続して続いている。ですから、待機児童ゼロ作戦の三千七百十五億円のこの使い方がどんなふうになっていくのか、私は大変心配になりました。
 続けてちょっとお尋ねいたしますが、安倍内閣の組閣については、これはいずれ予算委員会に譲らせていただきますが、私は非常に驚きました。高市早苗沖縄北方担当相でいらっしゃいますが、科学技術政策、イノベーション、少子化・男女共同参画、食品安全と多岐にわたって担当されております。私の記憶では、今までにない重責だと。本当にオールマイティーでいらっしゃいます、担っておられると思います。高市大臣は有能な大臣とはいえ、欧米においてはそれぞれ単独に省庁として進めている生活に密着した行政分野であります。例えば、食品の安全それから消費者行政などについても、アメリカのケネディ大統領が自ら消費者の五つの権利を言い表しまして、昨今、現在ではこれが消費者の八つの権利に定めるに及んでいます。それほど大事な部分であります。
 ですから、安倍内閣の政策の取り方に、私は率直申し上げまして非常に古いと思います。それから、生活イコール政治の概念が時代錯誤であると、私はそう思います。アナクロニズムを感じました。これ、「美しい国へ」のここに、昨晩もちょっと読み返しましたが、少子化を含めましてこれは一度きちっとお尋ねをしなければならないなと思います。このままの考え方では戦後のレジームは変えられないと、本当に私は痛切にそう思い続けてまいりました。
 一応ここで質問を閉じさせていただきますが、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(高市早苗君) 私の職務が多岐にわたることについて御同情をいただきながらの御質問かと思います。
 内閣府設置法に私の役どころというものが記載されておりますが、私の仕事は、複数の省庁にわたる案件で総理が特に力を入れて進めたいと思っておられる政策に関しての総合調整役でございますので、食品安全の方でも、JAS法に基づいて農林水産省が行っておられるリスク管理、それから食品衛生法に基づいて厚生労働省が行っておられるリスク管理、これがきちっとなされているかどうかのチェックと、両方から諮問があった場合に、科学的な知見に基づいて食品安全委員会で安全かどうか評価を下していくと、こういった仕事です。
 少子化も非常に多くの省庁がかんでおられます。民主党さんの方でも、子ども家庭省というような形で一元化できないかといったアイデアをお持ちなのは承知いたしておりますが。
 例えば、私の仕事でしたら、少子化担当大臣であると同時にIT政策の担当大臣でもありますね。そうすると、子育て中の特にお母様からテレワークを早く進めてほしいという御要望も多いんですね。だから、少し、産休が終わって育休が終わったぐらいに、若しくは育休中にも更に所得を得るために何か家で仕事をしながらもっと多くの所得が得られないか、こういった御相談が多いんですが、テレワーク一つ実現しようと思いましても、まずは総務省で全国各地のブロードバンド環境を整えていただかなきゃいけません。文部科学省の方で、やはりこのテレワークを使っていく上でのインターネットリテラシーの問題もしっかりやっていただかなきゃいけないし、科学技術の方では、やはり個人認証ですとかセキュリティーの問題をきちっと進めていただかなきゃいけない。また、厚生労働省では、時間で計る働き方よりも、テレワークですから御自宅で何時間働いているか分からないと、その場合に成果できちっと評価していただくような仕組みも要るかもしれない。それから、経済産業省の方で、企業のIT投資ですね、これも進めていただかなきゃいけない。
 非常に幅広い省庁で、少子化対策以外のことでも使わなきゃいけない施策というのはたくさんございます。そのために私が、総合調整、全体を見渡しながらそれぞれの省庁がきちっと進めているかどうか、ちゃんとやっていただいていない場合には私には勧告権がありますので、しっかり目配りをしながら進めてまいりたいと思います。
 大変仕事が多いので、私も今、気力も体力も一杯一杯ですが、それでも精一杯努めてまいりますし、がっかりされるような結果は出さないつもりでおりますので、御理解いただきたいと思います。
○下田敦子君 お立場の今のお大変さはよく理解できました。ですが、願わくば、大臣が少子化担当相というところの、名前はともあれ、トップで、気力も体力もあるところを一〇〇%全開してやっていただかないとこの少子化はやはり改善できないと私は思います。よろしく。(発言する者あり)はい。
 最後にお尋ねいたします。
 これは柳澤大臣にお願いいたします。ノルウェーの女性大学という大学があります。ここの学長のオオスさんという方は女性ですが、この方があるときにいろいろ御指導をくださいました。政策決定の場に男性議員、女性議員の数の差が、性差があった場合に、そこに例えば男性議員だけが多いとか女性議員が極めて少ないとか、そういう状況になると政策に偏りが出るというお話がありました。それは確かだなと。
 例えば、我が国の女性議員の衆議院における数は全体の九・四%です。参議院で一四・二%。各国順位の中で、世界的には過去に内乱があった国あるいは貧困問題を抱えている国、例えばお手元にこの資料を差し上げましたが、ちょっと原語で、国連の資料なので大変恐縮ですが、一番目がルワンダです。ルワンダが女性議員が非常に多くなった。ところが、ずっと探しても探しても日本が出てきませんで、実は九十九番目であります。こういう性差がある。これに対して、クオータ制を韓国並みに、もう韓国からもう実は追い付かれてしまいました。韓国並みに早くもクオータ制をしきたい旨をお願いするのですが、男性議員から反対が出ます。
 こういう状況の中で、確かに私は、少子化対策が遅れているということは、やっぱり政策決定の場の女性議員の数の少なさだと、一つにはこの強い要因があると思っておりますけれども、こういう考え方、あるいはまたノルウェーの女性大学のオオス学長のお話を含めて、柳澤大臣はどのような御見解をお持ちであるかお尋ねして、終わりたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 我が国におきましても、政策や各種の方針決定過程へ女性が参画を拡大していくことは極めて重要であると、このように考えております。政府は、十七年、平成十七年十二月に第二次男女共同参画基本計画におきまして、二〇二〇年までに、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%という目標が盛り込まれまして、各分野での取組を推進しているところというふうになっております。
 実は、昨晩、この会議がございまして、まず指導的地位とは何かということでございましたけれども、あれは、民間会社の場合でも課長さん以上というところを目安にしようということで話が進みまして、とにかくこの三〇%の二〇二〇年までの目標達成というものをやらなければいけないということで、かなり熱心な議論が行われました。
 厚生労働省においてどうかといいますと、民間企業におきます管理者、管理的な職業従事者に占める女性の割合を増やすために、まず昇進、昇格等における女性差別的雇用管理をなくすとともに、更に一歩進んで、企業自身が男女共同参画の趣旨を理解して、女性の活躍推進のための自主的かつ積極的な取組、ポジティブアクションですけれども、これを進めていくことが重要だというふうに考えております。
 そのような企業の取組を支援することを通じて管理職への女性の登用を促して進めていきたいと、このように考えております。
○下田敦子君 政策決定の場のみで結構です。お答えがないんですけれども。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 政策決定の場。
○下田敦子君 はい。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 政策決定の場においては指導的地位というものの中として考えておりまして、それを三〇%にするということでございます。
 昨日の議論をちょっとだけ紹介しますと、例えば県議会議員のレベルで、先生は県議会での御経験があるということですが、どうもそこが少し少ないんじゃないかというような指摘もありまして、今後メンバーの間で鋭意この向上を図っていくためのポリシーというか政策を練っていこうと、こういうような話で話が今進んでおります。
○下田敦子君 ありがとうございます。
 終わります。

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最終更新:2007年03月07日 12:55