石破茂防衛相が21日、イージス艦「あたご」と衝突して行方不明になっている吉清治夫さん(58)と哲大さん(23)の地元、千葉県勝浦市で、家族や漁協関係者らに会った。親族らは「2人を返してほしい」と詰め寄り、涙を流して事故の原因究明を求めた。
石破防衛相はまず、新勝浦市漁協川津支所で治夫さんの妹2人、長女らと面会。「2人の捜索に全力を挙げ、早ければ23日にも深海探査船を投入する」とした。「再発防止に何ができるか確立することが我々が今やらねばならないことだと思っている」と話すと、家族は涙を流しながらうなずいていたという。
同席した外記(げき)栄太郎組合長らはあたごの監視やレーダー確認が不十分だったと指摘。事故当時の艦内の状況について、徹底調査を要望した。
石破防衛相は清徳丸の視認時間を訂正したことについて「情報操作や自己正当化するつもりはない」「情報伝達の遅れは反省しており今後は可能な限り情報を出す」と話した。
支所を出て公用車に乗り込もうとした時、治夫さんの叔母、板橋よし子さん(75)が「2人の身になってよ。寒いよ、寒いよ。よく考えてくださいね」「(防衛省は)ちゃんとしてくれ」と詰め寄った。石破防衛相は硬い表情でうなずき「はい」と小さな声で答え、何度も頭を下げた。
この後、千葉県沿岸小型漁船漁業協同組合で組合員約40人、勝浦市役所で藤平輝夫市長らと会い、同様に謝罪と原因究明を約束した。【佐々木洋、寺田剛、吉村建二】
[毎日新聞2月21日]
[ 2008年2月21日22時40分 ]
最終更新:2008年02月22日 12:26