オカシイ世の中覚え書き

舩渡艦長はウソをついている

 おかしいのはこれだけではない。「あたご」の舩渡艦長の謝罪会見での言い分も、不自然極まりないのである。
 海自に詳しい軍事評論家の浜田紡氏が憤りを交えて指摘する。
「舩渡艦長は被害者家族に謝罪した後の記者会見(2月27日)で、「あの海域で漁船が多い状況であったということを理解していないのは問題だった」と釈明していたが、あれは嘘です。舩渡氏は過去に護衛艦「はたかぜ」に勤務した経験がある。「はたかぜ」は横須賀を母港とする艦ですが、事故現場となった野島崎沖を通って房総沖、もしくは大島沖の訓練海域に出向きます。つまり、あの海域は漁船が多く、気をつけねばならないということは、乗員の常識なんです。舩渡艦長が知らなかったなどということは絶対にありえません。あの海域に不案内だということにして、少しでも自分の罪を軽くしたいと考えたのではないか」
 舩渡艦長は、前述の航海長のヘリ移送問題でも隠蔽をにおわす発言をしている。ヘリ移送は誰からの指示だったか、という質問に対し、「記憶がハッキリしない」ととぼけたのだ。海自”制服組”の士官である彼に指令を下すのは海上幕僚監部。そのトップは吉川海上幕僚長以外にあり得ない。
 当然答えられるはずのこの質問に言葉を濁すような、こんな艦長が作成した「答申書」を”錦の御旗”にし、「飲酒などなかった」と強弁する石破大臣の鉄面皮ぶりには呆れるほかない。
 本誌は、数多くの嘘で塗り固められた防衛省の海上幕僚監部に、問いただした。大臣、事務次官、海幕幹部らの発言がここまで二転三転するのは、絶対に隠し通したい”何か”が裏にあるのだとすれば合点が行く。それは、今回本誌が得た重大証言が示す、飲酒と隠蔽の事実ではないのか。
「「あたご」艦内に酒類を持ち込み、公開中に宴会をした事実はありません。酒類については、きわめて厳正に管理をしています。(現場海域に関する)「あたご」艦長の発言は、責任逃れのためのものではありません」
 しかし、海自がいかに否定しようとも、こんな”ホンネ”も聞こえてくる。前出の海自関係者が言う。
「インド洋に派遣した護衛艦内で飲酒が発覚して依頼、管理や処分が厳しくなったのは確かですが、レセプション用の酒類や、寄港地で乗組員が土産用に購入した酒類は艦内にたくさん保管してあります。「あたご」艦内で何が起きていたのかは分かりませんが、”飲酒”の可能性が全くない、とは言い切れないんです」
 また、こうも漏らす。
「ホノルルの洋上パーティで使った酒が、艦内に残っていたということも考えられないではない。事故発生で海保の捜査が迫ったとき、このままでは”飲酒運転”を疑われかねないというので、慌てて処分したということも考えられます」
 前出の防衛省幹部は、
「自衛隊の隠蔽体質は根深く、長い歴史があります。しかし、これ以上この体質が生む不祥事が続けば、この国にとっての不利益のほうが多くなるはずです。」
 と語り、海保の勇気ある調査に期待する、と最後に付け加えた。福田首相は、「防衛省改革」を本気で叫ぶのなら、即刻全ての事実を明らかにすべきだ。

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最終更新:2008年03月20日 01:29