仙谷官房長官「暴力装置でもある自衛隊」に菅首相「『やや』問題」 野党から批判相次ぐ
2010/11/18 FNNニュース
閣僚の失言が相次ぐ菅政権。18日は仙谷官房長官の「自衛隊は暴力装置」との発言で国会が紛糾した。一方、柳田法相はさらに追い詰められている。
政権をむしばむ閣僚たちの問題発言。
18日は、仙谷官房長官から衝撃の言葉が飛び出た。
仙谷官房長官は、自衛隊の行事に政治的発言をする人を呼ばないよう、防衛省が通達を出していた問題の答弁で、自衛隊を「暴力装置」と表現した。
仙谷官房長官が「暴力装置でもある自衛隊」と述べた直後、委員会室は騒然となった。
この事態を招いた本人は、「撤回して実力組織と言い換えます」と、自衛隊は暴力装置発言は撤回し、謝罪した。
しかし、野党からは批判が相次いだ。
自民党の小泉進次郎議員は「自衛隊は暴力組織ではなく、日本の平和を守るためのもの。本当にひどい発言だなと思う」と述べた。
みんなの党の渡辺代表は「昔の左翼時代のDNAが、図らずも明らかになった。たがが緩んで失言が頻発しますね。政権末期症状だと思います」と述べた。
自衛隊でイラクの復興支援に携わった自民党の佐藤正久議員は「血管が切れそうになりましたよ。わたしも暴力装置出身の議員、暴力装置議員となる。全国の自衛隊員は、ふざけるなという思いでいっぱいだと思う」と述べた。
「暴力装置」発言直後の定例会見で、仙谷官房長官は「私は丁寧に法律論なら法律論、政治論なら政治論を説明しているつもりです」と述べた。
午後になって、この問題はさらに紛糾した。
参院予算委で、真っ赤なスーツの自民党の丸川珠代議員は、菅首相を「自衛隊の最高指揮権を有する最高責任者として、この発言をどう思いますか?」と追及。
菅首相は「最初の表現は、『やや』問題があったと。言葉というのは、いろいろな感じた方があると思います。ご本人が謝罪し、訂正して変えられたわけでありますから」と述べた。
しかし、丸川議員は「暴力装置という言葉は、われわれの平和憲法を否定するものですよ。ただ形だけ謝っただけで、本当に隊員の士気が維持できると思いますか? 命を懸けて国を守っている人たちに、これで納得してもらえると思っているんですか? 最高指揮官として」とさらに追及した。
これに対し、菅首相は「ご本人を招いて注意をいたします。私からもおわびを申し上げたいと思います」と謝罪した。
丸川議員はさらに、18日に最終日を迎えた民主党政権の目玉「事業仕分け」の矛盾について、蓮舫行政刷新担当相を追及した。
丸川議員は「蓮舫大臣、どうして閣議決定や政府の方針と反するものを再仕分けの対象、仕分けの対象に選ばれたのか」と追及した。
蓮舫行政刷新担当相は「政府の方針を、事業仕分けにおいて、今まで一度も否定したことはございません。どの政権においても、無駄はあってはならない」と答弁したが、「質問に答えろ!」とやじが飛んだ。
大臣への攻撃が相次ぐ中、「真摯(しんし)に」という言葉を繰り返し、謝罪に徹した柳田法相について自民党の世耕弘成議員は「柳田大臣は最近、3つ目の新しいマジックワードをお使いになったんですね。『真摯に答弁する』」と追及した。
この柳田法相について、菅首相は「罷免すべきというふうには思っていません」と述べている。
しかし、この事態に、ついに民主党内から「柳田さんはもたないんじゃないか」、「問責出る前に辞めるんじゃないかな」などという声が出た。
自民党は、柳田法相が辞任しない場合、参議院で問責決議案などを提出する構え。
もし問責決議案が提出された場合、公明党、社民党、共産党、みんなの党が賛成の意向を示している。
5つの党が賛成となると、過半数となって問責決議案が可決する公算が高まっている。
これまで問責決議案が可決された例は、1998年の額賀防衛庁長官、2008年の福田首相、2009年の麻生首相の例があるが、額賀氏の場合は、1カ月後に辞任した。
最終更新:2010年11月24日 00:48