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編集者から見たラノベ
①投稿小説は、どの点を評価しているのか?
【MFJの旧評価シート(19氏@第60スレに感謝)】
(1)設定は新鮮か
(2)世界はリアルか
(3)「新しい発見」を読者に与えたか
(4)主役は魅力的か
(5)脇役は魅力的か
(6)脇役の頭数は適当か
(7)読者の興味を引けるテーマか
(8)娯楽として成立しているか
(9)人間を書いたか
(10)導入で誘引できるか
(11)中盤に山場はあるか
(12)終盤は盛り上がるか
(13)読みやすい文章か
(14)分かりやすいか
【別の評価シート】
1 物語設定
□発想が斬新で、今までに見ない新鮮さがある
□発想が既存のもので、類似の物語の域を出ない
□虚構の中にもしっかりした世界観の設定があり、物語にリアリティがある
□虚構の中でご都合主義的な設定があり、物語にリアリティがない
□物語の本質部分以外は、事実と現実をベースにしたしっかりとした設定になっている
□物語の本質とは関係の無い部分で現実にはありえない出来事や設定が散見される
□一般には知られていない知識が利用され、物語に奥行きを与えている
□一般的な知識のみで構成され、新しい発見や驚きがない
2 キャラクター
□主人公が今までに無い新しいタイプで、新鮮な魅力に溢れる
□主人公がありがちなタイプで、新鮮な魅力に欠ける
□主人公の年齢や境遇が読者の等身大であり、感情移入が容易
□主人公の年齢や境遇が読者とかけ離れている
□主人公が個性的で、読者の憧れや共感の対象となる魅力を持っている
□主人公は個性的だが、読者の憧れや共感を得られるような魅力に欠ける
□主要キャラクターの造詣が個性的で、新鮮な魅力に溢れている
□主要キャラクターの造詣が類型的で、新鮮さがない
□主要キャラクターの数が適切で、物語の展開上過不足無く配置できている
□主要キャラクターの数が多すぎ、個々の性格・状況を理解できない
□主要キャラクターの数が少なすぎ、物語の奥行きに欠けている
3 ストーリー
□読者の興味・関心が高い世界設定・テーマを持っている
□読者の興味・関心が薄いテーマである
□起伏に富んでおり、最後まで飽きさせない
□凡庸で、先の展開が見えてしまう
□斬新で、魅力的である
□ありきたりで、既視感がぬぐえない
□読者に感動を与えるエンターテイメントになっている
□ひとりよがりで読者不在の感がある
□人間ドラマがしっかりと描かれている
□物語が設定の記述に過ぎず、ドラマが描かれていない
4 構成
□物語の導入からインパクトのあるエピソード・キャラクターが登場し惹きつけられる
□物語の導入が退屈で、読み進める誘引力に欠ける
□全体の長さに適切な数のエピソードがあり、飽きさせない
□全体の長さにくらべてエピソードの数が少なく、密度感に欠ける
□時系列に沿った素直な構成で、物語を理解しやすい
□回想やカットバックが散見され、物語の理解が困難
□描写の視点が主人公に固定され、情景が無理なく思い浮かぶ
□描写の視点が一定せず、情景の理解が困難
□前後関係がよく整理されており、スムースに展開されている
□前後関係が未整理で、展開に唐突感がある
□中盤に厚みがあり、終盤に向けて読者の興味を刺激できている
□中盤に山場がなく、途中で興味を失ってしまう
□終盤のインパクトがあり、しっかりと盛り上げて物語を終えている
□終盤が盛り上がらず、尻すぼみに終わっている
5 表現技術
□書きこなれた文で、基本的な文章力に問題は無い
□読み下しづらい文で、基本的な文章力に難がある
□全体に勢いや新鮮さがあり、読者が好感の持てる文章である
□難解な言い回しや余分な修飾表現が目立ち、上滑りしている
□語彙が豊富で、多彩な表現が出来ている
□語彙が貧弱で、同じ言葉や類似表現が近くで繰り返される
□自分の言葉で表現されている
□慣用句や常套句が多用され、紋切り型の言い回しが目立つ
□細かいところまで配慮が行き届き、物語にリアリティを与えている
□細かいところがいいかげんで、物語のリアリティを損なっている
□状況やディティールの描写が適量で、物語世界を想像することが容易である
□状況やディティールの描写が不足しており、物語世界を想像できない
□登場人物の造形や描写が適切で、キャラクター像を得やすい
□登場人物の造形や属性の描写が不足しており、キャラクター像を結ばない
②プロの書き方・心構え
秋口きぐるさんに小説の書き方を教えてもらいました。
見本の題材として「天空の城ラピュタ」を使います。
(1)まずは、キャラクターの設定を決めていきます。
●主人公の設定
●ヒロインの設定
ヒロインが抱えている秘密、あるいはヒロインに関連して明かされる事実など。
●敵 1 (あとで仲間になる連中)の構成メンバーなどの基本設定
ヒロインとの関係、何故にヒロインを追うのか
●敵 2 (敵1と同じく基本設定とヒロインとの関係)
(2)次は物語の筋を抜粋してプロットにします。
大まかに1~9に別けて抜粋してみました。
(これはあくまでもラピュタの例です。
慣れたのなら、他の作品でプロットを組む練習をしましょう)
1.主人公と特殊な背景を持つヒロインが出会う。
2.ヒロインが敵1に追われるのを主人公が助ける。
3.敵1と敵2とがぶつかる。その隙に主人公とヒロインが逃げる。
4.ヒロインが敵2に囚われる。
5.主人公と敵1が手を組んでヒロインを助け出す。
6.主人公とヒロインがヒロインの特殊な背景の謎の解明するために動く。
7.敵2に襲われる。
8.ヒロインが再び敵2に囚われる。
9.主人公が(元)敵1とが協力してヒロインを救出して謎が解明される。
この項目(基となるキャラ設定とストーリー展開)に、少しずつ自分で考えた事を混ぜていけば、自分だけの小説になるそうです。
もう1人、賀東招二さんのお話しでは書き方というより
心構えを教えてもらいました。
●目標を決める
これから自分が作り上げるのは何なのか、どういった方向性の話なのか、最終的にはどうのような趣になるのかを決めていくこと。
これは「テーマ」や「モチーフ」と言い換えることができ、
作品全体のトーン――つまりキャラ、世界観、プロット、文体などの調和をはかるための「方針」「戦略」であり、これを抜きにすると場当たり的な内容、いびつな内容、興ざめの内容になる。
暫定的なものでも構わなく、とにかく最初のうちに、
自分が書こうとしているものが何なのかをじっくり考える事である。
(書いているうちに考えや方針が変わることは、プロでもよくある事だそうです)
●キャラクター
非常に重要な要素。主人公やその周辺人物、ゲストキャラクターなどの設定が
その人気を左右するといっても過言ではない。
キャラクターの造形は、やってやりすぎることはない。
けど魅力的、個性的なキャラクター造形はもちろん大切だが、
ヒーローやヒロインが誰なのかはっきり見えない作品に、若い読者はたいていフラストレーションを感じてしまう。
●プロット
プロットとは、その物語の骨組み、もっとも基本的な話の構造である。
小説などを書く上でプロットの構成はもっとも重要な作業
であり、これをおろそかにすると、どんな魅力的なキャラクターだろうが、
どれほど崇高なテーマだろうが、全てが台無しになる。
単純化して説明できない物語は
エンターテインメントとしてはあまり優れたプロットとはいえない。
はっきりとした目的を設定し、あるいはいくつかを組み合わせ、まず基本的な話の構造を決める。
詳しい部分まで考えておかないと、後で苦労する。
ただ、究極的に単純化できる話であることが望ましい。
●世界観とリアリティ
これは地味で、地道でキャラ設定やプロットに比べて軽視されがちな要素である。
しかし、これをおろそかにすると作品世界全体が薄っぺらくなり、
ひいてはその作品世界で活躍するキャラクターや彼らが
織り成すドラマまで悪影響を与える。
読者がその作品の世界にある種の
「うさんくささ」や「作りものっぽさ」を感じると、物語にのめり込めなくなるのだ。
文明レベルや社会制度にある程度の統一感がとれている作品は
それだけ物語や人物にも重厚さが出てくると思う。
こまかいディテールや大きなバックグランドが描写の随所にうかがえるだけで、読者は作品世界が「そこにある」と実感でき、感情移入しやすい。
そうした世界観を樺成するためには現実世界の様々な知識を貪欲に吸収する必要がある。
歴史、社会、政治、宗教、民俗、生活、地理、戦争、自然などなど、なんでもだ。
もっとも、このリアリティというものに縛られすぎるのも
エンターテインメントとしては致命的だ。
要は上手なウソのつき方を覚える事、大きなウソをいかにして読者に信じ込ませるかが肝心である。
細かい所まで気をつける習慣をつけた方がより良い作品が書ける。
●パターン、先読みできる展開
「お約束」なストーリー展開をやる事を決して恥じてはいけない。
物語のパターンはシェイクスピアの時代にやり尽くされている。
現代の作家がなすべき事は、従来の物語パターンに自分なりの味付けや肉付けをしてやる事だ。
そうするだけでも読者は新鮮な楽しみに浸れる事ができるのである。
③「秘伝 シナリオ骨法十箇条」の紹介記事
まず脚本の工程について解説している。そこでは
(1)コンセプト(戦略・グランドプラン)の検討
ターゲット層を決め、どういう話を作るか
(2)テーマ(観念・作品を一言で説明できるもの)の設定
最も深遠な内容を、いかに最も簡明な形で受け手(観客)に伝達するか
(3)ハンティング
取材と資料蒐集
(4)キャラクターの創造
※メインの人物の履歴書の作成
(5)ストラクチャー(構築)
人物関係表の作成
(6)コンストラクション(事件の配列)
起・承・転・結(序・破・急のリズム)
(7)プロット作り
200字詰め原稿用紙10枚
の各項目をクリアして初めて、脚本家は執筆作業に入ることができる、としている。
(※履歴書=出身地、家柄、生家の家族事情、学歴、職歴、性格、趣味、特技、その人物が経てきた時代の事件、世相、流行、流行歌やヒット商品…)
印象に残ったのは、
(1)の中で、「ヒットする映画とは、このコンセプトが効果を発揮した場合であって、
決して目新しいストーリーのせいではない」(P.122)、
(2)の中で、
「最も深遠な内容を、最も簡明な形で受け手(観客)に伝達するのが、
あらゆる芸術の基本命題である」(P.123)と語っている点だ。
そして、原稿用紙の桝目を埋める段階の「メソッド」として解説しているのが“骨法十箇条”だ。自分の発見でも知恵でもなく、
「観客の関心を逸らさないために、撮影所の伝統が生み出した、娯楽映画のコツである」(P.138)と断っている。
また、時勢で変革される「パターン」とは違い、「千古不易」のものだとも語っている。
シナリオ骨法十箇条
その一。「コロガリ」
印象的な『最初の場面』
その二。「カセ」
ヒーロー・ヒロイン・重要な仲間(以下、主要人物たち)に背負わされた『運命・宿命』
その三。「オタカラ」
主要人物たちが守るべき『もの(物・者・意思・信念etc)』
その四。「カタキ」
主要人物たちに立ちはだかる『敵』
その五。「サンボウ」
敵との『戦い』、そこへ至る『正念場』
その六。「ヤブレ」
主要人物たちの『ピンチ』
その七。「オリン」
主要人物たちによる『感動的な場面』
その八。「ヤマ」
『クライマックス・一番の見せ場』
その九。「オチ」
『話の締めくくり・ラストシーン』
その十。「オダイモク」
書きたいテーマが書けたかどうかの『再確認』
五~七などは、文字面だけでは何を意味するか分からないだろうが、ここでは詳述しない。笠原が強調しているのは、「切実なもの」を含むかどうかが何より肝心だということだ。
「笑わせるにしろハラハラさせるにしろ、その中にひとつ「切実なもの」が貫通してなければ、観ている側の腹は一杯にならない」(P.150)。
脚本の工程については自身の代表作である山下耕作監督「博奕打ち総長賭博」を題材にした。また骨法については、北野武監督「あの夏、いちばん静かな海。」に対する批評として書かれている。
自分の主張は必ずしも絶対でないという “機微”の部分が読みどころ
だったりもするので、関心のある方は原書を当たってほしい。
④小説・ストーリー・キャラ作りの格言
オリジナリティとは何だ……という疑問が残る。
人間は、生まれた時から、様々なものに影響を受けている。その影響から免れる事のできる人などいない。
昔、見た映画、芝居、絵画、彫刻、聞いた音楽、演奏、読んだ本、
そして、今まで生きてきた上での経験や体験……
全てが、あなたという人間の形成に影響している。
だから、今の作家にオリジナリティなどない。
すべて、過去の何かに影響を受け剽窃したものを、
自分のものとして勘違いしているだけだ、と言い切る人もいる。
今の脚本家の書く作品は、どんなにオリジナリティを主張しても、
何かの真似にすぎない、と言う人もいる。
確かに、そのとおりかもしれない。
しかし、人はそれぞれ違う。だれ1人同じ人はいない。1冊の本を1000人が読めば、1000人の読み方、感じ方がある。その読み方、感じ方が、それぞれのオリジナリティだと思う。
自分なりの読み方、ものの見方、感じ方が、自分でもどうしようもなく前面に出てきてしまう人が、オリジナリティ……またはオリジナリティの豊かな人なのだと思う。
(2)
魅力ってのはギャップであるのです。
ヤマグチノボル『描きかけのラブレター』あとがきより
(3)
(一読者の意見より)
そもそも小説における整合性という物は、作者が気にするべき物ではない。
そんな物は、面白ければ読者が勝手に補完してくれるし、
そもそもが面白くなかったら、たとえどんなに緻密にプロットを組もうが、
読者は細かい粗を見つけだして「あそこがダメここがダメ」などと
口やかましく囀るだけである。
それがイヤなら面白い物を書け。
つまりはそういう事だ。
面白い小説とは、筋立てがまずそうでなくてはいけないことは確かだが、それに加えて、
主人公が生き生きとしていなければならない。
その都度、感想を聞いた人が面白いと言ったところは、
大抵、主人公が躍動していた。
技術的に言えば、それはヤマだろうが、単にそれだけではなくて、
主人公が「生きた」瞬間なのである。
必ずしも喜びというわけではない。悲しみに生きることもあるのだ。
(江波潤一島根日日新聞社文芸委員)
(5)
『銀魂』は、粗筋で書いちゃうと何てことはない
ベタな話だったりするんです。
でも、やりとりだったり、セリフだったり、会話のテンポだったり、
そういう部分で『銀魂』らしさができている。
普通の人情話でも、『銀魂』のキャラたちが
らしいセリフを吐いて、らしい転がり方をしたら、『銀魂』になるんですよ。
2007年アニメージュ2月号内の、高松信司監督のインタビュー記事より
最終更新:2007年11月04日 12:08