これまでのあらすじ
謎の追手レーリレイは、策略によりレイルを騙し、分断されたアルカを捕まえ人質に取った。
「レーリレイ...俺を騙したのぜ」


ストーリー:カウンター・アタック
第04話「追手レーリレイ②」


昇降足場が地表に到着し、停止する。
「もう一度聞く...我々の所へ戻って来いレイルレーラビ。」
レーリレイが鎖を引くが、アルカは反応しない。なんらかの暗示を掛けられているのだろう。
「ぜ....俺は......」


...俺の思考には"奇妙な回路"が同居している。その回路は、時折俺に提案を出す事がある。
《....俺もアルカも助かる方法があるぜ》
勇敢で、全て上手くいくような。
物語の主人公のような行動の提案。
俺たち兄弟はこれを"回路"と呼んでいる。


「俺は...お前の言うことなんて絶対に聞かないぜ」
「...正気か?この人間がどうなってもいいのか?」
「やってみろ、絶対にさせないぜ。」
虚勢ではない。心の底からの自信。


「.......フフ...ククッ、ハァーッハッハッハ!やはりお前は失敗作だ!お前の"回路"も!お前の"意思"も!ポンコツではないか!」
呆れたレーリレイは笑い出し、アルカの手首を拘束する鎖を握り潰して破壊した。
「最早この女に用は無い!」


「私の回路はお前を秩序の敵と見なした!失敗作を回収する必要など無い!処分させてもらう!」
「ゴチャゴチャうるさいのぜ!!」
お互い地面を蹴り前方に突っ込む!その衝撃で空気が歪んだ!!


お互いの右手の裾から紅い刃と赤紫の刃が飛び出し...ぶつかり合う!
互いの刃が破損する事は無い。
なぜならこの刃はアームホーン、最高硬度の特殊金属だからだ!


「秩序!」
レーリレイは鍔迫り合いと見せかけた受け流し!反応し切れなかったレイルは体勢を崩し、背後を取られる!
「ぜ!?」
そこへすかさず追撃の左手拳!右手を引きつつ放たれた拳の威力は乗算される!


レイルは吹き飛ばされ、座り込むアルカの隣の壁にぶつかる。
壁に亀裂が走る。
「っ...」
衝撃でアルカの暗示が解ける。
その間見ていた事は薄ら思い出せる。そうだ、レイルは無事なのだろうか?


「...アルカ、気がついたのぜ?」
壁に体が半分埋まった状態のレイルが話しかけてくる。
「えっ、あっ、うん...レーラビくんこそ大丈夫なの?」
アルカは困惑と動揺を隠しきれていない。


「大丈夫ぜ。俺はファントム。 アームヘッドだからな。ぜ」
埋まっている方の手を伸ばして壁の中から出てくる。
「えっえっえっ」
アルカは混乱!


「囀るなよ!貴様らァー!!」
反対側の壁を蹴ってレーリレイが跳んで来る!
「詳しい話は後だ、ちょっと行ってくるぜ」
レーリレイとレイルの戦闘が再開されるが、レーリレイ有利の状況は変わらない!


(そう、詳しい事は後...今はレーラビくんを助けなきゃ)
アルカは辺りを見回す。
「あれは...」
コクピットをこじ開けられた黄色い作業用アームヘッドが視界に入る。


レイルとレーリレイ、ヒューマノイドタイプのアームヘッド同士の戦い。
決定打になる互いのアームホーン攻撃を牽制し合う。
「ぜ!レーリレイ!これ以上はお前の有利ではないぜ!」
「ふん、あの女の事か...普通の人間に何が出来るというのだ!」


「ぜぜ、レーリレイ...お前は二つ。決定的なミスをしているぜ」
「何!」
「アルカは何も出来ない人間じゃないぜ」
レーリレイの背後から来る金属音!
それを確認し勝利を確信したレイルの笑み!


半車両形態でレーリレイに迫るレーヴェC!開きっ放しのコクピットにいるのはアルカ!
「そんな玩具で何が!」
普通の旧式のアームヘッドは対応出来ない速度での跳躍回避!レーリレイは素早い!!


「逃がさないぜ!」
アームヘッド脚力で追撃を行うレイル!
「お前のもう一つのミス...アルカは男だ!」
「なっばっ!?」
驚愕するレーリレイ!
「違うんだ!俺から見れば人間はどれも同じに見えるからであって....」


「隙あり!ぜえええーっ!!」
レイルによるアームホーン刺突!
言い訳に集中力を割いてしまったレーリレイは反応し切れず、それを受けてしまう。
「ばっ...馬鹿な馬鹿な馬鹿な.....」
地面に落下したレーリレイは、アームホーン刺突による拒絶反応...アームキルにより自壊する。


激しい戦闘ダメージによりレイルも遅れて落下する。
「レーラビくん!」
それを優しく両手で受け止めるレーヴェC。
こうして二人の戦いは、いったん幕を閉じた。


次回、第05話『波乱デベロッパー』に続く。


...瓦礫の中で、赤紫色の球体が怪しく輝いた。


  • レーリレイ
赤紫の髪のヒューマノイド・ファントム。
レーラビを連れ戻しに来た"兄弟"の一人。
モノクロドット表示のパカパカしない携帯端末を愛用している。


  • レイルレーラビ
赤い髪のヒューマノイド・ファントム。
選別、そして兄弟から逃れ..."回路"の声に従ってここまで逃げてきた。



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最終更新:2017年01月10日 15:25