勝利者の為に ◆M91lMaewe6
禁止エリアは13時よりB-1、15時よりE-4、17時よりF-8。
セイバーは真剣に放送内容を聞き、頭に入れる。
ギガゾンビの『殺戮に興奮……』のくだりを聞き、セイバーの眉がわずかに動いた。
セイバーは本当にそうならないように気をつけましょうと、自分に言い聞かせる。
主催者への怒りも、自嘲も自身を動かすほど強くはなかった。
だが次の言葉はセイバーには予想できないものだった。
『身動きが取れないバカ……』
何故、そんなことを話すのだろうか?
セイバーは疑問に思った。
『そして死亡者……』
彼女は次に、先ほど自らが殺めた君島と自分に深手を負わせたヘンゼルの名を聞いた。
思ったより感慨は湧かなかった。
『意外な結末……』
私が残る以外の結末はあってはならないと、彼女は心の中で断じようとする。
男の哄笑が響き渡り、放送は終わった。
セイバーは真剣に放送内容を聞き、頭に入れる。
ギガゾンビの『殺戮に興奮……』のくだりを聞き、セイバーの眉がわずかに動いた。
セイバーは本当にそうならないように気をつけましょうと、自分に言い聞かせる。
主催者への怒りも、自嘲も自身を動かすほど強くはなかった。
だが次の言葉はセイバーには予想できないものだった。
『身動きが取れないバカ……』
何故、そんなことを話すのだろうか?
セイバーは疑問に思った。
『そして死亡者……』
彼女は次に、先ほど自らが殺めた君島と自分に深手を負わせたヘンゼルの名を聞いた。
思ったより感慨は湧かなかった。
『意外な結末……』
私が残る以外の結末はあってはならないと、彼女は心の中で断じようとする。
男の哄笑が響き渡り、放送は終わった。
「……………………」
断じる事はできなかった。見上げればいつのまにか空は曇っていた。
撃たれた右腕がじくじくと痛んだ。
断じる事はできなかった。見上げればいつのまにか空は曇っていた。
撃たれた右腕がじくじくと痛んだ。
★★★
いくつもの修羅場を潜り抜けた彼女でも、痛みで顔をしかめざるを得なかった。
鉄線が肉を穿り、銃弾を摘出しようとする。
それほど空気が綺麗ではないが、スタート地点に近いこの場所をセイバーはなんとなく気に入っていた。
鉄線が肉を穿り、銃弾を摘出しようとする。
それほど空気が綺麗ではないが、スタート地点に近いこの場所をセイバーはなんとなく気に入っていた。
ここは映画館。
「ぐッ……!」
血が飛び散り、銃弾が傷跡から手首に落ち、地面に落ちてタタ……と床を鳴らした。
魔力を循環させ、傷口を塞ごうとするが瞬時に治る気配はなく、仕方無しにカーテンの切れ端を腕に巻いた。
今後の戦略は後だ……。
セイバーは汗を拭いながら、初めて参加者名簿を見た。
血が飛び散り、銃弾が傷跡から手首に落ち、地面に落ちてタタ……と床を鳴らした。
魔力を循環させ、傷口を塞ごうとするが瞬時に治る気配はなく、仕方無しにカーテンの切れ端を腕に巻いた。
今後の戦略は後だ……。
セイバーは汗を拭いながら、初めて参加者名簿を見た。
さっきの死亡者発表で、襲撃した2人の名前の他にアーチャーの名があった。
あの金色の王と同一だったのだろうか?
自分とアサシンを入れれば三人の英霊がいたこととなる。
聖杯戦争とはまったく関係ないと思っていたのに。他にも英霊がいるのだろうか?
自分とアーチャーとの間にある遠坂凛も聖杯戦争と関係のある者なのだろうか?
あの金色の王と同一だったのだろうか?
自分とアサシンを入れれば三人の英霊がいたこととなる。
聖杯戦争とはまったく関係ないと思っていたのに。他にも英霊がいるのだろうか?
自分とアーチャーとの間にある遠坂凛も聖杯戦争と関係のある者なのだろうか?
セイバーの疑問と焦燥は膨れ上がっていく。
見せしめに殺された2人と『身動きの取れない参加者』の放送内容が頭に浮かんできたからだ。
見せしめに殺された2人と『身動きの取れない参加者』の放送内容が頭に浮かんできたからだ。
もしこの殺し合いの生き残りも主催者の都合で決められたのなら、自分がどうあがいても望みを
成就させることができないのではないかと。
成就させることができないのではないかと。
「……」
セイバーに主催者を倒したい気持ちはない。
君島邦彦を殺める前から……
多分、金髪の少年と一緒にいた男の子を攻撃する前からそうだったに違いない。
失われたカリバーンを手にした時から。
セイバーに主催者を倒したい気持ちはない。
君島邦彦を殺める前から……
多分、金髪の少年と一緒にいた男の子を攻撃する前からそうだったに違いない。
失われたカリバーンを手にした時から。
だからこそ彼女の不安は募った。
ここにおいて自分は無敵ではない。ただ力のみで戦えば他の参加者に殺されるに決まっている。
最悪は己が退場することだと思っていた。
それは違った。最悪は誰の願いも叶えられないことだ。
もし主催者を倒せる可能性があれば、その可能性の持ち主はセイバーの障害となる。
優勝による願いが無ければ、最悪を回避するには主催者を倒すほかない。
自分を倒した相手が出たとしよう。
その勝利者が戦闘での消耗が原因で、可能性を潰されてしまっては元も子もないではないか。
それ以前に主催者の気まぐれが原因で命を落しても同様だが。
ここにおいて自分は無敵ではない。ただ力のみで戦えば他の参加者に殺されるに決まっている。
最悪は己が退場することだと思っていた。
それは違った。最悪は誰の願いも叶えられないことだ。
もし主催者を倒せる可能性があれば、その可能性の持ち主はセイバーの障害となる。
優勝による願いが無ければ、最悪を回避するには主催者を倒すほかない。
自分を倒した相手が出たとしよう。
その勝利者が戦闘での消耗が原因で、可能性を潰されてしまっては元も子もないではないか。
それ以前に主催者の気まぐれが原因で命を落しても同様だが。
真相はセイバーには確かめようがない。
ないが、このままでは存分に戦うことができない。
勝利者には希望がなければならない。
俯きながらセイバーはあの男の名を呟いた。
ないが、このままでは存分に戦うことができない。
勝利者には希望がなければならない。
俯きながらセイバーはあの男の名を呟いた。
「君島邦彦」
彼の目的は主催者打倒だったのだろうか?
自分には活かす事はできないが、彼と同じ志を持つ者同士なら。
自分には活かす事はできないが、彼と同じ志を持つ者同士なら。
「気は進みませんが……」
セイバーは大きく息を吐き、映画館を足早に出た。
★★★
彼の遺体はそのままだった。
彼の遺品も風に吹かれてたが、まだ回収は可能だった。
目を背けたくなったが、あえて視界にいれセイバーは君島の道具の回収を始めた。
彼の遺品も風に吹かれてたが、まだ回収は可能だった。
目を背けたくなったが、あえて視界にいれセイバーは君島の道具の回収を始めた。
逃げたあの2人には殺す時以外では会わない方が良い。
ならばトウカと彼女と一緒にいた男が適任か?
セイバーはそう結論付け道具をデイパックに詰め、この場を後にしようとする。
ならばトウカと彼女と一緒にいた男が適任か?
セイバーはそう結論付け道具をデイパックに詰め、この場を後にしようとする。
「…………」
周囲に人がいないのを確認するや、セイバーはスコップを取り出し穴を掘り始めた。
周囲に人がいないのを確認するや、セイバーはスコップを取り出し穴を掘り始めた。
【C-4 森 初日 午後】
【セイバー@Fate/stay night】
[状態]:腹三分、全身に裂傷とやけど(動きに問題ない程度まで治癒)、両肩を負傷(全力で動かせば激痛)、右腕に銃創
[装備]:カリバーン@Fate/stay night、スコップ
[道具]:支給品一式(食糧1/3消費)、支給品一式×1、コルトM1917(残り3発)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、コルトM1917の弾丸(残り6発)、なぐられうさぎ@クレヨンしんちゃん
[思考・状況]
1:君島の支給品+なぐられうさぎと自分の得た情報を、キョン、トウカ(もしくは関係者)に届けるために病院に行って探す。
戦闘を挑まれなければ、一回だけ戦闘を回避する。
ただし、ロック&しんのすけを除く他の参加者は可能であれば殺す。
2:優勝し、王の選定をやり直させてもらう。1.の後は誰であろうが標的。
3:1.の後、エヴェンクルガのトウカに預けた勝負を果たす。
4:他にサーヴァントがいないかどうか確かめる。
【セイバー@Fate/stay night】
[状態]:腹三分、全身に裂傷とやけど(動きに問題ない程度まで治癒)、両肩を負傷(全力で動かせば激痛)、右腕に銃創
[装備]:カリバーン@Fate/stay night、スコップ
[道具]:支給品一式(食糧1/3消費)、支給品一式×1、コルトM1917(残り3発)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、コルトM1917の弾丸(残り6発)、なぐられうさぎ@クレヨンしんちゃん
[思考・状況]
1:君島の支給品+なぐられうさぎと自分の得た情報を、キョン、トウカ(もしくは関係者)に届けるために病院に行って探す。
戦闘を挑まれなければ、一回だけ戦闘を回避する。
ただし、ロック&しんのすけを除く他の参加者は可能であれば殺す。
2:優勝し、王の選定をやり直させてもらう。1.の後は誰であろうが標的。
3:1.の後、エヴェンクルガのトウカに預けた勝負を果たす。
4:他にサーヴァントがいないかどうか確かめる。
※うさぎは黒焦げで、かつ眉間を割られています。
※君島の遺体は埋葬されました。
※君島の遺体は埋葬されました。
時系列順で読む
Back:ぶっ飛ばせ! レヴェッカさん Next:最期の四重奏―それぞれの誓い―
投下順で読む
151:君島邦彦. | セイバー | 187:「救いのヒーロー」(前編) |