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ゲイナー・オーバー ◆lbhhgwAtQE


次元空間航行艦船アースラ。

あの世界から脱出した僕達を保護してくれたのは、そんな名前の艦らしい。
なんでも、ここの艦長はフェイトのお母さんだということだ。

――とまぁ、それはさておき、僕はそのアースラの中にある転送室とかいう部屋にいるわけで……。

「転送準備、完了しました!」

栗色の毛をした女性がコンソールを操作しながら、アースラの艦長でありフェイトちゃんの母親であるリンディさんに報告する。
……そう、ついに元の世界――シベリアの大地でエクソダスを続けるヤーパンの天井に帰る時がやってきたのだ。
今、転送装置の上に立つ僕の目の前には、リンディ艦長やタイムパトロールのリングさん、そして僕とともに脱出を果たした仲間達が立っている。

「……ゲイナー君、遂にお別れだね」

そして、その中からドラえもんが僕の元へと歩み寄ってくる。

「向こうでも元気でいるんだよ。ちゃんと朝昼晩にはご飯を食べてね。あ、食後は歯を磨いてね。お風呂にもちゃんと入るんだよ。ゲームは一日一時間だよ。えぇっと、それから、それから…………」
「ぼ、僕だってそれくらい出来るさ! 小さな子供じゃないんだから……」
「あ、あはは、そうだよね……。ゴメンゴメン、つい……」

ドラえもんは照れた表情を見せながら笑う。
だけど、その目尻は潤んでいたのを僕は見逃さなかった。

「それじゃ、本当に……今度こそ…………」
「うん、お別れだよ、ドラえもん」

僕は顔を上げると、目の前にいるエクソダス仲間達の顔を見る。

「皆さん、本当にありがとうございました! どうか……どうか元気でいてくださいね」

そう感謝の意を込めて大声で言う。
それは、紛れもない本心。
もし、あの場に誰か一人でも欠けていたらきっと、今回のエクソダスは成功しなかったはずだ。
勿論、その中にはレヴィさんやゲインも含まれているわけで……。

「……準備はいいかしら?」
「はい」

リンディ艦長の言葉に頷くと、転送装置の床が淡く光りだした。
きっと、装置が作動し始めているのだろう。

「ほら、ドラえもん。このままここに立ってたら君までシベリアに飛んじゃうよ」
「う、うん。そうだね……」

ドラえもんが後ろに下がり、転送装置はさらに光りだす。
そして――


【ゲイナー・サンガ@OVERMANキングゲイナー  送還】


こうして、僕はバトルロワイアルなんていう非日常から解放された。
色々あった2日間だけど、もう二度とあんな事に巻き込まれるなんてゴメンだ。
ああいうのは、ゲームの中だけで十分だと改めて実感する。

……そうだ。
もう大事な仲間と相棒を失うなんてことは二度とあってほしくない。


2日前。
ヤーパンに向けエクソダスを続けていた元ウルグスク・ドームポリスの都市ユニット群『ヤーパンの天井』に衝撃が走った。

ドームポリスの住人でエクソダス後は、オーバーマンのキングゲイナーに搭乗し、幾度となくエクソダスを阻止せんとするシベリア鉄道警備隊やロンドンIMAの攻撃を退けてきた少年、ゲイナー・サンガ。
ヤーパンの天井のエクソダスにあたってその立案と実行を任された請負人で、『黒いサザンクロス』という狙撃手としての異名も持つ男、ゲイン・ビジョウ。

このエクソダスにおいて重要な役割を担ってきた両名が忽然と、何の前触れもなく姿を消したのだ。


二人の突然の失踪を受けて、サラ・コダマやヒューズ・ガウリらウルグスク自警団やアデット・キスラー率いるアデット隊、それにエクソダスに参加する住人達は一斉に捜索を開始した。
だが、いくらユニット内やその周辺を探しても、二人は見つからないまま。
しかも、さらに不思議なことに、二人が失踪したのと同時期にゲイナーの愛機であるキングゲイナーも姿を消していた。
キングゲイナーを収容していたカーゴのハッチは閉じたままであったにも関わらず。

何故、二人は突然消えたのか?
キングゲイナーはどうやってその場から消えたのか?

謎は深まるばかりであった――――が。


ゲイナー・サンガは帰ってきた。
失踪から2日経った朝。
二人の捜索のために運転を一時停止していた『ヤーパンの天井』に、徒歩で戻ってきたのだ。
失踪した時と同じように、何の前触れもなく忽然と。

だが、そこには同時に失踪したゲインとキングゲイナーの姿はなく……。


こっちに戻ってきてから、数日が経ったある日。
僕はヤーパンの天井に繋がれた都市ユニットのうち、一番先頭の「一号ユニット」の天井の屋上部にある小高い丘の上に来ていた。
そこは、エクソダスをするヤーパンの天井の進む先が一望できる場所。
僕はそこに腰を下ろすと、目の前に広がる景色を眺めながら口を開く。

「……僕ね、今でも思うんですよ。アレは夢だったんじゃないのか、って」

アレ……とは即ち、ついこの前まで行われていたバトルロワイアルのこと。
あの2日間は本当に大変だったし、摩訶不思議だった。
常に死と隣合わせだったし、魔法やら未来の科学技術やら次元航行といった今まで見たこともない現象をいくつも目にしてきた。
そんなあまりにも非常識な事が立て続けに起こっていたからこそ、今こうして元の世界に戻り、のんびりと景色を眺めていると、今までの出来事が嘘のように思えてしまうんだ。
それこそ、丸2日悪い夢でも見ていたんじゃないのか、って。

「…………でも、それはただ現実から逃げているだけなんですよね」

僕は知っている。
あれは現実に起こった出来事であることを。

「僕は確かにあそこからエクソダスしたんだ。……これに書かれてることを実行していった末に」

そう言って鞄から取り出したのは、一冊の冊子。
その表紙には『エクソダス計画書』と記されている。
そうだ。
僕は……いや、僕達は協力しあいながらエクソダスに必要な情報を議論してこの冊子を作り、そして実行していった。
だからこそ、僕は今こうやってここに存在している。
この『エクソダス計画書』を持ち帰った僕という存在こそが、あの事件を現実たらしめる何よりも証拠なんだ。
そして、それは同時に、ゲインが死んでしまったという事も現実のものとしているわけで……。

「あ、そうそう。今日、やっとウスリー川を越えましたよ。これでようやく、チャイナ入りです」

ここにいないゲインに報告するように、僕は呟く。
このエクソダスを請け負い、尽力してきた彼としては、きっとその経過は逐一知りたいところだろうから。

ちなみにウスリー川というのは、僕達のいたシベリアと先述の「チャイナ」と呼ばれる地域の境界線となっている河川。
エクソダスを続けてきたヤーパンの天井も、ようやくシベリアを脱することがで出来んだ。
だけど、これでエクソダスが終ったわけじゃない。
ヤーパンにたどり着くためにはこのチャイナを経由してコリアなる半島を更に南下、そこから更に海を東方へ渡る必要があるらしい。

――まだまだヤーパンへの道のりは長そうだ。

「目指すヤーパンはまだまだ先。それなのに、請負人のあんたって人が途中退場しちゃってどうするんですか」

請負人の仕事は、エクソダスを完遂に導くこと。
ゲインはその使命に従い、シベ鉄らの妨害をはじめとした様々な問題に対処、エクソダスを円滑に進めてきた。
しかも、ゲインはビジネスとしてというよりも、僕らと一緒に仲間として楽しんで、エクソダス請負という大仕事をしていた気がする。
だからこそ……だからこそ、悔しいんだ。
こうやって順調にエクソダスを続ける今のヤーパンの天井にゲインがいないことが。
それにゲインには、まだ僕をエクソダスに巻き込ませた借りを返してもらっていない。
借りたものも返さずにいなくなっちゃうなんて……本当に最後の最後まで勝手な人だ。
僕は、ゆっくりと動いてゆく景色を眺めながら、そんな思いに馳せていた。
すると――――

「あ、いたいた! どこにいたかと思えば、ここにいたんだ」

すると、いきなり背後から声を掛けられた。
こんなところに誰が……と思ったけど、この聞きなれた声の持ち主を僕はよく知っていた。
何せ、彼女は僕の一番好きな人だったんだから。

「サ、サラ? ど、どうしたの?」
「どうしたの、って……あなたを探してたんじゃない!」
「ぼ、僕を探してた……?」
「そうよ。なんかゲイナー、こっちに戻ってきてから元気が無さそうだったし、少しは心配してもいいでしょ?」
「そ、それはありがとう……」
「まぁ、ゲインさんとキングゲイナーがあんなことになっちゃったんだから、気持ちは分かるけどね……」

ここに戻ってきてすぐに、僕は当然のように今までどうしていたのかやゲインのことについて質問の嵐にあった。
僕は、真実を語りたかった。
あの僕達のいる世界とは違うどこかで行われた悲しい出来事の全てを。
でも、実際にあれを体験していないみんなが、あそこで起きた摩訶不思議な現象の嵐を全て鵜呑みにして信じてくれるはずもない。
……だから、僕は嘘をついた。

――突然、見知らぬオーバーマンにゲインやキングゲイナーもろとも連れ去られてしまったのだ、と。

……嘘八百もいいところだ。
こんな嘘をつく大人にだけはなりたくなかった……。
だけど、皆を納得させるにはこう説明するしかなかった。
実際、人をも攫うことの出来たオーバーマン・ジンバの「窃盗」の前例もあるし、オーバーマンのオーバースキルならばこのような芸当が出来るのだろう、と皆は納得してくれた。
でも、そんな即興で作った物語の中でも、僕は二つの事柄に関しては、嘘をつくことなく正直に話した。
その二つの事柄とはすなわち、

ゲインが僕達を連れ去った強大な力を持つ“敵”を相手に奮戦し、その中で傷つき倒れた事。
そして、キングゲイナーはゲインが手傷を負わせ弱ったその敵に止めを刺す時に相打ちになるような形で消滅してしまった事。

……僕はゲインとキングゲイナーの喪失だけは、正直に話したんだ。
仲間や相棒を失ったことは誤魔化したくなかったから…………。

「私だって、ゲインさんが死んだことは悲しいよ。でも、それでもやっぱりゲイナーが無事に帰ってきたことは何よりも嬉しかった」
「サラ……」
「勿論、ゲインさんもキングゲイナーも、ゲイナーが無事なことを天国で喜んでるはずよ」

あの女たらしのゲインが天国にいけたかどうか……それは甚だ疑問だったけど、そこは本筋じゃない。
それよりもっと重要だったのは、サラ自らから僕の手を握ってきてくれたことだ。

「さ、サラ!?」
「ほら、立ち上がって! 私達のエクソダスはまだ終ってないし、仕事も山ほどあるのよ? いつまでもくよくよしてないで、元気出していかなきゃ! ね?」

確かにサラの言う通りかもしれない。
あそこで起こった悲しい出来事の連続は本当にあった事なのは確かだ。
でも、だからといって、それをいつまでも引きずっていてはいては、エクソダスは一向に進まない。
……あの時の皆が悲しみを乗り越えて、惨劇の舞台からのエクソダスを進めていったように。

「ありがとうサラ。……少し元気になったよ」
「そう? なら良かった!」

思えばかつての僕は、反エクソダス論者への見せしめのように両親を殺されて以来、ゲームの世界に篭りがちだった。
そうやって、僕は現実の世界から目を背けようとしていたのだ。
……だけど、そうやって篭っているだけでは何も出来ない。
ゲインと出会い、エクソダスに参加して、サラ達と色々していくうちに僕はそれを痛感した。
初代ミイヤはエクソダスすることを、『自ら動き出すこと』と主張していたらしいけど、まさにその通りだと思う。
僕はあの時、ヤーパンのエクソダスを始めると同時に、今までの篭りがちだった自分からのエクソダスも始めてたんだ。
そうだ、エクソダスを始めてしまった以上、もう僕はあの頃の自分には戻らない!

「サラ! 一緒にこれからもエクソダスを頑張ろう!」
「ど、どうしたの? 急に元気になっちゃって。いや、元気になってくれたんなら嬉しいんだけど……」
「ゲインに教えてやるんだ。ゲインがいなくたって僕はサラや皆を守れるんだって!」

もし、僕まで志半ばで死んでしまったら、それこそゲインに笑われてしまう。
だから心に決めた。
僕は、ゲインの遺志を継ぐ為、そしてゲインを超える為に、絶対にヤーパンへのエクソダスを成功させて見せる!

そして、そう決心していると突如、サラの腰につけていた通信機に通信が入った。
通信機の向こうから聞こえるのはアデット先生の声だ。

『サラ! 聞こえるかい!?』
「アデット先生……どうしたんです?」
『どうしたもこうしたもあるかい。シベ鉄だよ、シベ鉄! あいつら性懲りも無くまたやってきやがった! ガウリ隊は全員出撃だとよ』
「分かりました。すぐに向かいます!」

通信を切ると、サラは再び僕の方を向く。

「……なんか出撃みたい。だから、話の続きはこの後で――」
「待って!」

背を向けようとしていたサラを僕は止めると、一言だけこう言った。

「僕も……一緒に出撃する!」


「本当に大丈夫なんだろうね、ゲイナー?」

オーバーマンを収容するカーゴ内。
僕は、そこに残された一機のオレンジ色のオーバーマンの前で、アデット先生、それにシンシアと顔を合わせていた。

「体の方は……まぁ、大分治ってきてるから大丈夫だろうけど、こいつはキングゲイナーじゃないんだよ? それは分かってるよね?」
「えぇ。それは百も承知です」
「別に無理しなくたっていいんだよ? 私がこいつに乗って出る予定だったんだから。ゲイナーはまだ体を休めていても……」
「ありがとうシンシア。だけど、僕はどうしてもこれに――エンペランザに乗って、出撃したいんだ」

エンペランザ。
それは、元々はゲインがガチコやブリュンヒルデの腕などのパーツを組み合わせて作ったオーバーマンだ。
だけど、今となってはその主はここにはいない。
だから僕は、そんなゲインの遺志を継ぐ為に……僕の手でエクソダスを続けていくために、このエンペランザに乗って戦いたかった。

「エンペランザとキングゲイナーとは勝手が違うけど大丈夫か?」
「僕は仮にもオーバーマンバトルのチャンプですよ? きっと、いや絶対に上手く行きますよ」
「ほぉ。随分と生意気な口聞けるようになったなぁ、坊やもさ!」

どこか嬉しそうにそう言うとアデット先生は、僕の頭を乱暴に撫で回してきた。
……でも、アデット先生の顔を見たり、口調を聞いてたりすると、やっぱりあの人に似てるよなぁ。
銃を撃つことを至上の楽しみにしていたガサツな……だけど、頼りになるあの女の人に。

――アァン!? 悪かったなァ、ガサツでよ! お前みたいな青瓢箪とは違うんだよ!

……今、どこかから何かが聞こえてきたような……。

「確かにチャンプなら大丈夫かもね。クィーンの私が言うんだから間違いないって」
「そうです! ゲイナーならきっとやってくれます!」
「シンシア……それにアナ姫様まで!?」

どこからともなく飛び出してきたアナ姫様が僕の手を握ってくる。

「ゲイナー、任せましたよ! ゲインの分もしっかり頑張ってきてください!」
「ありがとうございます、アナ姫様……」
「……ま、そういうことなら、とっとと行ってきな。サラだってもう出てるんだ。のんびりしてる暇はないよ!」

アデット先生に背中を叩かれて、一歩前へ進む。
そうだ、急がないと……!


――エクソダス、するかい?

そんなゲインの言葉から始まった僕のエクソダスも、ここまでやってきた。
……本当に色々あった。

キングゲイナーと出会った。
色んなオーバースキルを持つ敵と戦ってきた。
住民同士でいざこざが起こり、それに巻き込まれたりもした。
全世界の皆にサラへの告白を聞かれた。
シンシアに殺されかけた。
オーバーデビルに心も体も取り込まれた。
そんな僕を、ゲインの声が助けてくれた。

そして、ギガゾンビにゲイン共々連れ去られて…………。

だけど、これだけいろんなことがあったけれど、エクソダスはまだまだ続いている。
サラやベロー、ガウリ隊長、ママドゥ先生にアナ姫、アデット先生…………ヤーパンの天井のみんながそれを望んでいるから。

「僕達が希望を持つ限り、エクソダスは暴力なんかじゃ止められないんだ」

エクソダスは僕が止めさせない。
シベ鉄なんか、僕とこのエンペランザで追い払ってみせる!

――その調子だゲイナー。エンペランザはお前に譲ってやるよ。……だから、後は任せたぞ。

ん? 今また何か声が聞こえたような…………。

――俺の声、確かに届けたからな。頑張れよチャンプ!

気のせい……かな?

『準備はいいかい? ハッチ開けるよ!』
「え、えぇ! いつでもどうぞ!」

アデット先生からの通信に僕は我に返り、返事をする。
すると、正面に見えるハッチが開いてゆき……。

「それじゃ、ゲイナー・サンガ、エンペランザ……行きます!!」

僕は操縦桿を握り、外へと飛び出してゆく。



……あっちのエクソダスだって成功したんだ。
このエクソダスだって必ず成功させてみせる――!!!


                   【アニメキャラ・バトルロワイアル OVERMANキングゲイナー 完】

                   ――しかし、ゲイナー達のヤーパンへのエクソダスはまだ終らない――

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298:GAMEOVER(5) ゲイナー・サンガ




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