二つ目の始まり

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匿名ユーザー

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ある日、ビギナーズ王国王城が揺れた。
比喩ではない。物理的に揺れたのだ。
その震源地には三人の人間が居た。
執政刻生と、その御付バトルメードの二人。名前を京香、ロザリーという。
バトルなメイドだけに、手には武器を持っていた。
それぞれ12.7mm機関銃と40mmグレネードランチャーである。
銃口は二人そろって刻生に向けており、その顔もまた、青筋を立てた笑顔で統一されていた。

こんな光景に、見覚えのある人は居るかもしれない。
手には武器は持っていなかっただろう。手も先に出さなかっただろう。
しかしこれは、明らかにある状態であった。
ゲーム的に言うなら、こうなる。

嫉妬大爆発

唯一つ違うとすれば、二人が笑顔しか浮かべていないところであろう。
手を降参の形に挙げ、引きつった笑みを浮かべる刻生。
素数を数えて落ち着きながら、目の前の仮面を被った二人に対する選択肢を探す。
だが、当然ながら、便利なウィンドウはない。
つまり、選択肢も、無い。

101まで数えたところで、刻生は決めた。逃げる。
瞬時にグレネードの発射音。
ヤバイ、本気で殺る気だ。
生命の危機どころか体が残るかどうかというレベルの危険に、身体は反応してくれた。
開いていたドアに横っ飛び、爆風を背中に浴びながら走り出す。
次のドアを探しているうちに、足元に弾痕が穿たれた。
足を止めて確実に仕留める気だと気付いて、血の気がさっと引く。足もさっと速くなる。
今日が終わる前に俺は死ぬんじゃないかと本気で思いながら、刻生は王城を走り回った。
二人の弾が切れるまでが勝負だった。

だが、現実は非常なものだ。
建物が壊れるということは、そこら中に小石がごろごろすることと同義である。
そんな悪路を走るのに慣れてない人間が走れば、結果は一つである。

「あ、だ、だぁぁぁ!」

飛んできた石に躓き、コケる。勢いで何メートルか転がってゆく。
顔がー、顔がーと手で押さえながら周りを見る。調理室だ。
今は仕込みも何も無いので誰も居ないが、設備は生きている。
そこに聞こえる発射音。続いて軽い何かが落ちる音。
この状況で聞こえる音には一つしか心当たりがない。
刻生は、今がギャグパートであることを祈ってコンロから離れる方向に走り出した。
グレネードと、手榴弾が見えた気がした。

その後、爆発。
ちゅどーんと書き文字が現れたと、現場を見た人は証言する。

もうもうと立ち込める煙の中、二人のメイドが顔を見合われる。

無論、アフロだ。

そして自分たちのしでかしたことを確認。
もう一人アフロが居ないことに気づくと、刻生さまー!と探しはじめた。



この騒動の結果は、次の通りである。

調理室 全壊
廊下の30% 半壊
執務室の20% 半壊
資料室 半壊
アフロ 2名
生死不明 1名


続く

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