キノウツン藩国 @ ウィキ

はる(PLACE)の話

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kinoutun

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だれでも歓迎! 編集
L:はる = {
 t:名称 = はる(PLACE)
 t:要点 = 血濡れた剣,倒れた青狸,俺はもはや誰にもとめられん
 t:周辺環境 = キノウツン
 t:評価 = 全能力32
 t:特殊 = {
  *はるのACEカテゴリ = ,,個人ACE。
  *はるの位置づけ = ,,PLACE。
  *はるのみなし職業 = ,,{<ムラマサ3>,<イアイド>,<シャキーン>,<ウォードレスダンサー>}。
  *はるの自由能力 = ,条件発動,(命令された場合)相手を殺害しにかかる。
 }
 t:→次のアイドレス = 闇に落ちる(イベント),弱い絶技反応(絶技),連続攻撃(絶技),猛攻(絶技)


はるという男がいる。
アイドレスでははる、と聞くと大概の人があああのはるさんですか、と言う、良くも悪くも名前の知られた男である。
リアルでは忙しく働き、春の花見に参加していたり、とかく飲み会となると足を運ぶ。
そんなあいつはアイドレスで何をしているかと言うと…

キノウツンの桜並木は政庁の前にある。
そこを寝床にして寝る男が、珍しくその日は座禅していた。
「こんにちはー」
「おう」
遠くからきゅっぽきゅっぽと何か妙な音を立てる靴を履いた男がやってくる。
座禅している男の名前をはる、変な靴はいてきた男を青狸という。
「で、詳しく聞かなかったんだけど今日何するの?」
「花見の演習」
「…まあ、季節だしね」
座禅した状態で器用にぴょんこぴょんこがさがさとビニール袋を漁る
「はる、そのつまみ何?」
「露天の肉屋で売ってた新製品、『血塗れた剣』」
「中身は?」
ん、とはるが差し出す。
棒に刺さったフランクフルトが真っ赤に染まっている。
「何これ」
「食ってみれば判る」
ふむ、と手渡されたフランクフルトをぱくり、と一口かじってみる青狸。
瞬間、この世のものとは思えん叫びが周囲に響き渡った。
「!”#$%%&’()=~~|?」
「ああ、やっぱそうなるか。いや店主のおっちゃんにも何でこんな名前なのか聞いてみたんだが『身を持って知れますよ』と言ってたんだ。言葉通りだな」
「<>?+*}P‘{==~」
呟く足元で倒れた青狸がぴくぴくと断末魔を上げている。
「ん?波がちゃぷちゃぷ…じゃなくて。四角くて大きい…これをどう思う?…でもない」
謎のコントを十数回繰り返す。
足元で倒れた青狸がぴくぴくと痙攣を始めた
「大丈夫か、まあ水でも飲めよ」
普通にペットボトルを取り出して飲ませるはる。ごっきゅごっきゅと一気に飲み干して一息ついてから青狸は深くため息をついた。
「判ってるなら普通に欲しかったよ…」
「ははは。まあ許せよ」
「でもそれ、普通に喉焼けたけど売り出して平気なのかな」
「んー…」

(もやもやもや)

~露天にて~
「たっぷりの香辛料をミンチ肉に混ぜて」
どかどかどかどか、とブロックの肉がミンチにされていく。そこにコショウや唐辛子の粉末、青唐辛子の粉末、タイムやナツメグなど大量の調味料や香辛料が入っていく。
「どれくらい辛いんですかこれ」
「バンバンジーメンを…真っ赤に染める自信はある」
「おお、すげーすげー」
「あの人たちですら耐えられない何か。作ってみたかった…」
山羊肉の血(肉汁とも言う)で濡れた剣を手早く拭いて、肉売り場の肉のムラマサ店長は満足げであった。
手早く肉をまとめると羊の腸に詰め、ボイルする。
しっかり茹で上がった後、ボイルした腸詰に串を刺すと赤いものの上でごろごろと転がし始める
「この赤い色は?」
「…血の色…」
「本当は?」
「………パプリカとチリペッパー」
「ふーん、酒のつまみになるかな」
「…相性はばっちり」
「新製品また出来たら買うよ」
「…毎度!」

(もやもやもや)

「って言ってたから大丈夫なんじゃねえの」
「…今の話を聞く限りではその新製品で何人同じ目に会うか心配になってきたよ。というか僕が明日大丈夫か心配」
「まあ、酒のつまみにはいいぞこれ」
がさがさと再び袋を漁ってビールと新しい『血塗れた剣』を取り出すと青狸に手渡す。
僕の心配は?と言うタイミングもなかったので青狸は何か諦めた顔で受け取った。
「ほれ」
「ありがとう、よし、再チャレンジだ」
フランクフルトをまずかじり、素早く酒をごっきゅごっきゅと飲み干す。
「うおおおお、辛い、辛いけど旨い!旨いけど辛い!止められない!」
「ああ、こいつはやばいな…」
辛さをビールが洗い流し、もう一口、さらに一口とやめられない止まらない。
肉自体も香辛料が効いててパンチのある味わいだ。
がつがつごっきゅごっきゅごっきゅがつがつがつごっきゅごっきゅごっきゅ
「旨い、辛い、旨い、辛い、うま、から」
「俺はもはや誰にもとめられん…この飲み食いのペース、誰にも止められん!」
「俺達は上り始めたばかりだ!このうまから坂を!」
それからのペースは何と言うか凄まじかった。
あっという間に10本5にゃんにゃんのフランクフルトを食いつくし、ビールを4つくらい空けてしまったので買い足してもっと食べて呑んだ。
まさに俺は、俺達はもはや誰にも止められん!という感じであった。いや叫んでいたかもしれない。というか叫んだ。誰か逃げてった。ちょっと泣いた。
男二人の魂の叫びで逃げていくのはちょっと悲しい気がする。

青狸がべろんべろんに酔っ払って嫁に引っ張られてったのを影から見守ると、はるは静かにこの国を見つめられる場所に上った。
政庁の一番上から国を見下ろす。
町の角を、店の中を、イアイド達が、ムラマサ達が歩いている。
その人々を眺め、満足そうにするとはるは再び木の根元に戻ってごろり、と寝そべる。
何せそれが普通のはるなのだ。何かあれば起きて働く。だから誰も何も言わない。
やがて、くうくうと寝息を立て始めるはるに、誰かが毛布を掛けていった。
いつもありがとうございます、と言ってた気がするが誰だかは判らなかった。寝ていたからだ。

はるという男がいる。
今日もキノウツンで寝たり、誰かの危機を街角で助けたりしている。
いつもどこかからあいつは国を見守っている。

(文章・高原鋼一郎 イラスト・猫野和錆 アポロ・M・シバムラ)









 桜吹雪の中で遠く幻のごとく声がする。
 それはいつか、桜が聞いた言葉。

「はがね、おれ暖かい家庭とか無いけどさ。いまわりと幸せだぜ」

 ややあって、さらに響いた。

「あんたの家はこの国だよ。国民はみんな感謝してるさ」

 男は、懐かしい、昔食べたその味を思い出す。


(文章:はる@協力いただいたすべての方に感謝を)

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