アマノジャック@新ジャンル専用
新秋ジャンル「案山子」01_vol03
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新秋ジャンル「案山子」
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- 160 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 13:52:27.77 ID:B0cP+pZ90
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烏 「秋風なー」
案山子「……」
烏 「風って形も依り代もねーよなー」
案山子「……」
烏 「あれこそ神様なのかもなー」
案山子「……」
烏 「きんぴか仏像なんかアレに比べりゃダメだなー、まるで」
案山子「……」
烏 「さすがの俺でも風には勝てる気しねーわ」
案山子「……」
烏 「お前はどーよ?」
案山子「……」
烏 「風より物識りな自信あるかー?」
案山子「……」
烏 「まーそれでも頑張ってこうぜー」
案山子「……」 - 161 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 14:00:10.98 ID:B0cP+pZ90
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女「神がの依り代に仏を用意してみるというこの諧謔! まさに神仏混交の国!」
男「うん……そうだね……」
女「あれれー? 生気がないよぉ? 残暑疲れかなぁ~?」
男「なんで巨大観音像なの?」
女「仏像は大きいほどいいもんじゃない」
男「田んぼ丸々占拠してて稲のスペースがないんですがね」
女「そんなの大事の前の小事だよ」 - 162 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 14:02:04.03 ID:B0cP+pZ90
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一行目
神がの → 神の
- 163 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 14:07:36.57 ID:B0cP+pZ90
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烏 「すべてが終わって」
案山子「……」
烏 「きちんと片付けられず捨て案山子になって」
案山子「……」
烏 「その辺にぶっ倒れて」
案山子「……」
烏 「初めて」
案山子「……」
烏 「空だけ見上げられるんだよなー、お前」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「いや」
案山子「……」
烏 「んー」
案山子「……」 - 164 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 14:16:53.88 ID:B0cP+pZ90
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女「この人なら案山子にどうでしょう?」
イエス「突然ですがこんにちは」
男「イエスさんなにやってんすか!」
イ「いや、うちの修道院もいろいろ台所事情苦しいんで」
女「修道士だけに労働・極貧生活させるんじゃなく自ら汗を流さんとするとは……
最近の宗教のクソ教祖どもに見習わせたいですな。特に似非クール教教祖の某」
男「お前も十分イカレたクール教大神官だが」
男(それはそうとこの人の弟子たちって畑通りすがりに作物勝手につまむような連中だよ?)
女(ぶっちゃけ、ここだけの話。こいつはそのときのための人質も兼ねてる)
男(流石だな兄者) - 165 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 14:20:17.27 ID:B0cP+pZ90
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烏 「初収穫かー」
案山子「……」
烏 「なんかありがたがって神社に奉納してたよー」
案山子「……」
烏 「でも俺がちょっとかじったやつなんだよねー、あれ」
案山子「……」
烏 「食いさしだけどいいのかなー」
案山子「……」
烏 「まあ文句言ってきたらきたでいいや」
案山子「……」
烏 「烏の集団戦法は無敵だぜー?」
案山子「……」
烏 「野生のタクティクスなめんなよー」
案山子「……」
烏 「相手が狩りの神でも負けねーよ?」
案山子「……」 - 167 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 14:27:23.30 ID:B0cP+pZ90
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烏 「……」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「うおぉうっ!?」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「いや」
案山子「……」
烏 「威銃にびっくりするごっこ」
案山子「……」
烏 「実はもうなれちゃってるんだけどね」
案山子「……」
烏 「まあ、なんとなく……ひまなんで……」
案山子「……」 - 168 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 14:37:20.93 ID:B0cP+pZ90
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女「景観にもマッチするもの、ということで愛宕参りの常夜燈を立ててみました」
男「あまりにもマッチしすぎて雀に無視されそうだよ」
女「そういうと思って水銀燈もご用意いたしました」
水「ちょっとぉ~、なんなのよぉ~」
男「稲に埋もれてますな」
女「お人形さんだしね」
男「烏につつかれてますよ」
女「あー大丈夫大丈夫。仲間だと思ってじゃれてるだけだから」
男「烏の注意を稲からそらすことはできそうだけど、雀のほうはどうすんの?」
女「そういうと思って金糸雀もご用意いたしました」
金「い、いったいなにが始まるのかしら~!?」
男「流石だな兄者」 - 169 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 14:44:23.94 ID:B0cP+pZ90
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烏 「曼珠沙華満開だなー」
案山子「……」
烏 「しっかしあいつらも固まって咲くねー」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「対抗してこっちも大群で立ってみるとか」
案山子「……」
烏 「んー」
案山子「……」
烏 「そっかー」
案山子「……」
烏 「それでいいんならいいんだけどさー」
案山子「……」 - 171 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 14:57:06.54 ID:B0cP+pZ90
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女「田んぼといったらこれでしょう」
くねくねくねくねくね
男「なんすか、この二コレットのCMに出てきそうなくねくねしたお方は?」
女「いや、二コレットのCMに出てくるあのお方ですが?」
男「なるほど、稲を食い荒らしに来る虫も煙草の煙でいぶせるわけか」
女「凶悪なおツラしてらっしゃるので稲刈り泥棒もよってきません」
男「どうでもいいけど煙草臭いってレベルじゃないよな」
女「お米がニコチン臭くなるのが唯一の欠点なんだよねー」
男「そんなお米イヤだよ」
女「じゃあ二コレットおいときゃいいんじゃない? コイツいなくなるよ」
男「いや、それ意味ないから」
- 173 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 15:08:02.98 ID:B0cP+pZ90
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烏 「秋空が高いなー」
案山子「……」
烏 「今ならよー」
案山子「……」
烏 「もっと高く飛べそうな気がするんだわ」
案山子「……」
烏 「お前ももっと高く伸びれるんじゃね?」
案山子「……」
烏 「いや」
案山子「……」
烏 「飛んでったり伸びたりしてどうなるもんでもないだろうけどさー」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「行ってみたいじゃん?」
案山子「……」 - 174 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 15:17:12.94 ID:B0cP+pZ90
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烏 「残念だけど今の時代は武装しなきゃなー」
案山子「……」
烏 「鉈とかどーよ?」
案山子「……」
烏 「どっかで聞いたんだけどさー」
案山子「……」
烏 「鉈持った女の子型の案山子がすっげー怖いらしーんよ」
案山子「……」
烏 「あれ?」
案山子「……」
烏 「案山子じゃなかったっけ? なんだっけ、あれ」
案山子「……」
烏 「んー」
案山子「……」 - 175 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 15:20:02.17 ID:B0cP+pZ90
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女「昔の案山子はちゃんと弓矢持ってたわけよ」
男「なるほど、今の案山子は武器を持たないからなめられてると?」
女「でもへたくそに持たせても意味ないしね」
源為朝「さよう」
男「鎮西八郎かよ!」
女「でも一応流罪中だからお上にばれるとやばいんだよね」
為「安心せい。竹島一つ取り戻せなぬような現在のふぬけた朝廷軍など我が強弓の敵ではない」
女「さすが鎮西八郎……頼もしい……」
男「いや、お上じゃなく害鳥追っ払ってください」 - 176 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 15:27:41.58 ID:B0cP+pZ90
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烏 「まーねー」
案山子「……」
烏 「俺も冬場は群れるけどねー」
案山子「……」
烏 「今は気のあった連中とふらふらやってるさー」
案山子「……」
烏 「お前はそーゆーのっていねーのかー?」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「んー」
案山子「……」
烏 「そっかー」
案山子「……」
烏 「じゃあまた来るわー」
案山子「……」 - 177 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 15:33:56.95 ID:B0cP+pZ90
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烏 「刈り入れ終わってこの田んぼもさびしくなったなー」
案山子「……」
烏 「おーおー、畦の栴檀もとうとう実だけになっちまったなー」
案山子「……」
烏 「あれって美味いのかね?」
案山子「……」
烏 「物識りのお前でもそこまではわからんか」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「よし、レッツチャーレーンジ!」
案山子「……」
烏 「美味かったらお前にもやるわー」
案山子「……」 - 179 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 15:44:19.06 ID:B0cP+pZ90
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烏 「秋はいいよなー」
案山子「……」
烏 「種や苗が陽に負けなくなるからよー、いっぱい植えられるしよー」
案山子「……」
烏 「ほじくり放題なー」
案山子「……」
烏 「ん?」
案山子「……」
烏 「田の神もお前もいなくなったらよー」
案山子「……」
烏 「冬の畑は誰がいるんだー?」
案山子「……」
烏 「無用心だなー」
案山子「……」
烏 「ホントに野菜育てる気あるのかよー」
案山子「……」 - 180 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 15:49:25.62 ID:B0cP+pZ90
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女「立ってるだけならほかの仕事も任せてみようと思って郵便ポスト立ててみたよ」
男「シュールなようでもありマッチしてるようでもあるなぁ」
女「ただ場所が場所だけに妖怪ポストと勘違いする人がいるんだよね」
男「じゃあいっそもうそっちと兼用にしちゃえば?」 - 181 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 15:51:16.47 ID:B0cP+pZ90
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女「実りの守護神といえばガンダムエアマスターでしょ、やっぱ」
男「どこのバルチャーからかっぱらってきたんすか」
女「ガロードにかっぱらえて田んぼを愛する農耕民族にかっぱらえんこともないよ」
男「ウィッツさん泣き出す前に返してきなさい」
女「田植えガンダムに対抗して稲刈りガンダムと改名しよう」
男「聞けよ」 - 182 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/18(土) 15:56:05.84 ID:B0cP+pZ90
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烏 「うむ!」
案山子「……」
烏 「秋晴れを称えあおうか!」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「いや」
案山子「……」
烏 「思わず称えたくなるような見事な秋晴れじゃーん?」
案山子「……」
烏 「ひまだしよー」
案山子「……」
烏 「俺はこの空を称えて思いっきり鳴くぜー」
案山子「……」
烏 「じゃあお前はいつもどおりクールに頼むわー」
案山子「……」 - 183 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 15:58:39.72 ID:B0cP+pZ90
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女「秋とはいえ昼間はまだ結構暑いしねー」
男「んだな」
女「暑さにある程度耐性のある奴じゃないと案山子は務まらんっしょ」
男「それであいつらか」
女「まーね」
球「……」
男「高校球児とは考えたな」
女「昨日はうっかりサッカー部スカウトしちゃってさあ」
男「サッカー部はグラウンド動き回るだろ?」
女「うん、すぐ逃げられた。こいつらは球さえ飛んでこなきゃ動かないしね」
男「でもこの人たち授業はどうすんの?」
女「大丈夫。遠征扱いってことで公休になってるから」 - 184 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:00:45.38 ID:B0cP+pZ90
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烏 「やべー」
案山子「……」
烏 「いやさー、俺ってサッカーの神様もやってるじゃーん?」
案山子「……」
烏 「ライバルいたよー」
案山子「……」
烏 「白峰神宮の精大明神ー」
案山子「……」
烏 「あれもサッカーの神様だってよー」
案山子「……」
烏 「バックについてんのって、天皇から大魔王にジョブチェンジした崇徳だぜー?」
案山子「……」
烏 「崇徳はやべーよ、マジやべー」
案山子「……」
烏 「でも崇徳の先祖は俺が世話してやった奴だしなー」
案山子「……」 - 185 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:02:43.98 ID:B0cP+pZ90
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烏 「八咫烏ってさー、神武東征の道案内してたじゃーん?」
案山子「……」
烏 「でもってお前は何でも知ってる物識りの神様だろー?」
案山子「……」
烏 「やっぱ俺たちゃ組むべくして組んだ名コンビなんだよなー」
案山子「……」
烏 「たとえば、そう……」
案山子「……」
烏 「迷子にならないご利益!」
案山子「……」
烏 「方向音痴どもに大人気!」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「誰かそんな神社建てないもんかねー」
案山子「……」 - 186 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:04:32.84 ID:B0cP+pZ90
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烏 「お?」
案山子「……」
烏 「朝っぱらからカメラ小僧が集まってますにゃー」
案山子「……」
烏 「あーあー」
案山子「……」
烏 「あそこで田螺つついてるシギだのサギだのかー」
案山子「……」
烏 「あんなんの何がいいのかねー」
案山子「……」
烏 「俺もちょっくら写ってくるわー」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「追い払われたー」
案山子「……」 - 187 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:07:17.81 ID:B0cP+pZ90
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女「サッカー部といってもゴールキーパーなら田んぼの守護神にいいんじゃないかと」
男「守るエリアが少々広いのが気がかりですな」
女「大丈夫、日本代表クラスを各年齢層から幅広くかっさらってきたから」
男「日本代表のほうはどうなるんだよ!?」
女「サッカー協会のシンボルは八咫烏、烏といえば田畑の作物を荒らす害鳥。
これは害鳥をシンボルに戴きながら稲作国家日本の代表をしゃあしゃあと名乗るチンカスどもへの
最後の贖罪のチャンスなのですよ」
男「それはいいとして雀に侵入されてるぞ」
女「……」
男「見渡す限りの田んぼにあの人数じゃなあ」
女「日韓共催ワールドカップの頃のメッキがはがれた日本サッカーの真の実力にふさわしい醜態だね」
男「言いたい放題だなこのクレイジー農家」 - 188 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:09:26.28 ID:B0cP+pZ90
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パシャパシャパシャ!
男「うわっ! なんだよこいつら!」
女「マスゴミのみなさんです」
男「なにがあった?」
女「昼夜問わずやかましいわライトアップし続けてるわ、場合によっちゃヘリの爆音爆風もあるわ、
まさに鳥よけ、久延毘古の依り代にふさわしい」
男「たしかにそうだけど――うぜっ! ご近所迷惑だろ!」
女「あたりかまわずごみ散らかしたり田んぼ平気で踏み荒らしたりするのがたまにキズなんだよねぇ」 - 189 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:11:16.41 ID:B0cP+pZ90
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烏 「お祭りっていいよなー」
案山子「……」
烏 「食い物ポイ捨てしまくりだしよー」
案山子「……」
烏 「いやー、久しぶりに食いまくってきたわwww」
案山子「……」
烏 「そういや秋祭りってさ、基本的に収穫感謝祭だよなー?」
案山子「……」
烏 「ふつう主役はお前じゃね? 常識的に考えて」
案山子「……」
烏 「田の神の依り代っつか、久延毘古っつったら神様そのものじゃん」
案山子「……」
烏 「案山子あげってのもあるけど、あれってメジャーじゃねーだろー?」
案山子「……」
烏 「誰もこねーなー」
案山子「……」 - 190 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:14:31.94 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「なんかさー」
案山子「……」
烏 「夏の終わりからずっと野ざらしじゃーん?」
案山子「……」
烏 「だいぶむさくなってきたなー」
案山子「……」
烏 「お前は悟ってるからよくてもよー、頑張ってる奴が報われねーと凡人は見ててやる気なくすんよ」
案山子「……」
烏 「だからその気がなくてももらって当然のもんはもらっとけってなー」
案山子「……」
烏 「なんかいいもんねーかなー」
案山子「……」
烏 「んー」
案山子「……」
烏 「よーし、そこらじゅうに満ちてる金木犀の香、今日一日お前専用の香水なー」
案山子「……」 - 191 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:17:17.89 ID:B0cP+pZ90
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女「案山子も昔は弓矢持ってたけど、やっぱ鉄砲のほうが確実っしょ」
男「硝煙の臭いだけでも警戒してくれるしな」
女「というわけで織田の鉄砲隊立たせてみた」
男「三段撃ちか!」
女「現在は否定されてるっぽいけどね」
男「音だけでも脅しにはなるわな」
女「ただ戦国武士だけあって刈田狼藉したがるんだよね、この人たち」
男「何事も一長一短かぁ」 - 192 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:19:05.57 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「日が短くなってきたよなー」
案山子「……」
烏 「あー、汽車だ」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「たそがれ時の汽車ってなんかアレだよなー」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「じゃーなー」
案山子「……」
烏 「また明日来るなー」
案山子「……」 - 193 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:23:47.12 ID:B0cP+pZ90
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烏 「あ、見た見た? 今の人間の顔ー?」
案山子「……」
烏 「微妙に気付いてたねー」
案山子「……」
烏 「今ふいっと吹いたの、冬の風だったよ」
案山子「……」
烏 「でも人間の感覚じゃ一瞬微妙に感じるのが関の山だねー」
案山子「……」
烏 「何かは感じたらしいけど具体的なとこまではわかってなかったなー」
案山子「……」
烏 「ん?」
案山子「……」
烏 「お前はちゃんとわかってたよねー?」
案山子「……」
烏 「いつもクールだから、わかってんのかわかってないのかよくわからんなー」
案山子「……」 - 195 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:27:02.52 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「あちゃー」
案山子「……」
烏 「長話しすぎたなー」
案山子「……」
烏 「今からねぐらに帰るのもなんだしなー」
案山子「……」
烏 「今日はその辺の樹に泊まってくわー」
案山子「……」
烏 「ひょっとして夜見られるのいやかー?」
案山子「……」
烏 「だったら帰るよー、俺」
案山子「……」
烏 「んー」
案山子「……」
烏 「無理しなくていいよー」
案山子「……」 - 196 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:30:50.78 ID:B0cP+pZ90
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女「オーソドックスに鳥居強右衛門立たせてみたよー」
男「なにがオーソドックスか知らんがその発想がすごいな」
女「援軍は来ないって城中にいえば命だけは助けてやるって条件で」
男「なにがすごいって長篠城なんかどこにもないことだな」
女「でもこの人、どれだけ脅されても援軍は来る援軍は来るって勝手に叫び続けてくれるから、
威銃兼案山子としては優秀な人材よ?」
男「まあ織田・徳川の援軍が来る前にさっさと逃げろよ、お前も」 - 197 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:33:06.66 ID:B0cP+pZ90
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女「自分をいけにえにして何か祈願してる神様がいたからかっさら――スカウトしてきたよ」
男「農耕民族ってたまに思い切ったことするから怖いよなあ」
オーディン「ホントにルーン文字は手に入るんでしょうか?」
女「入る入る。無事刈り入れがすんだら田んぼにくっきり文字が現れてるからー」
オ「wktk」
男「オーディンさんですか」
女「まあね」
男(ホントにルーン文字あるの、この田んぼ?)
女(刈った後に飛来する雀だか烏だかの足取りが文字になってるっていやぁ納得するって)
男(そういう神話は確かに世界各地に存在してるけどさあ……)
オ「wktkwktk」
男「オーディンさん、すっげえ楽しみそうなのにいいのかなぁ……」 - 198 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:34:38.04 ID:B0cP+pZ90
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烏 「また生えやがったなー、このゾンビども」
案山子「……」
烏 「二度目の稲は背が低いからなー、俺でも食いやすいってもんよー」
案山子「……」
烏 「原産地の熱帯じゃちゃんと育つらしいんだけどさー」
案山子「……」
烏 「まあ、こーゆーのは味じゃなく風情よ、風情」
案山子「……」
烏 「おー、なんか犬がこっち見てら」
案山子「……」
烏 「俺たちと一緒につまみたいんかねー?」
案山子「……」
烏 「寝たよ」
案山子「……」
烏 「犬に風情はわからんかー」
案山子「……」 - 199 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:36:17.73 ID:B0cP+pZ90
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烏 「これ見よがしなビニールハウスだよなー、あれ」
案山子「……」
烏 「稲はあの中じゃダメなのかー?」
案山子「……」
烏 「んー」
案山子「……」
烏 「あっちには案山子いねーのなー」
案山子「……」
烏 「中入れねーなー」
案山子「……」
烏 「きっとよくないことやってんだぜ」
案山子「……」
烏 「神様のお前に見られちゃ困るぐらいなんだしよー」
案山子「……」
烏 「人間はホント怖いよなー」
案山子「……」 - 200 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:39:04.13 ID:B0cP+pZ90
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烏 「物識りといえばだ」
案山子「……」
烏 「こたつ猫」
案山子「……」
烏 「何でも知ってるこたつ猫」
案山子「……」
烏 「こたつを出りゃーただの猫だけどなー」
案山子「……」
烏 「あれは手ごわいぞー」
案山子「……」
烏 「そういやお前も田んぼから出ねーなー」
案山子「……」
烏 「そうか」
案山子「……」
烏 「そーゆーもんですかー」
案山子「……」 - 201 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:41:11.14 ID:B0cP+pZ90
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烏 「土手の野仏とかよー」
案山子「……」
烏 「仏像はどんなにぼろくても物好きがちゃーんと世話するだろー?」
案山子「……」
烏 「信仰心の薄れた現代でもさー」
案山子「……」
烏 「俺たちだって神様なのによー」
案山子「……」
烏 「まーあれだ」
案山子「……」
烏 「あいつらはしょせん独りじゃ生きていけねー軟弱者よー」
案山子「……」
烏 「俺たちは野生のガッツとインテリジェンスで頑張ろうぜー」
案山子「……」 - 203 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:43:55.34 ID:B0cP+pZ90
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女「雨が降ろうと槍が降ろうとじっと我慢の子……そうじゃなきゃ案山子なんか務まらない」
達磨「……」
男「なるへそ。達磨大師ならその点理想だな」
女「ずーっと壁向いたまま動かないから誘か――スカウトも楽だったわ」
男「マジ怖いな、農耕民族って」
女「ただ問題は」
男「ああ」
達「……」
女「害鳥が来ても手も足も出ないってとこかな?」
男「うまいこといったな」
達「……」 - 204 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:46:47.73 ID:B0cP+pZ90
-
女「案山子たるもの秋の風情として違和感ないものじゃないとね」
男「実用面だけじゃなく審美面からも攻めてみますか」
女「どこまでも遠く高い秋空に映えるものといやあ、夏目漱石も一句詠んだようにお城でしょー」
松山城「……」
男「松山城かよ!」
女「あとは松山城にお任せして、一六タルトでも食いながら実りを待てばよし」
男「うずしおパイじゃダメなのか?」
女「あぁ~ん? 松山銘菓っつったらタルト、それも一六に決まってるだろうがボケェ」
男「源氏パイ系究極体・うずしおパイの美味さがわからん奴の生きる価値のなさはガチ」
女「……死ぬしかないな」
男「……お前がな」
松「……」
松「ここは単価お手頃・味最高、お土産にも最適な母恵夢ではどうですかね?」
男「――松山城、わかるんだ!?」
女「さすが松山城だ! HEYカモーン!!!!」
( ゚∀゚)城`)⊿゚)ξ「「「ラララ♪ 見上ぐればぁ~城屹(きつ)としてぇ~秋の空ぁ~♪」」」
- 205 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:48:33.41 ID:B0cP+pZ90
-
女「足は動かずとも居ながらにして天下のことを知る……」
男「で、田んぼに安楽椅子おいて編み物してるこのご老人は?」
女「安楽椅子探偵を代表してミス・マープルを拉致……お越しいただきました」
男「向かうところ敵なしだな、この狂気の農耕民族は」
マ「……」
マ「……稲をついばんだ犯人は雀ですね」
男「いや、見りゃわかります。何とかしてください」
女「それは安楽椅子探偵じゃなくハードボイルドタイプの探偵拉致……依頼しなきゃねー」 - 207 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:50:16.32 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「……」
案山子「……」
烏 「いや……」
案山子「……」
烏 「お前の体の藁は使わねーよ」
案山子「……」
烏 「こんな田園だからこそなー」
案山子「……」
烏 「マイホーム造るときはあえてハンガーとか使ってなー」
案山子「……」
烏 「野生のアートを表現するぜー」
案山子「……」
烏 「いや」
案山子「……」
烏 「来年は作るよ、彼女……」
案山子「……」 - 208 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:51:57.39 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「あれだ」
案山子「……」
烏 「賽銭箱置いたらさー」
案山子「……」
烏 「案外つられて入れる奴多いんじゃねーの?」
案山子「……」
烏 「お前神様なんだから遠慮すんなってー」
案山子「……」
烏 「集まるといいよなー」
案山子「……」
烏 「きんぴかのお金ー」
案山子「……」
烏 「いやいやいやいやいやー」
案山子「……」
烏 「俺がコレクションしたいわけじゃないよー?」
案山子「……」 - 209 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:53:53.88 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「お前、お正月って見たことあるー?」
案山子「……」
烏 「変な奴らしいぜー」
案山子「……」
烏 「三が日のどんちゃん騒ぎに引き寄せられてきてさりげなく便乗して」
案山子「……」
烏 「またしれっとどっかいっちゃう奴らしいよー」
案山子「……」
烏 「いや」
案山子「……」
烏 「俺のことじゃないってー」
案山子「……」
烏 「そりゃー人間のおこぼれ結構いただくけどさー」
案山子「……」
烏 「そういやお前、正月なにやってんだー?」
案山子「……」 - 211 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:56:39.06 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「今日なー、軽くショックだったわー」
案山子「……」
烏 「一緒に寝泊りしたりエサあさったりしてる俺の仲間ー?」
案山子「……」
烏 「殺されててさー」
案山子「……」
烏 「畑にぷらぷら吊られてたー」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「お前の仲間も用がすめば斃れたまま野ざらしになってたりするよなー」
案山子「……」
烏 「うん……強く生きるぜー俺は」
案山子「……」
烏 「野生のガッツでなー」
案山子「……」 - 212 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 16:58:59.69 ID:B0cP+pZ90
-
女「案山子は歩かずして天地のことを知る、されど自ら誇らず、ただクールに立つのみ」
男「いや、もうクールはいい」
女「というわけでクールな方にお越しいただきました」
男「聞けよ」
快川紹喜「心頭滅却すればぁアアアアアアァァァアアァッァアアアアア!!!!」
男「快川紹喜和尚!」
女「炎の中にあってクール! しかも当時、禅僧といえば知識人の代表格!」
男「なるほど、新案山子としちゃうってつけってことか」
女「ただ問題が一つあってねー」
快「火もおのずと涼しィィィィィイイイィィィイイィッィィィイイイイイイイイイイ!!!!」
女「周囲が燃えてなきゃクールじゃないんだよねぇ」
男「田んぼ燃えてるぞ?」
女「【タイプ:ヒートクール】役立たず……と」
男「ヒートクールってこんなのでいいの?」
女「灰は藁屑と一緒に田んぼに鋤きこんどけ」 - 213 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:02:32.45 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「ふと思ったんだけどさー」
案山子「……」
烏 「お前、夜になったらひょっとして動き回ってねーか?」
案山子「……」
烏 「あーあー」
案山子「……」
烏 「ないか」
案山子「……」
烏 「鳥は昼だけど人は夜わるさしに来るもんなー」
案山子「……」
烏 「稲作以前はお前、なにやってたんだー?」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「秘密かよー」
案山子「……」 - 214 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:03:42.01 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「この辺さー」
案山子「……」
烏 「俺のチームの縄張りなんだけどよー」
案山子「……」
烏 「お前の縄張りってどのぐらいよー?」
案山子「……」
烏 「天下のことを何でも知ってるってことはさー」
案山子「……」
烏 「まさか世界中?」
案山子「……」
烏 「んー」
案山子「……」
烏 「でもなー」
案山子「……」
烏 「俺の縄張りの中のことじゃー、俺のほうが詳しいぜー」
案山子「……」 - 215 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:04:51.19 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「れ? そこに生えてた朝顔は?」
案山子「……」
烏 「あー、引っこ抜かれた?」
案山子「……」
烏 「もうだいぶ花ちっちゃくなってたしなー」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「でもまだ咲いてたのになー」
案山子「……」
烏 「稲刈り後も頑張ってたのになー」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「種、散ってるだろうし、また来年生えてくるってー」
案山子「……」 - 217 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:07:01.29 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「土手の野仏なー」
案山子「……」
烏 「朝夕に通りすがる人間のガキども見守ってんのが好きなんだとよー」
案山子「……」
烏 「ここもガキ通るよなー」
案山子「……」
烏 「お前もガキ好きかー?」
案山子「……」
烏 「俺はそれなりに好きよー」
案山子「……」
烏 「おちょくりがいあるしさー」
案山子「……」
烏 「トンビおちょくる次ぐらいにおもしろいよー」
案山子「……」
烏 「んー」
案山子「……」 - 218 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:08:49.96 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「この辺、烏よけってあんまし見かけないんよなー」
案山子「……」
烏 「街のほうじゃアレを攻略するのが流行っててよー」
案山子「……」
烏 「俺もやりてー!」
案山子「……」
烏 「あー」
案山子「……」
烏 「すまん……」
案山子「……」
烏 「お前もいちおう鳥よけだったわな……」
案山子「……」
烏 「まー気にすんな」
案山子「……」
烏 「俺は鳥っていうか神様だからさー」
案山子「……」 - 219 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:10:20.79 ID:B0cP+pZ90
-
女「案山子の器にふさわしい磔物体といやこのお方もいいね」
男「ネルフの地下のお方ですか」
女「この威圧感、このパワァ、雀なんかびびって寄ってきませんよ。ふふふ」
男「でも使徒は寄ってくるんじゃないの?」
女「使徒は稲なんかついばまないよ」
男「じゃあいいのか」
女「街は壊滅するかもしれないけどね。稲を守るためには仕方ないよ」 - 220 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:13:19.13 ID:B0cP+pZ90
-
女「追い払うだけじゃなく、積極的に駆除という面からも攻めてみようかと」
男「蝿取りリボンかぁ。なつかしいな」
女「コイツにへばりついて死んでくれりゃほかの雀も用心して寄ってこなくなるだろうし、一石二鳥」
男「ところでこれ、どっからぶらさがってんの? てっぺんが見えないんですけど」
女「ヒミツ」
男「真上、空しかないよね?」
女「……A secret makes a woman woman」
男「いや、全っ然クールビューティーに見えないから。モノが蝿取りリボンだし」
- 221 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:13:56.15 ID:Je98fc3E0
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|\. | |し' | \
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| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | - 223 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:18:26.66 ID:Je98fc3E0
-
- 224 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:18:27.30 ID:B0cP+pZ90
-
女「やはり害鳥どもに『アウトッ!』ってちゃんと言える案山子じゃないと」
男「あの野球の審判みたいなのはそれですか」
女「高校球児同様、あいつも炎天下立ちっぱなしは慣れてるだろうしね」
審「……」
男「さっきから雀も烏も田んぼに入り浸り放題だけどなんも言わねぇな、あの審判」
女「おかしいな……ちゃんとした審判のはずな――――ジャンパイアかッ!」
男「ジャンパイア!? 某特定球団のみに特化した贔屓をやらかすというあの神話上の怪物?」
女「ぬかったわ……まさかまだ生き残りがいやがったとはな。ちょうどいい、さっきの球児ども呼んでこい」
男「あ、うん」
女「さあ球児たちよ。お前たちの中で米の飯を食ったことのある者のみが
このジャンパイアを白球で撃ち殺すがよい」
男「それ、なんてイエスキリスト? っつーか殺る気満々だ!」 - 225 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:20:32.55 ID:B0cP+pZ90
-
女「夢でジョースター卿のお告げがありました」
男「へぇ」
、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
/⌒` 三ミヽー-ヘ,_
__,{ ;;,, ミミ i ´Z,
ゝ ''〃//,,, ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
_) 〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
>';;,, ノ丿川j !川|; :.`7ラ公 '>了 なにジョジョ?
_く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;) 雀が稲穂にまとわりついて離れない?
く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
):.:.:.:.:|.Y }: :! `二´/' ; |丶ニ ノノ ジョジョ それは無理矢理追い払おうとするからだよ
) :.: ト、リ: :!ヾ:、 丶 ; | ゙ イ:}
{ .:.: l {: : } ` ,.__(__,} /ノ 逆に考えるんだ
ヽ ! `'゙! ,.,,.`三'゙、,_ /´
,/´{ ミ l /゙,:-…-~、 ) | 「雀を仕掛ければ実った稲が寄ってくる」と
,r{ \ ミ \ `' '≡≡' " ノ
__ノ ヽ \ ヽ\ 彡 ,イ_ 考えるんだ
\ \ ヽ 丶. ノ!|ヽ`ヽ、
\ \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
\ `'ー-、 // /:.:.} `'ー、_
`、\ /⌒ヽ /!:.:.|
男「それでこうなったわけね」
女「田んぼ一面に雀を植えてみた」
男「ちゅんちゅんうるさいってレベルじゃねーぞ」
女「一度足元から刈り取ってもしばらくしたら二番鳥が生えてくるから二度おいしいし」
男「わかったから早く家に帰って【虚言八百万八伝】を墨で塗りつぶす仕事に戻るんだ!」 - 226 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:22:05.66 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「秋の空ってさー」
案山子「……」
烏 「遠いよなー」
案山子「……」
烏 「遠いけど一番なんかありそうだよなー」
案山子「……」
烏 「何があるんだろうなー」
案山子「……」
烏 「お前さー、物識りだから知ってるんじゃね?」
案山子「……」
烏 「あーあー、言わんでいい言わんでいい」
案山子「……」
烏 「こーゆーのはなー、言わねーでおくのが通ってもんさー」
案山子「……」
烏 「秋の空ってな、遠いよなー」
案山子「……」 - 227 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:23:34.83 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「お? なにそれ? おしゃれー?」
案山子「……」
烏 「赤い羽根ー?」
案山子「……」
烏 「なんか募金したんかー?」
案山子「……」
烏 「ほー」
案山子「……」
烏 「どいつかしらんが風流な人間もいるもんよのー」
案山子「……」
烏 「よーし」
案山子「……」
烏 「じゃあ俺からはお前の働きを称えて黒い羽をくれてやろー」
案山子「……」
烏 「遠慮すんな遠慮すんな、俺とお前の仲だろー?」
案山子「……」 - 228 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:25:49.82 ID:B0cP+pZ90
-
女「稲作文化は日本文化の中心といって過言ではない」
男「過言だとは思うが重要な位置を占めてるのまでは否定しないよ」
女「ゆえにその田んぼを守る案山子の依り代たるもの、大いなる中心でなくてはなるまいて」
男「また意味のわからんことを」
女「というわけで中心にしてしかも頂点というお方にお越しいただきました」
南極点「……」
男「ちょっと待て。じゃあいま地球の南端はどうなってんのさッ!?」
女「しらねーよ」
男「ヘンなもん立てるから季節外れの雪女がわらわら寄ってきてるぞ?」
女「うおぉうっ!? 冷害で不作にする気かぁ!」
男「さっさと南極点さん、地球南端に返してきなさい」
南「……」
南「今年の夏は異常猛暑。
だが適度に痛めつけて弱らせた雪女を置いておけば実りにちょうどいい温度に中和されるだろう」
男「な、なんて恐ろしいことを――まるで南極のブリザードみたいに冷酷な奴だぜ……ッ」
女「さすが南極点だ! HEYカモーン!!!!」
( ゚∀゚)南_)⊿゚)ξ「「「我れ無くも 必ず捜せ 南極の 地中の宝 世にいだすまで」」」 - 229 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:27:28.33 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「今日も犬っころが完全油断顔で寝そべってるなー」
案山子「……」
烏 「同じ寝てても夏の寝顔とは違うな」
案山子「……」
烏 「んー?」
案山子「……」
烏 「いやいやいやいやいやー」
案山子「……」
烏 「向こうが油断してると思ってるときこそこっちはますます油断できん」
案山子「……」
烏 「ああ見せかけてばっと来ることあるしよー」
案山子「……」
烏 「俺はいつだって野生のアンテナを錆付かせたことねーぜ?」
案山子「……」
烏 「お前もなー、いよいよ気を引き締めていけよー」
案山子「……」 - 231 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:29:05.76 ID:B0cP+pZ90
-
女「雀はともかくとして烏にも困ったもんだよねぇ」
男「あのくちばしは田んぼのまわりの野菜とかも食い散らかすしなぁ」
女「しかも奴らは知恵が回るからね」
男「厄介だなぁ」
女「でも知恵が回るぶん『こいつぁダメだ』って思ったら見切りも早いよ」
男「ありますか、そんな強力な案山子候補が?」
女「あの丘の上に」
男「遠くない?」
女「名狙撃手を立たせてみました」
男「まさか……G(ジー)と呼ばれた男かッ!?」
女「いや……Z(ズィー)と呼ばれた男よッ!!」
杉谷善住坊「……」
男「信長を狙撃した男かっ」
女「いい具合に烏がスイカあさってら……善住坊、シュートッ!」
ぱぁん!
烏「――ッ!?」
男「惜しいッ。あと少しで!」
女「ちぃっ。もうダメだ! 烏と信長は一度覚えた敵の顔は死んでも忘れん。善住坊はもう使えんな」
男「あー……烏に一度敵認定されたら永遠に狙われるもんなぁ」
女「まあつかまるまでせいぜい幸せに生きてね、善住坊……」 - 232 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:30:27.07 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「雲が速いなー」
案山子「……」
烏 「こーゆー日はさー」
案山子「……」
烏 「行ったことないところになんかありそうな気がするんだわ」
案山子「……」
烏 「んー」
案山子「……」
烏 「お前もそう思うー?」
案山子「……」
烏 「じゃ、ちょっくら雲の行くほうに行ってみるわー」
案山子「……」
烏 「またなー」
案山子「……」 - 233 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:31:56.90 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「案山子ってさー」
案山子「……」
烏 「kksって略したらかっこよくねーか?」
案山子「……」
烏 「烏はkrsか」
案山子「……」
烏 「kkcのほうがいいなー」
案山子「……」
烏 「カー・カー・シィって言ってるみたいでさー」
案山子「……」
烏 「なんか謎の組織みたいじゃーん?」
案山子「……」
烏 「なるほどー」
案山子「……」
烏 「これが世に言うクール教団かー」
案山子「……」 - 234 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:34:21.72 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「はー」
案山子「……」
烏 「いや、なー」
案山子「……」
烏 「【水風呂の 下や案山子の 身の終い】ってなー」
案山子「……」
烏 「よその田んぼだけどなー、さすがに最期、ドラム缶風呂の炊き付けはねーだろーっての」
案山子「……」
烏 「まー神様に実体はないともいうけどさー」
案山子「……」
烏 「お前の体が依り代でもなー」
案山子「……」
烏 「お前はどうなるんだろうなー」
案山子「……」
烏 「いや、俺は野生のソウルがあるから覚悟を持って日々生きてるけどよー」
案山子「……」 - 235 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:36:12.96 ID:B0cP+pZ90
-
女「諏訪の御柱を建ててみようかなぁ」
男「近所にアイス買いに行くみたいな気軽な口調で言わんでくれ」
女「アレは神木系でもかなりレベルの高い仲魔だからね。久延毘古の依り代には十分すぎるよ」
男「仲魔だったのか」
女「【地祇:タケミナカタ】と【神剣:フツノミタマ】を二身合体でできる」
男「マジですか」
女「ただ問題はアレ、建てるのにバカ騒ぎするから周辺の田畑が荒らされ放題なんだよねー」
男「あのお祭りはねぇ」
女「それと七年に一度しか建て替えしてくんないしぃ」
男「じゃあダメだな」 - 236 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:37:30.22 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「ちょっくら犬と遊んでくるわー」
案山子「……」
烏 「うりゃ!」
案山子「……」
烏 「おー」
案山子「……」
烏 「毛が抜けかけとる」
案山子「……」
烏 「おもすれーwwwすぽすぽ抜けるわーwwwww」
案山子「……」
烏 「あー」
案山子「……」
烏 「ガキのころ巣に敷いてたのってこれだったんだー」
案山子「……」
烏 「うぉうっ? いきなり立つなよ犬ー!」
案山子「……」 - 237 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:39:53.14 ID:B0cP+pZ90
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女「依り代にはとり憑きやすさも必要だと思うんだ」
男「イタコでもおいとけや」
女「久延毘古の憑依に成功したって言うんで、常世の国で非時香菓にへばりついてた少彦名
捕まえてきて見せたけど誰かわからなかった。イタコ十人で試して十人とも」
男「少彦名……大国主の国造りがすんで常世の国に去ったと思ったらなにやってたんだ……」
女「仕方ないから堆肥の材料に混ぜといた」
男「イタコを?」
女「両方」
男「……少彦名は無罪だろ、常識的に考えて」
女「で、無地の広告看板を立ててみたわけよ」
男「そういや汽車乗っててよく見るよなぁ。田んぼの中にでっかい看板」
女「田んぼにもマッチするし、どうとでも描けるし、まさに新案山子にふさわしい!」
男「で、どうなりました?」
女「DQNが落書きしやがったんでこれから鋤き殺しにいくんだけど、一緒に行く?」
男「遠慮しとく」 - 238 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:41:12.64 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「あの栴檀の実さー」
案山子「……」
烏 「高いとこでよー、自分ひとり秋空独り占めみたいなツラしてよー」
案山子「……」
烏 「なんかやだねー」
案山子「……」
烏 「絶対お前見下して笑ってるってー」
案山子「……」
烏 「はー」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「お前はクールだねー」
案山子「……」 - 240 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/08/18(土) 17:42:44.79 ID:B0cP+pZ90
-
烏 「斃れるときでも前のめりに斃れて死にたいとかなんとかなー」
案山子「……」
烏 「そこまでして先に進んだって知れたもんだぜー?」
案山子「……」
烏 「なー」
案山子「……」
烏 「俺は野生のデスティニーのままに生きるだけだしよー」
案山子「……」
烏 「死に際なんてどうだっていいんだけどなー」
案山子「……」
烏 「……」
案山子「……」
烏 「お前はどうよー?」
案山子「……」
烏 「最期ぐらい田んぼの上を見上げてみるのもいいもんかもよー」
案山子「……」
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