アマノジャック@新ジャンル専用

新ジャンル「文房具」02_vol01

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新ジャンル 「文房具」2
23 愛のVIP戦士 sage 2007/02/10(土) 23:25:56.00 ID:nYf4GmX40
帰ってきたら、書く場所がなかった。
新しく作ろうとしたら、その必要はなかった。

お前ら、お前ら――何て、ヌクモリティ!!

24 愛のVIP戦士 2007/02/10(土) 23:29:20.78 ID:pTq4VMz20
保守れなくてスマソ

26 愛のVIP戦士 2007/02/10(土) 23:46:26.27 ID:nYf4GmX40
時計に見立てると、
四時の方向に使われなくなった焼却炉、八時に錆びついた鉄棒、
九時の側に板が銀色に光るすべり台、
そして――十二時方向に、安っぽい二階建ての展望台があった。
「まずは、あの展望台の下に向かって」と、桜は言う。

30 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 00:13:06.76 ID:eQrQ9W9R0
ぬかるんだ地面を走る。
跳ねた泥が、俺の白のスニーカーとデニムの裾を遠慮なしに汚した。
その上さっきから体が冷えてしようがなかったが、
そんなことよりも、俺はこれだけ桜を張り詰めさせるモノの正体を知りたかった。
「なぁ、とにかく何が…」待ってるんだと言い終わる前に
「ごめんなさい、私からは言えないわ…、
 もう少し待って。もう少しで――」あなたにもわかるからと、桜は呟いた。


36 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 00:42:49.54 ID:eQrQ9W9R0
桜が示した場所にたどり着く。
展望台の二階に上るための階段の裏に、
ダンボールが敷かれた貧しい生活空間があった。
いや、正確に言えば、元――生活空間。
貧しいのに奪われ、ないのに発(あば)かれき尽くされた、略奪の跡。
――それが目の前にあった。

37 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 00:52:32.98 ID:eQrQ9W9R0
これか?桜はこれを見せたかったのか?そう思っていると、
それに答えるかのように、
いつの間にか胸元に戻った桜が今度は俺に見えるように
「あそこの先に進んで」と、道のない林を指差した。

40 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 01:13:10.85 ID:eQrQ9W9R0
天井に茂る枝葉が雨をある程度遮るせいで、
あまり濡れていない柔らかな腐葉土の地面を歩く。
桜が走らせないってことは、どうやらソレは近いらしい。
少し進むと、桜が言った。「停まって」
そして目を細めて、慎重に辺りを見渡し始める。

42 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 01:30:02.64 ID:eQrQ9W9R0
「いた!!」向こう、と、少しはなれたところ左の方を指差す。
何もない。「地面の方を見て!!」とさらに続ける。
何も見えない、枯れた葉っぱしか…。「じゃぁ進んで!!」
下を見ながら少し進むと、ようやく俺もそれを見つけた。

43 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 01:32:11.96 ID:pYEZ1rfe0
(;°ω°)dkdk・・・

45 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 01:40:08.43 ID:eQrQ9W9R0
一本の黒いペンの傍に、
両膝をつき、力なく両腕を下げて呆然と一点を見つめ、
止まらない涙を流し続けている、年老いた小さな男の姿を。

46 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 01:55:18.69 ID:eQrQ9W9R0
その爺さんの悲嘆の視線の先を目で追う。
枯れた葉、おうとつに富んだ木の幹、それが交互に目に入り、
そして―― 

47 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 01:59:12.81 ID:eQrQ9W9R0
一本の手がまるで救いを求めるように、
地面から斜めに生えているのを俺は見た。

51 愛のVIP戦士 sage 2007/02/11(日) 02:15:31.00 ID:eQrQ9W9R0
なぁ…、
実はここからなーんにも考えてないっつったらどうする?

52 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 02:17:48.09 ID:+TuRp68fQ
>>51
続きをがんがって書いてくれるまで待つ!……かな?

54 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 02:21:46.92 ID:+fNBaSzTO
私に出来るのはwktkすること
ただそれだけ

55 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 02:24:39.28 ID:eQrQ9W9R0
ちぃと疲れたから、
冗談でも言って、気分転換しようと思ったのに

あったかい、なんだこのあったかさwwwwwwwwwwww

それじゃ、続き。


予想外の光景に固まっている俺に、桜が告げる。
「とりあえず万年筆の彼を、この場所から違う所へ」
と、桜が目を涙でうるませながらこちらを見あげ、言った。
「うぉぉ!!!???」我に返る。思わず叫んでいた。
万年筆の爺さん??その前に!!手、手、手っ。
あの、あの手はどうするんだ、普通に考えてあの下には人が埋まっている。

57 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 02:29:17.06 ID:eQrQ9W9R0
まず最初に、け、警察に連絡するべきだろ、これは!!??
俺は混乱しながら、そのことを告げると
「私達を見ることのできない警察は、
 あなたがなぜここに来たのか、とても知りたがるでしょうね」と返してきた。
泣きそうな表情の割りに、
な、なんて冷静かつ、怖いことを言ってくるんだ、コイツは

58 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 02:31:21.92 ID:+TuRp68fQ
>>51

この『新ジャンル「文房具」』は、
前スレ1がスレを立てた事によってできた物語であり、生まれた世界である。
ならばこそ、これらを生かすもどうすることも1次第。
VIP板で3日ルールがあるから昨日の21時30分頃にスレは落ちたけど、
このスレには1を応援する読者や保守陣がいる。
だから次スレが立ってこうして1の描く物語の続きを皆が待ち望んでる。

多分、どんなけ時間が掛かろうと、桜たちが繰り広げるストーリーが完結するまでは見守るつもりだよ

59 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 02:33:26.92 ID:pYEZ1rfe0
>>58
ブワ

60 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 02:41:42.66 ID:eQrQ9W9R0
…もはや、俺だけのもんじゃないってのを再確認した。
ガンガル。

63 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 02:56:52.82 ID:eQrQ9W9R0
って、そ、そういう問題じゃネェだろ。
「残念だけど、終わってしまったものより、
 まだここ存在(い)るものの方が重要よ、それに――」
 あの万年筆のおじいさんは、あなただけにしか保護することはできないわと、
桜は付け加えた。
 あぁ、もう、わかった、わかったよ。
 びしょびしょになった頭を乱暴に掻く。
近づいて、爺さんを見る。
まぶたを閉じるたび、涙が頬を伝い、
水の線が生やした髭に吸い込まれていく。

65 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 02:58:13.04 ID:eQrQ9W9R0
「な…なぁ、爺さん、ここは冷えるぜ?」俺は話しかけた。
万年筆。万年筆に向かって、
冷えるぜときたもんだ、激しく後悔する。
自分の言葉の貧困さを、これほど恨めしいと思ったことはない。
焦点があってない目をこちらに向けて、
俺の下から上をゆっくりと見ると、
またあの手の方向に向き直る。

67 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:04:23.60 ID:eQrQ9W9R0
「いや、その…なんだ、じいさん、
 とりあえず、一緒にこないか」
「若造、何でわしが見えるのかは知らんが…放っておいてくれ、
 わしは、ここで、主と共に朽ち果てる」
聞いた俺に、爺さんは昏い声で返事をよこす。
だ、そうですよ、桜さん。

68 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:07:35.20 ID:eQrQ9W9R0
「ダメよ、お爺さん、喪失の絶望に飲み込まれちゃ――」
桜が悲しそうに、爺さんに向かって言う。
…こういうときは、事情をわかってるやつが説得するに限る。
その言葉に少しだけ爺さんの目が開いた。
「ほぅ…、お嬢さんは…、
 何が起こったのか、知って…あぁ、感じとったのか。
 たまに、そういう者もいるからの…。
 だったら、わかるじゃろう?わしはもういいのだ。
 このまま、このまま――」朽ち果てると、また繰返す

69 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:08:11.57 ID:uUHDorQe0
リアルタイムでwktkしようと思ったんだが無理っぽい…
変わりにこれを燃料として使えたら使ってくれ
http://vipmomizi.jog.buttobi.net/cgi-bin/uploader/src/7556.jpg

髪型とかイメージに指摘あれば直してまた描くよ

p02_069_7556.jpg
70 愛のVIP戦士 sage 2007/02/11(日) 03:17:41.51 ID:eQrQ9W9R0
>>69
うぉぉぉぉ!! イイ、これはイイ。
むしろ、コレ、コノ通りwwwwwwwwww
力が出てきた、超ガンガル。

いや、もし注文させていただけるのなら…
本当に細かいことなの、それしかないの…
タオルのプリントはまとまる君なのだ。
まぁ、本編で一度だけ、散らばるの対義語ってしか説明してない俺がわりぃんだが
いや、しかし、ありがとw


71 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:19:18.74 ID:eQrQ9W9R0
「そんな、それじゃ本当に何もかも救われないわ。
 生きないと…。
 奪われるだけ奪われて終りだなんて、そんなの悲しすぎる」
桜の声は爺さんの悲哀をうけ、悲しみに震えている。
しかし、それでも説得するのを止めなかった。
「だが、それがわしの現実だ。
 全て奪われた。もう、何もない。真っ暗だ。
 それが、わしの…わしの…黒い――現実だ」
 爺さんは頭を振りながら、胸の奥から搾り出すように言った。


72 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:20:56.28 ID:pYEZ1rfe0
>>69
乙!オレもこんなイメージやった!!

>>70
まとまる君かよwww

75 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:30:41.55 ID:eQrQ9W9R0
正直に言わせてもらおう。
桜と爺さんのやりとりは俺をイラつかせた。
二人揃って悲しんで、二人揃って暗くなっている。
大嫌いなんだ、そういうの。
説得中の桜には悪いが、俺はじいさんに大股で近寄る。
そして、万年筆ごと爺さんをむんずと掴み上げた

76 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:39:09.66 ID:eQrQ9W9R0
驚いたかのように桜と、爺さんが声を上げたが、無視する。
「なんじゃ、離せ…離さんかっ、わしは、わしはここで!」
「うるせぇ、とりあえず、来い!湿っぽいのは天気だけにしてくれ」
「わしは、主と一緒にここで…」

77 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:40:03.40 ID:pYEZ1rfe0
むんずってなんか好きだなw
wktk

78 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:41:14.83 ID:eQrQ9W9R0
「だから、うるせぇ。
 どっちみち、あれじゃいつか誰かが見つけるさ。
 そぅ、いつかはな。
 だけど、俺は、一刻もはやく、あそこに埋ってる人を出してやりたいんだ。
 ――あんな寒そうなところから、
、――あんな冷たそうなところから、
 せめて体だけでも出してやりたいんだ。
 爺さん、あんたがここで主と一緒に朽ちたいという気持ちはわからんでもない。
 でもな、それってあんたの大事な人を、
 あの陰惨な場所に長く留めておきたいってことと同じだというに気づけ、な?」

79 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:46:30.55 ID:eQrQ9W9R0
 爺さんは息を呑んで、俺を見つめてきた。
 桜も、目を大きく見開いてこちらを見つめてくる。
 少しの静寂が辺りを包む。
 俺は、急に寒かったことを思い出し、ぷるると震える、さみぃ。
 「台無し」と桜は言った。

80 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:48:32.29 ID:DMkeRRLxO
ここにきて主人公がかっこいいこと言うようになったな。

wktk

81 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:49:26.16 ID:pYEZ1rfe0
それもこの物語のポイントなんじゃね?

82 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:55:14.40 ID:eQrQ9W9R0
そして、俺は携帯電話を取り出す。
「だから、今警察に連絡すると、
あなたが疑われるってさっき言ったところじゃない、
もしかけるとしても、公衆電話にするとか知恵を使って――」桜は呆れたように言う。
警察?確かにさっきは取り乱して、そんなことを俺は口走った。
だけど、今、冷静に考えれば、
桜のことなんて話せるわけないから、、
俺は理由もなく、山に入り死体を見つけたことになり、
泥についた俺の足跡は奪いつくされた被害者の住居まで続いている。
そして俺は爺さんを持って返る以上、
被害者の所有物まで持ってることになる。

83 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 03:59:30.07 ID:eQrQ9W9R0
これだけそろってりゃぁ、バカな俺でもわかる。
たとえ俺が警察でも、俺を疑うこの状況、素直に警察に知らせてたまるか。
刑事さんがおいしいカツ丼を食わしてくれるかはともかく、
興味深々のたくましい人たちから、
激しい質問攻めに会うのだけはごめんだ。
とにかく、今、警察はだめだ。

84 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 04:00:24.07 ID:eQrQ9W9R0
だったら?
だったら、今からかける先なんて決まっている。
あの人を頼るしかないじゃないか。
恐ろしく頭の切れる、あの人に。


85 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 04:13:49.21 ID:DMkeRRLxO
そろそろ限界だ。
>>1がんがれ。明日…もとい今日また来る。

94 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 07:15:28.96 ID:eQrQ9W9R0
おはよう、イッチマッタ。
今から続きを書いてくる。

95 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 07:46:23.86 ID:eQrQ9W9R0
――Changing a viewpoint

全く、用意したコーヒーが冷めてしまったじゃないか――
テーブルの上に用意した、冷えた2つのコーヒーカップを見ながら、
聖域な政域の祭司である彼女は思う。

96 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 08:05:56.56 ID:eQrQ9W9R0
まぁ、あれか、
私との約束を平然とすっぽかすぐらいの荒っぽさを、
彼が身に付けたというのなら、それはそれでちょっとした成長なのだろう。
彼女はデスクの横に放った、中身の詰まったナイロン袋から、
野菜ジュースとチアパックに包まれたゼリー飲料を取り出しながら、
少し微笑む。

97 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 08:09:04.03 ID:eQrQ9W9R0
チアパックのキャップをあけた。
あれの私を見る目は、真っ直ぐすぎているからな。
尊敬は虚視で、崇拝は盲目であることがわかるぐらいには、
ちょっとぐらい崩れた方がいい。
いや、ああいう目は、受け止める方としては楽しいのだが――、
一人のおのことしては、見れんからなと彼女は思いながら、
飲み口に口をつけた。


98 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 08:55:54.27 ID:eQrQ9W9R0
胸の携帯が鳴る。ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~。
もの凄い違和感のある着信音を鳴らすストレート式の携帯電話を
彼女が取り出すと、画面上に
[メール受信:バイト君]の文字が点滅していた。開いて内容を確認する。


99 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 09:02:39.80 ID:+TuRp68fQ
気付いたら寝てた上に、何故かケータイの電源まで落ちてるし……orz
よし、ほいじゃ 今日も応援・保守頑張るか。

保守

109 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 11:16:50.39 ID:eQrQ9W9R0
見終わった後、窓から外を覗く。
まだ雨は続いていたが、彼はどうやらこの中を来るらしい。
なら、また、コーヒーでも用意するかなと、
立ち上がった彼女はキッチンに消えていった。

もちろん、冷めたコーヒーカップを置きっぱなしにして。

――Returning a viewpoint


112 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 11:42:52.47 ID:eQrQ9W9R0
>>109 微訂正。



113 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 11:43:16.21 ID:eQrQ9W9R0
見終わった後、短く返事を送り、窓から外を覗く。
まだ雨は続いていたが、彼はどうやらこの中を来るらしい。
なら、また、コーヒーでも用意するかなと、
立ち上がった彼女はキッチンに消えていった。

もちろん、冷めたコーヒーカップは置きざりにして。

――Returning a viewpoint

114 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 11:47:36.90 ID:eQrQ9W9R0
先生は電話という行為そのものが嫌いだ。
相手の時間を束縛し、自分の時間を浪費する行為だと、
昔、先生は少し怒ったような顔で言っていたのを覚えている。
だから、俺が先生に何か伝える時は、
どんなに急いでいてもメールで行う。
それは、いつの間にか決まっていた二人の間の了解だった。

115 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 11:52:08.99 ID:eQrQ9W9R0
<すいません、先生。連絡するの、遅れました。
 あと、相談したいことがあります、今からいきます>
と送った俺に、先生は<来い>とだけ返してきた。



118 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 12:13:42.42 ID:eQrQ9W9R0
それがさっきのやりとりで、
雨がしたしる中、その水滴の壁を突き進むように、
俺は今、原付を先生のビルへ走らせていた。

119 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 12:24:51.39 ID:eQrQ9W9R0
初めて通った道を帰るとき、
それは、大抵の場合持つ雰囲気を大きく変え、
意地悪く、来た者を迷わせようとする。
明るかった道が、暗くなって入ればなおさらだ
事実何回か曲がる角を間違いながらも、
なんとか見知った商店街の通りに出ることができた。

123 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 12:42:36.97 ID:eQrQ9W9R0
さぁ、あと少しだと、
アクセルを強めるたび、
濡れそぼった体に、身を切り裂くような風感じる。
寒かった、
いや、寒いなんてもんじゃなかった。
奪われるというより、抉(えぐ)られるように、
体が冷えていくのを感じる。

136 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 13:34:16.61 ID:eQrQ9W9R0
指示を伝えてきたあの場所に、いつの間にやら戻った桜が、
「あなた、冷たいわ」一番近くにいるので、
俺の肌の冷たさを身をもって感じたのだろう、呟いた。
「風邪、ひくわよ」これは、少し心配するように。
「あん、心配でも、してくれてんのか?」
「…!? 誰が、心配なんか――」
そういうと、それきり喋ろうともしない。

137 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 13:39:51.70 ID:eQrQ9W9R0
あーあ、黙っちまった。なんて思っていると
「でも、あたしが連れ出したせいで――」
と申し訳なさそうな声で『何か』言おう桜に、俺は最後まで言わせなかった。
「お前は感じた悲しみを、放ってはおけなかった」
目的地への最後の角を右折する。
「それでいいんだ、気にすんな」

138 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 13:49:44.54 ID:eQrQ9W9R0
ビルに入る。
コンクリートの床に、水をしたたらせて跡をつけながら進む俺の様子は、
さながら、ナメクジの行進。
気分は、雨と寒さと死体の件でダウン気味、
まさにアメフラシの憂鬱。

139 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 13:52:36.54 ID:5bJDTPVl0
比喩が素敵だ

141 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 14:14:45.62 ID:eQrQ9W9R0
無脊椎動物系の俺は、先生の部屋をいつもの通り、戸を前にして三回叩く。
「あぁ、相変わらず今日も早いな」
戸を開いた俺に、
デスクに座った先生は、肘ついた手を顔に当てながら、
口の端を悪戯っぽくちょっと上げて、言葉をかけてきた。
「遅れてすいません」と、俺は頭を下げて返す。

142 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 14:14:57.74 ID:EIssnXj/O
ツンデレにwktk

143 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 14:22:53.02 ID:eQrQ9W9R0
「取りあえず、あれを飲んでからシャワーでも浴びるか?」
と、なぜかコーヒーカップを四つ置いてあるテーブルを指差しながら、
デスクに座った先生は聞いてきた。
二つは湯気が出て、もう二つはどうやら冷めているようだ。
俺は首を横に降る。

144 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 14:31:25.37 ID:eQrQ9W9R0
「俺よりも、もっと寒い思いをしている人がいま――した」とだけ、返した。
「急ぎの用事か?なら、せめて、これに着替えろ、
 目の前で風邪を引かれるのは心地のいいものではない」
 と、先生はホテルでしか見ないような、
 白いローブとタオルを俺に放ってきた。

146 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 14:42:12.72 ID:eQrQ9W9R0
「ありがとうございます」と伝え、
キッチンで着替えるため、戸の方向に向かおうすると、
句句(くく)と笑いながら、彼女は言った。
「別にここで着替えてもいいのだよ、
 私も、たまには目の保養をしたいのでね」
「…勘弁してください」ホント、勘弁してください。

147 愛のVIP戦士 sage 2007/02/11(日) 14:50:59.77 ID:T5jBVO7GO
阿部「いいこと思いついた。お前オレのケツの中に(シャーペンの)芯をいれろ」

男「エッ~!?十本もですか?」

阿部「腹の中がパンパンだぜ、しっかりふたを閉めとかないとな」

148 愛のVIP戦士 sage 2007/02/11(日) 14:53:55.17 ID:eQrQ9W9R0
>>147
お前は、俺かwwwwwwww
そんな感じのネタ、メモの作って放棄してあったwwwwww

149 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 15:00:56.95 ID:eQrQ9W9R0
帰ってくると、先生は、
デスクから長方形のテーブルに移って、
足をくんでソファーに深く腰掛けていた。
体をタオルで拭いて純白のローブに身を包んで、
寒さがいくらかましになった俺は、先生の対面へ座った。

151 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 15:14:08.53 ID:eQrQ9W9R0
「で、遅れてきた上、相談とはなんだ?
 色恋沙汰なら私の守備範囲外だぞ」と、ニヤニヤしながら尋ねてくる。
俺は違います、と返して
「聞いてください、人が――人が死んでいました」
と切り出すと流石に先生でも予想外だったらしく、
顔から笑みが消えた。
先生は眉をよせてこちらを見る。静寂、数秒。
時計の針の音が響く。

154 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 15:47:38.93 ID:eQrQ9W9R0
組んだ足を直し、前に乗りだすように、
「ほぅ、なら、警察に連絡にすればすむじゃないか」
何故こんな遠回りな事をするのかと、先生は聞いてきた。
それに答える代わりに
「ここら辺の地図、ありますか?」
「地図?あるにはあるが、それがどうした?」
「それで説明するのが一番手っ取り早いんです」
待っていろと、先生がデスクに向かった。

155 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 16:02:38.71 ID:EIssnXj/O
wkwk
今日いい天気だな…

159 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 16:09:17.15 ID:wF16UJkyO
雨が降ってたらこのスレにもっと臨場感でそう
wktk

162 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 16:35:41.02 ID:OEVujmAL0
作者の比喩のしかたに才能を感じるなー
既に職業にしてるか腐るほど本を読んでる?w

163 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 16:39:02.77 ID:5bJDTPVl0
>>162
どっちかというと腐るほど~系だと思う
表現技法の種類が多くて面白い

165 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 17:07:22.56 ID:eQrQ9W9R0
引き出しの開閉音の後、地図を手にしてソファーに戻る。
広げた。
それを覗き込んで、俺はまず、今居る場所を探す。
あった。ここを中心に頭の中に広がる景色と、
地図に画かれるある道を同調させる。
頭の中で進む、地図の道を目で進める。
そして、その先に標高線に囲まれた卍のマークと、
殺人現場に隣接するとは思えない徳の高そうな寺の名前を見つけた。

166 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 17:14:15.19 ID:OEVujmAL0
ネタに詰まった時にでも好きな作家とか上げてもらいたい所だw


167 愛のVIP戦士 sage 2007/02/11(日) 17:24:31.49 ID:eQrQ9W9R0
一息ついて、指をさす。
「ここでです、ここで見つけました」
先生の鋭い視線が、俺の指先の場所を射抜いた。



>>166
宮部みゆきの文章の緻密さは神。
奈須きのこの躍動感あふれる文章は鬼。
谷川流の尽きない比喩の多さは異常。
星新一と、時雨沢恵一のそぎ落とされたような文章は心地よく、
ゼロの使い魔もたまらんな。

んで、漫画ならセンゴクに俺は痺れた。

168 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 17:33:54.43 ID:OEVujmAL0
宮部は読んでないなークロスファイアとかは触りだけ
古語と言っても過言じゃない表現が多々あるのは宮部の
影響かw


169 愛のVIP戦士 sage 2007/02/11(日) 17:37:15.96 ID:eQrQ9W9R0
あと、豪屋のA君(17)の戦争は
あの絵が変わる前から全巻持ってる。
最近、なんででないんだろうなー、続きが気になるぜ…

んじゃ、ちょっくらバイトに行ってくる。
毎度毎度、すまんな


171 愛のVIP戦士 2007/02/11(日) 17:45:26.10 ID:EEEDJ29a0
乙!
やっぱり、文章力向上は本を沢山読むこと、
そして経験を積むことになるのかぁ。



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